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米国債の格付け、上方修正のニュース

2013年06月11日 | ニュース・コメント
前回6月7日の日本の金利の話で私は以下のように書きました。

>金利はどんどん上昇したりはしません。黒田日銀の強引な買いに押され、矛盾した目標と手段に市場の参加者も次第に慣らされてしまう。とにかく年間60-70兆円も国債を買いまくろうというのですから。それでも足りなきゃ、きっと「いまだけ増量」がはじまります(笑)。

  本日(6月11日)日銀の政策決定会合が開催され、「今だけ増量」はありませんでした。黒田日銀は現状の長期金利の若干の上昇はあまり気にしていないと思います。およそで言えば0.5-0.6%くらいだったのがせいぜい0.8%になった程度ですから。

金利上昇の犯人はだれか?

  誰が売って金利が上昇しているかのヒントになる統計が昨日(6月10日)財務省から発表されました。5月は外人が日本の中長期債をネットで6,688億円売却していました。内容は売却8.2兆円、買入れ7.5兆円です。差の約6.7千億という金額はさほど大きくないのですが、日銀が中長期債を買い上げて流動性がなくなりつつあるなかでは一定のインパクトはあると思います。でも真犯人はわかりません。まあ、私は追及するほどのことはないと思っています。株の投資家さんたちは、ジェットコースターから降りられないため、金利にも敏感にならざるをえないのでしょうが・・・

  別件です。「きのうの600を超える株高はいったい何で?」という質問を友人から受けました。私にはよくわかりませんが、下記の解説が日経電子版にありましたので参考までに引用します。

「今日は完全に『踏み上げ』相場」と語るのは○○証券の○○副本部長。踏み上げとは空売りしている投資家が予想とは反対に売った値段よりも株価が上がってしまい、買い戻しの増加で株価がさらに上がっていく現象のことだ。10日 は個人投資家に人気の東京電力やアイフルなどの銘柄で、踏み上げに伴う買い戻しが多く入った。東電は50円(9.7%)高、アイフルは92円 (10.0%)高で引けた。踏み上げが理由なら、相場が戻り歩調に入ったとはまだ断定できない。


  これがすべての理由とも思えないのですが、最近になく出来高が少ないのに強烈に上昇したので、踏み上げも一理あると思われます。

  今日の話題は、「米国債の格付け」に関してです。

私は昨日の記事で、「アメリカの金利上昇は、全快祝いだ」と書きました。格付け会社S&Pがそれに反応して(ウソ、笑)格付けの見通しを上方に修正しました。

  そもそもこのS&P社は、私の「米国債を買え」の出版祝いに、11年の8月に米国の長期格付けを史上初めてダウングレードしてくれたのです(笑)。タイミングとしては財政の崖から初めて転落するか否かの瀬戸際に、それも間違った財政見通しの数字を使って!!

  本の編集者は「出版寸前に、なんてこった」と慌てていましたが、私は「財政の崖も、ダウングレードも気にする必要なし」と言いました。最終稿が終わってNY旅行に出ていた私をつかまえて、「何で大丈夫なのか、1ページ書き加えろ」とのこと。しかたなく理由を書きました。

  S&P社は、ダウングレードの理由にあった100兆円もの計算間違えを政府から指摘されても、挙げたこぶしを降ろしませんでしたが、2週間後には社長が事実上引責辞任。それでもAAAをAA+にしたまま2年が経過したのです。

  そして今回はまだアップグレードはしていませんが、先の見通しを「ネガティブ」から「安定的」に上方修正しました。理由は、

・米国景気の回復が税収増につながり、財政収支が改善
・金融政策も経済を下支えする役割を果たしている
・世界の主要な準備通貨としてのドルの地位は揺るがない


というものです。

  みなさんも、「何をいまさら」と思われるでしょうが、まあ全快祝いの花束として受け取ってあげましょう(笑)。すでに米国債に投資されている方、そして今後投資を予定されている方にとって朗報には違いありませんね!


コメント (3)
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