ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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小沢裁判、1審無罪に係る所感

2012-04-27 10:50:19 | 小沢
 小沢裁判は、26日東京地裁が無罪判決を下した。政治資金規正法違反の容疑について、直接的証拠がなく、特に共謀が成立しないという判断が判決のポイントとなった。判決文の要旨を読むと、かなり黒に近い灰色だが、有罪とするには決定的な証拠がないという感じである。
 指定弁護士団が原告として控訴するかどうか未定ゆえ、まだ判決が確定したわけではないが、1審無罪の判決は重い。マスメディアは即日無罪確定したかのような報道をしている。
 私は拙稿「闇の財テク王・小沢一郎の不正・不敬・横暴」等で小沢氏について書いてきた。小沢一郎という政治家の問題点を知りたい人は、ご一読いただきたい。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13m.htm
 本稿では今回の裁判について、私が思うことを書きたい。6点ある。

 第一に、検察のやっていることがひどすぎたこと。見立て捜査、虚偽の報告書等の問題によって、重要な証拠の多くが不採用になった。これがかなり審理に影響を与えたと考えられる。秘書が3人も有罪判決を受けていながら、彼らが忠誠を尽くした小沢氏が無罪になるというのは、常識的に疑問が残る。検察がきちんとした姿勢でやっていれば、裁判所が異なった判断をした可能性はあったと思う。検察の失態により、小沢氏は大きな敵失にきわどいところで助けられた格好だろう。
 第二に、政治家の政治資金に係る法律がザル法であること。現行法は秘書の責任ということで、政治家が法の網を潜り抜けてしまえる。連座制に変えないと、実効性を確保できない。判決のポイントとなった共謀というのは、本当に強く政治家と秘書が結託していれば、阿吽の呼吸で証拠を残さずにできてしまう。今回小沢氏の共謀が成立しないとされたのは、それだけ親分ー子分の関係が強かった証だろう。
 第三に、政治家においては、法的責任と政治的責任・道義的責任は別であること。仮に1審判決が確定したとしても、国会は小沢氏の証人喚問を行い、立法府として小沢氏に説明を求め、政治的・道義的責任を明らかにしなければならない。法に触れなければ政治家が何をやってもよいというような国は、道徳的に崩壊する。小沢問題を通じて、国会は議員立法で政治資金規正法等の改正・強化を行うべきである。
 第四に、小沢裁判は、反米的な小沢氏を潰すために、アメリカが仕掛けたという見方はおかしいこと。アメリカとは誰のことか。オバマかクリントンかガイトナーかバーナンキかデイビッド・ロッフェラーか。現在の日本で最も反米的な政治家は、普天間基地移設問題でアメリカ政府を困惑させた鳩山由紀夫氏であり、菅直人氏である。小沢氏は対米外交を決定できる立場になかった。アメリカの支配層の誰かが反米的な政治家を排除しようとするなら、田中角栄の時のように鳩山氏・菅氏を現職の首相の時に仕掛けただろう。
 第五に、小沢氏の今後の政治活動を、国民がより一層厳しく見ていく必要があること。民主党執行部が小沢氏の党員資格停止処分を解除すれば、小沢氏は自由に政治活動をするようになる。9月の民主党代表選に出馬し、首相の座を狙うかもしれない。小沢氏の「剛腕」に期待する有権者は、今も少なくない。だが、小沢氏は、天皇陛下に中国の次期国家主席と目される習近平氏との御引見をゴリ押しした張本人である。また外国人に参政権を付与しようとしており、韓国で有力者に参政権付与を約束して来たり、日本と日本人を侮辱する演説を行ったりした。そういう政治家であることをしっかり認識する必要がある。
 第六に、小沢氏に最終的に鉄槌を下せるのは、地元の有権者であること。小沢氏は、東日本大震災後、多大な被害を受けた地元・岩手県に何か月も帰らず、被災地の支援に何ら貢献しなかったこと。小沢氏が初めて地元で被災者に復興について語ったのは、震災の約10か月後、今年の1月である。小沢氏にとって地元は票田でしかなく、自己の権力のために利用する対象でしかないのだろう。現行法の下で、小沢氏に最終的に鉄槌を下せるのは、選挙区の有権者のみである。衆議院岩手第4区の有権者は、次の解散総選挙で、小沢氏への幻想を捨て、良識ある判断をしてほしい。

・関連掲示
拙稿「闇の財テク王・小沢一郎の不正・不敬・横暴」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13m.htm