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「さいころコロ助」-益子かつみ-

 

 僕が「さいころコロ助」を読んだのって、雑誌長期連載·大長編漫画の「さいころコロ助」の終盤も終わりの方だけだ。「さいころコロ助」が連載されていたのは集英社の児童漫画雑誌「日の丸」誌上だが、僕が読んだことがあるのは「少年ブック」誌上でだ。

 戦後月刊児童雑誌の中で「少年ブック」(当時はおもしろブック)の弟雑誌として、1953年「幼年ブック」が誕生した。集英社発行の小学校低·中学年程度対象の漫画雑誌だ。僕にははっきりしたことは解らなかったが多分、「さいころコロ助」はこの「幼年ブック」創刊号から連載が始まっている。

 「幼年ブック」は1958年に「日の丸」と誌名を変える。「さいころコロ助」を連載したまま月刊誌「日の丸」は1963年2月号で休刊(事実上の廃刊)になる。「さいころコロ助」は同じ集英社の「少年ブック」に掲載がスライドしてまだも連載が続いた。

 僕が「さいころコロ助」を読んだのはこの「少年ブック」に連載されてた終盤の終わりの方です。僕には「さいころコロ助」の雑誌連載終了=物語の終了がいつ頃だったのかはっきりとは解らないのですが、多分1964年まで「少年ブック」誌上に連載されてます。

 「さいころコロ助」は「幼年ブック」から計算すると実に11年間という大長編の長期連載ですね。僕が漫画本を愛読し始めたのって、1962年の終わり頃か63年初頭からですから、「日の丸」連載時も「日の丸」最末期に「日の丸」誌上で読んでいるかも知れません。

 「さいころコロ助」を僕が読んだと言っても7歳当時ですからね、ストーリーなど内容はほとんど覚えていないと言っていいくらいです。ただ主人公·コロ助のサイコロの四角い身体のサイの目から首、手足が出てて、腰に日本刀を帯刀した格好という独特の形状は印象深く記憶に残ってました。また物語は時代劇で、それも徳川幕府の江戸時代ではなくて、戦国時代が舞台で、合戦の中で城を守るコロ助たちの戦いが描かれたシーンをおぼろげながら記憶しています。僕が読んだ記憶は「少年ブック」連載当時の「さいころコロ助」のエピソードの断片の記憶です。

 ネットで「さいころコロ助」を調べている内に、大長編漫画の「さいころコロ助」の舞台設定は戦国時代だけではなく、連載されてた時代とエピソードによっては、どーも江戸時代ぽい舞台だったり、中には明治維新後の明治初期や初めて蒸気機関車がお目見えした時代が舞台のエピソードもあるようですね。基本、時代劇漫画ですが、お話によっては敵が西欧外国人だったり、けっこう自由な発想で描かれているようです。

 「さいころコロ助」の主人公、コロ助自体がサイコロに首や手足が生えてて、チャンバラ戦闘シーンや危機一髪逃げるシーンでは、首や手足をサイコロの中に引っ込めて転がって行く場面も多い。敵側やライバルには、トランプカードに首や手足の生えたトランプ小僧や、将棋の駒に首·手足の生えた敵、麻雀パイに首·手足の生えた麻雀小僧なんかもいたそうです。コロ助の相棒は偵察役の、人間のように喋るカラスのカア公。(トランプ小僧はトランプカードというよりも四角い箱が胴体で胴体四面にトランプマークが入ってる姿みたいですね。コロ助と同じ形。)

 ネットを回っていたら子供の頃愛読した年配の方が、さいころコロ助は木下藤吉郎の配下として活躍したと書き込んでました。やはりエピソードの主要テーマの舞台は戦国時代で、お話によっては自由な発想で時代背景や舞台を変えてたみたいですね。

 「さいころコロ助」は登場人物がサイコロやトランプや将棋の駒や麻雀パイの擬人化で、一見ギャグ漫画調ですが、れっきとしたストーリー漫画です。時代劇ヒーローもののチャンバラ·アクション漫画ですね。冒険活劇のストーリー漫画。

 益子かつみさんというと一番世に知られた作品は「快獣ブースカ」になるのかなぁ。週刊少年サンデーの最初期に連載された「快球X-エックス-あらわる」も有名ですけどね。僕が漫画をじゃんじゃん読み出したのは63年に入ってからですが、60年代前半は益子かつみ先生の作品はいろんな児童雑誌で読みましたね。僕が益子かつみ先生の作品で最後に読んだのが「快獣ブースカ」かな。

 「快獣ブースカ」は円谷特撮の実写テレビドラマで、講談社の月刊「ぼくら」誌上で益子かつみさんがコミカライズを連載されてました。当時の僕は毎月「ぼくら」を購読してたので、連載中はおそらく全編読んでますね。「快獣ブースカ」は「ぼくら」では別冊付録での掲載が多かったですね。変形B5判大型別冊付録で着いてた。

 益子かつみさんといえば「快球Xあらわる」というくらいに「快球Xあらわる」は有名な作品で、後の「ドラえもん」や「オバケのQ太郎」の先駈けといわれる作品ですね。僕が少年サンデーを読み始めた63年、もう「快球Xあらわる」の連載は終了した後で、僕は名作「快球Xあらわる」を後の懐かし漫画グラフティ本や昭和漫画解説本などで断片的にしか見ていません。貸本でまとめて全4巻できんらん社から刊行されたようですが、小学生当時毎日貸本屋に通ってた僕も、このきんらん社版単行本を読んだ記憶はありません。

 益子かつみさんは1925年(大正14年)生まれで兵役を経ていて、戦後本格的に漫画を描き出し、1950年代を通して大活躍された漫画家さんですね。益子かつみ先生の黄金期は「快球Xあらわる」が大ヒットした59年から62年頃以降の60年代というよりは、50年代の児童雑誌ですね。

 益子かつみ先生は非常に器用な作家さんで、50年代の児童雑誌界では、ストーリー漫画、ギャグ調漫画で、時代劇·SF ·動物もの·少女漫画まであらゆるジャンルをこなして、雑誌記事や小説のカットや挿し絵まで描いてたらしい。

 僕は「快獣ブースカ」以降は漫画雑誌で作品を見たことがないので、益子かつみ先生は60年代後半からは失速して行ったのかな。60年代後半に入ると“劇画”の時代がやって来ますからね。絵柄や作風的に時代にマッチしなくなったのかな。

 益子かつみ先生は1971年に46歳という若さで病気でお亡くなりになられてます。日本児童漫画界の戦後ストーリー漫画(ギャグ調漫画も含む)黎明期のいろいろな雑誌や貸本で、たいへんな作品数の漫画作品を執筆されて来てますね。

    

      

少年漫画劇場 6巻 武内つなよし「赤胴鈴之助」、益子かつみ「さいころコロ助」、白土三平「死神剣士 コミック (紙) 筑摩書房 (著)

赤塚不二夫が語る64人のマンガ家たち (立東舎文庫) (日本語) 文庫 赤塚不二夫 (著)

快球Xあらわる!! (ペップおもしろまんがランド 3) (日本語) 単行本 益子 かつみ(著)  

 
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コメント
 
 
 
Unknown (無名)
2023-09-10 09:09:08
 現在で言う最強ジャンプか。幼年ブックの少年ブックとの統合→幼年ブック以来の児童誌の試験創刊としてブイジャンプ→Vジャンプはゲーム雑誌に移行→少年向け雑誌の体系化に伴い試験誌時代のブイジャンプや幼年ブック以来の児童誌として最強ジャンプ創刊。
 幼年ブック、日の丸から試験誌としてのブイジャンプを挟んで最強ジャンプになるのか。
 
 
 
Unknown (ken-mortima)
2023-09-27 23:59:23
無名様。コメントありがとうございます。
僕は、もともと80年代からこっち、少年ジャンプとその系列の漫画雑誌をほとんど読んで来てないので、ブイジャンプも内容は知りません。
90年代以降は漫画はコミックス単行本で読むようになって、漫画雑誌は少年誌も青年誌も全くと言ってもいいくらい読んでません。
ただ、ジャンプは例えばビジネスジャンプとかいろいろ枝分かれしてさまざまなジャンプ系雑誌が出ましたね。今ではネットのみ発行のもあるようですが。
2010年代以降、雑誌が売れない時代になって休刊(廃刊)になる雑誌も多いようです。
電子書籍の時代になって、雑誌がどんどんなくなって行くのは寂しいものですね。
 
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