ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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いったいどこまで上がるのか、改め、いったいどこまで下がるのか(笑)

2013年06月02日 | 2013年からの資産運用
 
  先週末、ふたたび株価は下げてしまい、ジェットコースターからはまだ降りていなかったようですね。私のコメント・タイトルも「どこまで上がるのか」から「どこまで下がるのか」に変更です(笑)。

  REITの下げを読み始めて書いた3月のコメントは下げ始める前に間に合ったのですが、今回はそろそろとか書きはじめたら実際には間に合わないほどのスピードで下げてしまいました(笑)。

  友人からは「オマエは『金なんかダメ』だとか『アップルはバブルだ』とか下げばかり当てて、そのうち『貧乏神だ』と言われるぞ」と警告されています(爆)。

  さて、この先をもう少し私なりに読んでみます。でもどうぞご安心を。元の黙阿弥になるような下げは見通していませんので。まず3本の矢の海外からの評価です。

  来日して日本を応援する公演をしたりするエコノミストや国際機関のおエライさんを除くと、イギリスのフィナンシャルタイムズやアメリカのウォールストリートジャーナル、そして多くの経済アナリストも今後株が再び上げ基調に入るか否かは、3本目の矢の表面的な成長戦略などではなく、本格的構造改革が打ち出されるか否かだと見ています。何故そうなるのか?

1.政府の「成長戦略」なんて政権が変わるたびに言っていて、聞き飽きた

2.日本に一番必要なのは厳しい構造改革で、アメリカもイギリスも、レーガン、サッチャーがそれで構造改革に成功を収めた

3.構造改革ができなければ、財政破綻が一気に近付く


  こうした構図を描いているからで、国内でもそうした見方をしているエコノミスト、アナリストが増えています。つまり選挙後を見据えているのです。

  そうした人たちが描く本格的構造改革とは、産業競争力の強化だけではなく、大きな痛みを伴う改革、つまり「財政支出の削減」や「農業分野・医療分野の自由化に代表される既得権益への切り込み」ができるか否かです。産業競争力強化だ、先端産業強化だ、経済特区だでお茶を濁す程度では納得しないのです。日本の財政が多少の経済成長や消費税増税くらいでは改善できないことを知っているからです。

  今後政府はきっとそれを俎上には載せるでしょうが、実行段階では「骨太」どころか「骨抜き」になるのは毎度のことです。自民党は衆参両院で圧倒的過半数を得ると、憲法論議には走っても日本全体の痛みを伴う構造改革へ突っ走ることはできない。きっと財政の崖から転落するまでそれはできないでしょう。自民党だけでなく国民もこれまでと同じで、焼け野原になるまで気がつかないのではないでしょうか。

  あー、また言っちゃいましたね(泣)

  日本が大好きな私はそんなことになってほしくはないのですが、選挙民も政治家も口に苦い良薬をみずから飲むとはとても思えません。消費税議論と同じで、「その前にやることがある!」などと言いながら結局先送りをする。それを言いだしたら選挙で葬られる。今回消費税の値上げができそうなのは、民主党がまさかのハズレくじを引いてくれたからです。その民主党は今や見る影もありません。

  今成長戦略として様々な分野で様々なアイデアがでてきています。しかしそれらはしょせん決定打とはならない小つぶレベルでしょう。それをどれほどたくさん積み上げたところで、とても追いつかないほど日本の財政の悪化はひどいところにきています。

じゃ、それが出ないと株価はさらに暴落するの?

いいえ、しないと思います。暴騰もしないけど、暴落もしないでしょう。

なんで?

1.アベノミクスマジックは「かかってあげている」人もいますが、「本当にかかった」人もいるから
2.世界のカネ余りは継続するから


  何も解決していない欧州が小康状態を保っているのもそのためだと思います。日本の先行指標であるイタリアも、改革が停滞したままなのに金利は上昇どころか低下し、CDSスプレッドですら低下しているのです。
  しかし世界のカネ余り相場も、このまま平穏では終わりません。当然報いは来ます。あちこちで小バブルの足音が聞こえているからです。それについてはまた別途書きます。←マタバブルカ

じゃ、下値のめどは?

  私は今回の11月から株価約7割の上昇要因を、業績の裏付けある上昇が半分、PERという期待値の上昇が半分だと分析しました。その期待値部分約3割が剥げ落ちるのが最大で、業績のノリシロ部分(為替90-95円、企業の保守的見通し)がうまく好転し、経済指標が改善するとピークから2割程度で止まると見ています。

つづく
コメント (3)
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