ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

脱少子化は命と心の復活から7

2007-07-19 09:54:58 | 少子化
5.個人や家族が心がけるべきこと

●自然なお産は、健康な生き方から

 よいお産を目指すには、健康から考えることが大切だ。多くの人は病気になったら薬を飲む。薬が病気を治すと思っている。実はそうではなく、自然治癒力があるから治る。薬は自然治癒力を補助するに過ぎない。現代人は、不健康な生活をして、病気になり、安易に薬や医者に頼る。そのため、病院が満杯になり、医療費が国家財政を圧迫し、財政赤字が増える原因ともなっている。
 まず自分に生まれつき与えられている生命力を維持・増進するよう努力すること。そういう考え方を、個人も社会も国家も基礎に置くこと。お産にしても、健康な生き方、健康な体が先決である。自然分娩でよいお産をするには、まず心・体・環境ともに健康な生活を心がけること。そして、母体となるにふさわしい体に。体質の改善、体力の増進を求めることが、必要である。

●結婚は母性・子供を保護し、家族・社会を安定させる

 お産というと、妊娠期間と出産の時がまず頭に浮かぶが、第一は、妊娠の時の環境である。夫婦が愛と信頼をもって、調和を心がけ、また子供を授かることを心から願うこと。周囲の家族もまた二人を温かく見守ること。明るい家庭を築くことが、よい妊娠をし、よい子を授かることにつながる。
 この点で、結婚という制度は、夫婦の結びつきを確固としたものとする働きがある。結婚は、男性が女性を支配する制度という見方や個人を拘束するものという見方があるが、結婚には、男女の結びつきを周囲が公認するという働きがある。結婚によって、男女の関係は、私的なものから公的なものとなる。公共の社会には、ルールがある。結婚した男女の間にも、公的なルールがある。それを束縛と取るのは、自己本位の考えとなるだろう。自己の存在を、先祖―親―自分―子供―子孫という生命の流れの中で理解し、自己の役割を考えたいものだ。
 結婚にはまた女性や子供を保護する働きがある。男女の関係を公共的なものにすることにより、男性が簡単に誓約を破れないようにし、男性が妊娠させた女性を捨てたり、子供が生まれた後に他の女性に移るといった身勝手を防ぐ。女性は妊娠・育児の際に、男性の養育を求めることができる。単なる同棲では、妊娠や育児中の女性は、保障を得られない。女性と子供の権利を守る上で、結婚という制度は、優れている。また同時に、結婚は、家族の絆を強くし、家族という生命と文化と伝統の継承の場を安定させ、社会の秩序と発展を基礎付けるものでもある。

●家族が支えるお産は、夫婦の和から

 次に、妊娠期間中のことだが、妊婦は、母親であるという自覚をもって、食べ物、飲み物、嗜好品や体の使い方に注意することが必要である。不規則な生活、夜更かし、冷房に当たりすぎや過労等は避けたい。
 また、心の面も重要である。妊婦が、楽しくゆったりした気分だと、へその緒を通じて、胎児に十分血液が送られる。胎児は、母親の血液によって、栄養も酸素もすべてを受け取る。母親が心配事をしたり、いらいらしていたりすると、胎児への血液の流れによくない。母親の心理状態が、子供の成育にも、性格にも影響する。この点で、夫婦の和が、よいお産を可能にする最大のポイントである。
 出産の時にも、夫や家族の協力が大切である。子供を産むのは、妊婦だが、妻を夫がしっかり支えること。夫婦が心を一つに合わせてお産に臨むと、妻は安心を得て、お産が軽くなる傾向がある。おそらくホルモンの分泌がよくなり、出産の時に働くべく女性の体に備わった生理機能がよく発揮されるのだろう。
 病院でも助産所でも家庭でも、夫が出産に立会い、妻の手を握ったり、そばで見守ったり、一緒にお祈りをしたりすることは、よいお産に通じる。立会いができない場合でも、夫が妻のことを思い、妻と生まれてくる子供のために祈ることは、妻の出産に協力し、支えることになる。

●母乳の素晴らしさを再発見しよう

 我が家は、妻が子供二人を完全母乳で育てた。母乳を与える妻と無心に乳を飲む赤子の姿に、私は、深い安心と清らかな喜びを感じた。
 母乳の素晴らしさは、小児科医、助産師、栄養学者等が、等しく語っている。母乳には、子供の発育に必要なあらゆる栄養素がそろっている。赤ちゃんが病気にならないように守る栄養素も備わっている。人工のミルクでは、これらを網羅できない。
 現在わが国では、母乳で子供を育てられる人が、3割台にまで減っている。ミルクのない時代なら、子供10人のうち7人は、乳を与えられずに栄養不良で死んでいるということである。それだけ、女性が自然の命の働きを損ない、心身の健康状態が低下しているのだろう。母乳育児が減ってから、子供の成人病やアトピー性皮膚炎が増えたという説もある。体質的に母乳の出にくい人もいる。しかし、健康に心がけ、正しい指導を受けることで、多くの人は母乳で子育てが出来るようになる。
 母乳による育児は、母親と子供の一体感を生む。子供の心の発達に、最も大切な母親の愛情を最大限に与えることができるのが、哺乳である。また、子供に乳を与えることによって、母親の母性が一段と強く働くように、遺伝的にプログラムされている。哺乳は、わが子へのいとおしさを湧き上がらせる。

 世界の混乱を解決するには、愛が欠かせない。その愛の典型が母の子への愛である。女性が母性愛を失ったならば、社会は殺伐とし、争いと孤独の世の中になる。女性が母性愛を発揮し、子どもに豊かな愛を降り注ぐ時、その子ども達は明るく平和な世界を築く、頼もしい人材となっていくだろう。
 私は、男として、また一人の父親として、そうした女性たちを支え、守り、励まし、また子ども達に知恵と勇気を与えていけるような人間になりたいと思って生きている。 

 次回に続く。