ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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改憲論14~自衛官の宣誓、国民の印象、実態と自己欺瞞

2018-05-25 12:42:10 | 憲法
(10)自衛官の宣誓

 自衛官は、任官に当たり、「ことに臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応える」と宣誓する。国家の主権と独立、国民の生命と財産を守るために、命をかけて任務に当たっているのが、自衛官である。そうした職業を選び、その職務に専心している人々に対して、国民は敬意を抱くべきである。
 人間には利己心と利他心があるが、国家・国民を守るために危険を顧みず、生命をかけて務めを果たすことは、最も強く利他心を発揮する行為である。国家という一つの共同体は、命を懸けてその共同体を守る者が存在しなければ、危難に遭遇した時に崩壊する。危難のうち最大のものは、主権と独立が脅かされる事態、特に外国による侵攻である。それゆえ、普通の国では、国家・国民の防衛のために貴い生命を捧げた人々に深く感謝し、篤い敬意を表し、最高の名誉を与える。
 わが国では、自衛隊創設以来、訓練中の事故等によって、約1,800人の自衛官が殉職している。殉職自衛官は、外国の侵攻に立ち向かう自衛戦争の中で斃れたのではない。だが、わが国の平和と安全を守るためには、日常の厳しい訓練が欠かせない。その訓練において殉職した自衛官に対しては、国家危急の時に散華し、靖国神社に祀られている英霊と同様に、感謝と慰霊の誠が捧げられるべきである。

(11)国民の印象

 自衛隊は、創設以来、これを違憲だとする見方があり、多くの国民から冷たい目で見られてきた。自衛官が殺人者のように罵倒されたり、自衛官の子供がいじられたりすることが長く続いた。しかし、そのような中でも、自衛員は黙々と任務に勤しむことにより、段々国民の支持を拡大してきた。特に平成23年(2011年)の東日本大震災における献身的な救助活動は、国民の多くに感動をもたらした。
 平成27年(2015年)1月に内閣府が行った世論調査では、全般的に見て自衛隊に対して良い印象を持っているか聞いたところ、「良い印象を持っている」とする者の割合は92.2%だった。内訳は「良い印象を持っている」が41.4%、「どちらかといえば良い印象を持っている」が50.8%である。一方、「悪い印象を持っている」とする者の割合は4.8%だった。内訳は「どちらかといえば悪い印象を持っている」が4.1%、「悪い印象を持っている」が0.7%だった。国民の9割以上が、自衛隊に良い印象を持っており、悪い印象を持っている者は5%に満たない。
 このように国民の大多数が自衛隊に良い印象を持っていながら、現行憲法では、自衛隊の存在は違憲だという見方が、憲法学者の約7割を占めている。この乖離を埋めることが、強く求められている。
 自衛隊は合憲のか、違憲なのか、憲法上明確な根拠規定がないとされる現状を改善する必要がある。

(12)実態と自己欺瞞

 自衛隊は、普通の国であればそれぞれ陸海空軍に相当する陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊からなり、加えて自衛隊を管理・運営する防衛省が設置されている。
 自衛隊の予算は、ほぼイギリスの軍事予算と同額で、年間5兆円を超える。また、自衛隊は、現代的な最新技術の装備と編成による22.4万人を擁する実力組織である。また、自衛隊は士気、能力、練度ともに高い。その実力は、世界第7位といわれる水準にある。この水準は、台湾、ベトナム、マレーシアなどの軍隊を上回る。これらの国々が保持する軍隊は戦力だが、自衛隊は戦力ではなく、軍隊でもないというのは、外国には通じない詭弁である。自衛隊は、最新型の戦車、巡航ミサイル、イージス艦、戦闘機、潜水艦等を保有する。国際的にみれば軍隊である。その実力は、警察力を遥かに超えている。自衛隊の実態は、自衛戦争を行うための防衛力としての戦力を持つ国防軍である。
 わが国の政府が、自衛隊は憲法の禁止する戦力ではなく、「必要最小限度の実力組織」だと欺瞞的な位置づけをしてきたのは、憲法第9条に問題があるからである。また、自衛隊は国際社会では軍隊とみなされるが、国内では軍隊ではないとされるという矛盾におかれている。これもまた欺瞞である。冒頭に第9条の問題点を述べたが、第9条を改正しなければ、わが国は自己欺瞞から脱することができない。

 次回に続く。
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