ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

森友学園問題~何が本当に問題なのか2

2017-03-22 10:10:39 | 時事
5.安倍首相側から100万円の寄付はあったのか

 森友学園の籠池理事長は、3月16日、平成27年9月15日、昭恵夫人が塚本幼稚園に講演に来た時に、「総理からです」といって100万円持ってきたと主張した。
 安倍首相は2月17日に、小学校に関して「認可にあるいは国有地払い下げに関与していない。関与していれば、総理大臣も国会議員も辞職する」と発言した。この発言は、寄付金に関する発言ではない。寄付金の話は3月16日に初めて出てきたことである。1か月前に寄付金を出していたら辞職すると言ったものではない。
 次に首相は、2月28日に「妻も私も寄付金集めにも一切かかわっていない」と発言した。この発言は、自分が寄付金を出したかどうかではなく、学園による寄付金集めに協力したかどうかを否定したものである。これも寄付金を出していたら辞めると言ったものではない。
 安倍首相側が寄付金を出していないことを明らかにできれば、籠池氏の発言は虚偽であることになる。しかしもし仮に、首相自身ではなく夫人や事務所が寄付金を出していた場合、どうなるかということも考えておく必要がある。
 まず政治家による寄付金は、公職選挙法では、自分の選挙区でなければ問題なし。政治資金規正法では、ポケットマネーであれば問題なし。政治資金から支出し、収支報告書に記載がなければ、違法になります。それゆえ、仮に寄付金を出していても、政治資金から支出し、収支報告書に記載していないのでなければ、違法ではない。
 ただし、もし首相側からの寄付が事実だったということになると、首相の発言と食い違うので、道義的責任を生じる。それが同時に政治的責任として総理や国会議員の職に関わるほどの問題かどうか。それは、寄付金が小学校の認可に関わる行為とみなされるかどうかという点に絞られると思う。認可促進のための寄付(宣伝利用目的)でなければ、安倍首相は、寄付金を出していたら総理も議員も辞めると言っているわけではないから、野党から辞任を求められても、応じなければよい。
 安倍首相は、3月17日の衆院外務委員会で、籠池氏が首相から100万円の寄付金を受けていると主張していることについて、「あり得ない」と述べ、明確に否定した。昭恵夫人の個人的な寄付についても否定。首相は「個人的な関係はない。そうした方に多額の寄付を私自身が行うことはあり得ない」と強調。夫人個人による寄付の可能性についても「念のため確認を取ったが、領収書などの記録もない」と否定した。
 にわかにマスメディアの寵児となっている著述家の菅野完氏が、籠池氏が首相から100万円の寄付を受けた証拠として書類を公開した。
 籠池氏が学園職員に命じて郵便局に入金した時の振込票で、安倍晋三名義で入金しようとしたが、会計士に止められて「森友学園」の名義にしたとのこと。いったん「安倍晋三」(当然首相本人の自筆ではない)と書いて、修正テープらしきもので消してある。「匿名」とも書いたようだ。郵便局の訂正印が押してある。この振込票に、菅野氏は裏から電気照明を当て、安倍氏の名前が読めるとして、あたかも安倍氏からの寄付金の証拠のように提示している。いやはや、いまどきよほど知恵の足りない中学生でもしないような、お粗末極まりないものである。
 菅野氏は『日本会議の研究』でいちやく注目されるようになったが、本書はずさんな調査、的はずれの粗悪本だった。取材をせずに載せた内容について抗議を受け、出版差し止め判決を受けている。菅野氏は、元解放同盟の活動家、元しばき隊でカンパ金を横領、性犯罪事件(被害者複数)で現在係争中とのこと。いまや籠池氏に協力しているのは、こういう人間である。「類は友を呼ぶ」とはこのことだろう。
 安倍首相による「寄付」は籠池理事長の自作自演と考えられる。有名ブロガーの池田信夫氏は、次のように推理している。

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「事実は次のように推定するしかない。
1. 籠池氏が昭恵さんの講演料として9月5日に100万円を持参した。
2. 昭恵さんが講演料を辞退した(?)
3. 籠池氏がこれを「安倍首相からの寄付」として7日に自分あてに振り込もうとした。
4. 郵便局が受理しなかったので、自分の名義で振り込んだ。」
https://headlines.yahoo.co.jp/article…
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(池田氏が「自分」と書いているところは「森友学園」に要修正)

 既に多くの人が概ね同じ推理をしているが、常識的に考えて、これ以外に考えられない。

6.首相夫人と籠池夫人のメールは適当か
 
 安倍首相は、昭恵夫人と籠池理事長婦人とのメールのやりとりも内容も問題ないと言っている。籠池夫人の了解が得られれば、全文公開すると発言している。公開がされれば、実際のやりとりが明らかになる。それまでは不確かな情報で判断すべきでない。
 現在わかっていることは、3月16日参院予算委の理事たちが問題の調査のため、籠池氏を訪問し、野党議員たちが氏と話し合っているとき、籠池夫人に昭恵夫人から来たというメールについてである。国会で大問題になっている中で、しかもそのタイミングでのメールゆえ二人が今も親しい関係にあると見て、マスメディアが大きく取り上げた。
 衆院外務委員会で民進党・福島伸享議員が、メールには「幸運を祈ります」と書いてあったと発言。ところが、籠池夫人が送ったメールは、多数に一斉送信で「3億円あれば学園は残る。助けて」との趣旨のものだった。それに昭恵夫人が返信したのだが、「幸運を祈ります」ではなく、単に「祈ります」と書いてあったと判明。「幸運を」と付け加えた福島議員は、明らかに印象操作をしている。「祈ります」だけゆえ何を祈るのかわからない文章だが、協力すると言っているのではない。単に儀礼的な返信と見るのが妥当だろう。

7.学園の教育方針と籠池理事長の人格のかい離
 
 次に、学園の教育方針と籠池理事長の人格について書く。
 幼稚園児に教育勅語を教えている森友学園の籠池理事長は、安倍首相の昭恵夫人を名誉校長にゴリ押ししたり、首相の名前を本人の承認を得ずに使って寄付金を集めたり、公的機関から異例の厚遇を受けたりなど、本件が大きな社会問題になった祖h木の段階から、その行動には問題があることが明らかだった。
 マスメディアの多くは連日、学園の運営上の問題と教育方針の話をごちゃまぜにして、学園のイメージを貶め、戦前の教育理念をも誹謗するような報道を繰り返している。
日教組や朝鮮学校については取り上げもしない偏向マスコミと民進党、共産党が、ここぞとばかりに躍起になっている。幼稚園で教育勅語を教えたり、新設予定の小学校では神道に基づく教育をするという方針の学園だからこその攻撃であることは明らかである。
 だが、また籠池理事長は、純真な子供たちに教育勅語を教える学園の経営者であれば、自身の言動が勅語の精神に恥じることのないように実践躬行に努めなければならない。この点、籠池氏は人格的に大いに問題がある。
 勅語の精神をはき違えた一学校経営者と偏向したマスメディアによって、教育勅語について負のイメージが広がってしまった。これを払拭すべく、教育勅語の正しい理解と復権に努めたいものである。
 3月10日籠池氏は近く理事長を退任する意向を明かした。教育機関だから、何より幼稚園の園児と親、小学校入学予定者等への謝罪が必要だろうが、籠池氏の記者会見で最初に謝罪の言葉がなかったことは、社会的な信用を自らさらに引き下げることになった。自己中心で独善的な人物と見られる。
 籠池氏は、国有地購入などのさまざまな疑惑には答えず、異なる金額が記された3通りの契約書についても、合理的な説明の出来るわけがなく、しどろもどろの説明に終わった。マスメディアの報道の仕方を批判したところで、身から出たサビ、恨み節にしかならない。
 籠池氏は、理事長の後任に長女を指名し、自らもアドバイザーのような形で学園運営には関わる考えを表明している。今後、小学校開校予定だった土地は、学園側が更地にして、国が売却価格と同じ1億3400万円で買い戻すことになるだろう。国側としてはゴミが大量に埋まっている土地という印象が強く、土地の価値が下がり、競売にかけた場合、かなり金額が下がるのではないか。財務省の手続きに法的な問題はなかったとしても、売る相手を間違えた。
 学園側は既に建設が大方進んでいる建物を解体・撤去して更地にする費用以外に、補助金5600万円の返還も求められる。工事関係者も建築資金残金等の支払いが受けられないおそれがある。籠池氏は何億円もの負債を抱えることになるだろう。幼稚園の入園者にも影響が出るだろうから、負債の返還は相当困難な課題になるだろう。

 次回に続く。