ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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森友学園問題~籠池証言のウソを暴き、辻元議員を追及すべし2

2017-03-28 11:48:31 | 時事
 証人喚問の直前に書いた拙稿「森友学園問題~何が本当に問題なのか」では、重要なポイントを5点挙げた。

(1)国有地売買の価格は適正だったのか
 ・9億5千万円が1億3千万円に
 ・ごみ処理代の見積もりの仕方と金額の妥当性
(2)政治家の口利きはあったのか
 ・財務省に土地価格を下げさせたか
 ・大阪府に認可を働きかけたか
(3)3通の契約書があるのはなぜか
 ・同一の日付で金額が違う
 ・国と大阪府に違う金額の書類を提出
(4)安倍首相側から100万円の寄付はあったのか
 ・首相本人または夫人、事務所から
(5)首相夫人と籠池夫人のメールは適当か
 ・疑惑が浮上し国会で問題になっている中で何をやり取りしているのか
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13z.htm

 証人喚問の結果等をもとに、これら5点と次の3つのポイントを追加して、次に記したい。

(6)<追加1> 昭和天皇の御臨幸はされたのか
(7)<追加2> 安倍晋三氏の氏名を無断使用した寄付金集めはどれくらい続いたのか
(8)<追加3> 民進党・辻元清美議員は潜入工作等を行ったのか

 まず当初の5点について書く。

(1)国有地売買の価格は適正だったのか

 証人喚問での籠池証言は、物的証拠がほとんどなく、非常に信憑性が低く、ウソ、作り話が多いと、感じられるとともに、恨み節に満ちたものだった。
 当初、小学校予定地の鑑定評価額は9億5600万円だったが、新たに地中からごみが発見され、1億3400万円で学園に売却された。約8億円に上る値引きは、政治家が財務省に圧力をかけたためではないかとする臆測が飛んでいる。1億3400万円の売却代金が10年分割払いで売却額も一時非公表とされるなど、財務省によって学園への異例の優遇があったことも判明している。
 証人喚問で籠池氏は、小学校設置認可や国有地取得に関して協力を求めた先として、自民や維新の国会議員の実名を列挙した。大阪府の松井一郎知事周辺の接点も利用したと述べ、「政治的な関与はあったのだろう」と推測を述べた。しかし、確証のない政治家の関与をちらつかせただけで、実際の交渉については、「詳細は承知していない」と述べた。
 籠池氏は、国有地の価格に関しては、「想定外の大幅な値下げにびっくりしたが、売買契約を結んだ。交渉の詳細には詳しく承知していない」と強調した。証人喚問後、同時に行われた日本外国特派員協会での記者会見では、籠池氏は、国有地が安く売却された経緯について「財務省の官僚が(首相側の意向を)忖度(そんたく)したのでは」という推測を述べた。この推測は、単なる想像であり、裏付けになる物証を示していない。籠池氏は、学園側と土地交渉当時、国有地処分を担当する理財局の局長だった迫田英典国税庁長官を名指しして、国会での質疑を求めた。
 迫田国税庁長官は、24日の参院予算委員会での参考人招致で、「当時、本件について報告を受けたことはございません」と証言した。「政治的配慮をすべくもなかった」と全面否定した。元近畿財務局長の武内良樹国際局長も、ごみ撤去費用として8億円を値引いたとする経緯は逐一報告を受けていたと説明したが、籠池氏が主張する安倍昭恵首相夫人や政治家との関係性は「知らなかった」と説明。結局、経緯が明らかになることはなかった。
 契約当事者である財務省はこれまで、面談記録などを「契約締結をもって廃棄した」と説明した。この日の質疑ではこの記録廃棄の質問すらなく、当然、答弁もなかった。籠池氏が名前を挙げた鴻池元防災相側の働きかけについて、武内氏は参考人招致で「報告を受けていない」と証言しただけだった。この書類の破棄については、本当に破棄されているのか、なぜ購入条件付10年定期借地契約に関する書類をこれほど早く破棄するのか、疑問が残った。
 さて、本件(1)で私が重要なポイントと思うのは、鍵池氏が平成27年10月、小学校用地につき、土地の購入を前提とした定期借地契約の期間を10年からもっと長く延長してほしいと願って、安倍首相の昭恵夫人に電話したと言ったことに関してである。
 その電話は、留守電であり、昭恵夫人は直接受け答えしたのではない。籠池氏の留守電と並行して籠池夫人は総理大臣夫人付・秘書役の谷査恵子氏(国家公務員)に手紙を出し、谷氏は夫人ではなく籠池氏にFAXで回答した。そのFAXを、籠池氏は証人喚問で提示した。この日、提示された唯一の物証である。
 昭恵夫人は「10年かどうかといった具体的な内容については、まったくお聞きしていません。」と明確に否定しているが、もしこの購入条件付の定期借地契約の期間延長の働きかけに、昭恵夫人が関わっていたという疑いが強まると、首相が2月17日小学校の認可ないし国有地払い下げに自分か妻が関わっていたら「総理大臣も衆議院議員も辞める」と述べた発言に関わって来る。
 ここは、民進党などの野党4党にとって、最大の攻めどころである。彼等の目的は真相の解明ではなく、安倍首相を退陣に追い込むことである。国民に対して真実を明らかにすることではなく、国民に安倍首相への不信感を募らせ、政権の支持率を下げ、政権を揺さぶるために、籠池氏の発言を利用して首相を攻撃しているものと思われる。
 これに対し、安倍首相は24日の参院予算委で、寄付金などとともに昭恵夫人の国有地払い下げへの関与を全面的に否定した。また先述したとおり、当時の財務省理財局長、近畿財務局長は、国有地問題については政治的な配慮をするべくもなく、政治家、秘書からの問い合わせは一切なかったと断言した。
 安倍首相は、自身か妻が関わっていたら首相も議員も辞める、一切かかわっていないと全否定した。ところが、夫人付の谷氏のFAXが出てきたので、野党4党にとっては、恰好の攻撃材料になっている。
 一般の国民には、政治家の口利きの仕方や、それへの霞が関官僚の対応の文化がよくわからないので、どこからが「関与」となるのか判断は難しい。野党4党は、そうした国民の意識を政権批判へ誘導しようとしているのだろう。
 この点、元国家公務員(外交官)で現衆議院議員の松川るい氏が、フェイスブックに書いていることが参考になる。
 松川氏曰く「谷総理夫人付きのFAXがあたかも何か特別なことで、『働きかけ』に当たるかのような印象操作を野党が一生懸命やっていますが、笑止千万です。国家公務員だったら誰でもわかると思います。
 皆さんご存じないのかもしれませんが、役所は一般の方からの問い合わせであっても、担当官が電話での口頭回答は普通に致します(忙しすぎて電話がつながらないということはあり得ますし、一般からの問い合わせに対する親切度は役所によって違うかもしれません。各役所のそれぞれのカルチャーがあるので。)。佐川理財局長の言うとおりです。
 谷さんは、籠池さんという自分の知り合いからわざわざ手紙での照会があったので(しかも昭恵夫人もご存じの方)、財務省に問い合わせてその結果を教えて差し上げたのです。谷さんの行動も財務省の行動もごく通常のことで、こんなものを『働きかけ』というのは強弁というものです。この程度の通常の照会は、日常的なものですし、事前にわざわざ昭恵夫人に断らずともするでしょうが(そうでないと自分宛の手紙への返信を放置することになってしまうので。)断ってやっていたとしても何の問題もありません。これは、ただの『照会』でしかないからです。
 FAXのポイントは、財務省が『圧力』を感じて、回答内容に影響があったのかどうかです。回答内容は、役人の言うところの『ゼロ回答』。何ら問題ありません。というか、むしろ『圧力』が生じていないことの証明書のようなものです。
 だいたい、財務省というところは、霞ヶ関の役所の中でも一番融通の利かないお堅い役所で、申し訳ありませんが、昭恵夫人の付きが照会したぐらいで結果を変えようとするようなことはないでしょう。財務省に失礼というものです(佐川局長も怒りを抑えての答弁)。」と。
 松川氏の説明は、明快である。だが、政府は谷氏の対応は「個人的対応」と説明しているので、昭恵夫人の意向や上司の意向があったのではないかという見方が出ている。官僚の場合、全く個人の判断で行動しているとは考えにくい。また、森友学園が国に対して工事費の建て替えをしている件について、27年度には予算措置ができなかったが、「28年度に予算措置を行う方向で調整中」と谷氏が書いたことも、単なる「ゼロ回答」ではなく忖度があったのではないかという見方も出ている。国民の多くにとって、腑に落ちない点だろう。国民の多くは、永田町や霞が関の文化は分からない。自分が社会生活をしている中で身に着けた常識で考える。野党4党の目的は安倍首相を退陣に追い込むことだから、納得がいかないという世論をバックに、徹底的にFAXを利用してくるだろう。
 谷氏のFAXには昭恵夫人の社会的立場の問題が絡んでいる。首相夫人は、公人か私人か。野党4党は、この点を追求している。安倍首相は、昭恵夫人を「私人」と言っているが、わが国の場合、首相夫人が公人か私人かについて明確な決まりはない。首相夫人は、議員でも官僚でも公務員特別職でもない。だが、首相の外国訪問に同行したり、外国要人接待に同席したりしている。今回浮かび上がったように、国家公務員が複数名、夫人付として就く。その公務員は、組織の上司から指示を受けて任務に就き、上司に報告をしたり裁可を受けたりしながら勤務し、労働の対価として俸給を受け取る。それゆえ、首相夫人が全くの私人とは言い切れないという見方がある。この首相夫人の立場のあいまいさも、野党4党にとっては攻めどころとなっている。
 現在のところ、(1)国有地売買の価格は適正だったのかについては、何も解明が進んでいない。この点に関して、私は右の事実が重要だと考えている。豊中市は、森友学園が購入した土地の隣地を実質2124万3000円で購入している。売買価格は14億円だが、国庫補助金7億1千万円、臨時交付金6億9千万円が出ているので。これを引くと、豊中市の実質の購入価格は 2124万3000円だったことになる。また、小学校用地を1億3400万円で買った森友学園は、豊中市が公園用地として買った土地の購入価格の6.3倍の価格で買ったことになる。この点の追及がされていないことは、私の疑問の一つである。しかも本件に関して、後に(8)に書く民進党参議院議員の辻元清美氏が国交副大臣だった時に、豊中市への補助金等の交付に関与したのではないかという疑いが浮上している。この疑惑の追及なくして、(1)の問題は収束しないだろう。

 次回に続く。