ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

オバマVSロムニー12~対日本政策

2012-07-01 08:36:36 | 国際関係
●対日本政策

 平成23年(2011)3月11日、東日本大震災が起こると、オバマ政権はトモダチ作戦で、積極的な救助・支援をしてくれた。同盟国だからこその行動である。日本国民は深く感謝している。福島原発事故でも米国は積極的に危機対処に協力を申し出た。わが国政府がそれを受け入れていれば、事故の対応はかなり変わっていただろう。だが、菅直人首相は米国の申し出を断った。
 その約1か月後、何があったかわからないが、菅首相は、突然TPPに参加すると発表した。何か米国と交換条件があったのではないかと推測される。アメリカはしたたかである。日本をTPPに参加させ、一層従属的な関係に進め、日本の富を奪い取り、それで米国の繁栄を維持しようとする目論見は、露骨なほどである。友情と国益は別である。
 オバマが日本を重視するのに対し、ロムニーは日本への関心が低く、むしろ批判的な態度がうかがわれる。ロムニーの公式ウェブサイトで、外交・安全保障政策について日本への言及は3カ所しかない。それは「中国・東アジア」という項目においてで、内容のほとんどは中国に関する論述。その中で日本への言及は、「30年間で中国は目覚ましい成長を遂げ、日本を追い越して世界第2の経済大国になった」という部分。次いで、対北朝鮮政策に関して「われわれの緊密な同盟国である韓国と日本」「韓国と日本との関係を活性化させるには」と韓国の次に国名を並べただけ。日本そのものについては、具体的に書いていない。こうしたロムニーの日本に対する姿勢を、ウォールストリート・ジャーナル紙は「穏やかに軽視」と書いた。
 ロムニーは平成22年(2010)に『ノー・アポロジー(謝罪せず)』という直を出しており、そこには、「米国がアジアへの関与を弱めると日本が信じるなら、米国との距離を遠ざけるものであり、中国と同盟せざるを得なくなるだろう」「(日本は)1970年代に米国の自動車メーカーと性能や低価格で競争をしておいしい思いをした」「2005年型の赤いマスタングのオープンカーの格好よさとうなるようなエンジン音に匹敵するものは、日本から生まれていない」などと書いているという。
 こうした文章から受ける印象は、ロムニーは、日本についてほとんど知識がなく、日本をビジネスの競争相手としていう意識があるだけで、アジア太平洋における重要な同盟国という理解を持っていないのではないか、という疑問である。
 だが、アジア太平洋では、中国がアメリカに対抗して西太平洋の海洋覇権を目指している。中国とベトナム・フィリピン等の東南アジア諸国との海洋権益をめぐる緊張が強まっている。ロシアは、中国と合同軍事演習を行うなどアメリカに対抗するため、関係を深めている。北朝鮮は核・ミサイル開発を進め、イラン等との連携を保っている。こうしたなか、アメリカにとっても日米の同盟関係はますます重要になっているところである。もしロムニーが次期大統領になった場合、日本への理解を深め、日米関係の重要性に目覚めないと、日本にとってもアメリカにとってもマイナスの事態を生じるだろう。そして、それこそ中国を利することになるだろう。特に尖閣諸島の戦略的重要性を理解することが重要である。

 次回に続く。