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明けましたのに、おめでとうと言えなくて、残念です

2024年01月03日 | ニュース・コメント

 新年早々、なんという悲劇の連続でしょう。驚くとともに亡くなった方々の

ご冥福をお祈りします。

 

 昨日2日、夕方のNHKニュースで震災の映像を見ていたら、突然羽田空港の航空機火災事故に切り替わりビックリでした。JAL機の着陸時に爆発的火災が生じそのまま滑走路を走っているのを見て私は家内に、「あれはきっと離陸態勢に入っていた機材がいて、着陸機とクラッシュして炎上したに違いない。でないと着陸の瞬間にあんな爆発的火災など起きない」と即座に言いました。

 しかしニュースではしばらくは単独の火災事故だとの前提でアナウンスが進んでいました。NHKの記者が偶然能登地方に向かうために空港ロビーにいて、そこから局にレポートしていました。

 私が何故即座に単独事故でないと確信したかを説明します。着陸する機材も離陸する機材も当然向かい風に向かって同じ滑走路から離着陸します。着陸時は頭を上げ気味にし、お尻を低くし後輪を先に着地させてブレーキングします。すると頭が下がって前輪が着地します。その様子はみなさんも体験していると思います。

 着陸後の映像では、機首が無事であるのに爆発的発火が見られました。一般的に爆発的になるのは翼に積んである燃料に一度に着火するためです。ところが少なくとも左の翼はもげたりせずほぼ水平を保っていて、しかも翼端のランプが点滅していました。右翼からも爆発的火災は見えませんでした。ということは、別の機体にお尻がぶつかりそちらの燃料が爆発したのだと推定できたのです。

 

 これから様々な調査が行われると思いますが、私の推測は「海上保安庁機のミス」

 

 JAL機は東京湾に近づいて木更津上空に来るまでに当然着陸許可をもらっています。その後海側からC滑走路にアプローチしますが、滑走路がクリアーであることも確認しますので、ミスをする余地はありません。

 そして管制塔の管制官が、着陸許可と離陸許可を同時に出すこともあり得ない。当然海保機はアプローチの待機場所で待機せよと指令を出します。その後滑走路に向かえと指示を受け、右を見て着陸機の来ないことを確認しなければならず、今回はそれを怠ったに違いないのです。

 

 航空機のランディング・ライトは非常に明るくて遠方から見えます。私のマンションからでも20km先の羽田に木更津方面からアプローチしてくる旅客機のライトは、3つ、4つ、時には5つも見えるほどです。

 海保のパイロットがチラリとでも右を見れば、絶対に見えるハズ。非常に勝手な憶測ではありますが、パイロットミス以外の原因は考えられません。

 

 その後は消火活動をしている様子がテレビに映っていて、後方の窓から機内が燃え始めているのも見えました。しかし機外には消防士以外は見えませんでした。家内が「乗客はどうなったのだろう」と心配していましたが、私は「多分すでに脱出しているよ」と言いましたが、家内は「そんな早く逃げられるの?」とのこと。

 

 私はそのフライトが516便だと言っていたので、即座に「これは札幌発だ。1月2日の夕方着だと満席だろうね」。長年JALにいたので、フライトナンバーだけですぐに札幌発羽田行きの夕方便であることはわかるのです。5は東京=札幌間、最後の偶数は羽田への上り便を表すからです。

 

 何故旅客が脱出済だと推定したのか?

それは、旅客機というのはそもそも座席数にたいして満席の場合でも全員が90秒以内に脱出できるよう出口の数が決められていて、しかも全員の脱出を誘導できるだけの客室乗員を乗せているからです。

 みなさんも機内への搭乗が終わるとドアのそばのジャンプシートという席に乗員が後ろ向きに座るのをご存知でしょう。あれはいざという時に備えドアのそばに座るのです。しかも後ろ向きというのは飛行機がクラッシュした時に衝撃を背中で受けるため、怪我をしにくいからです。だったら全席そうすれば?という声が聞こえてきそうですが、さすがにそれはできません。景色が見にくいのと、飛行機は離陸時に10度から15度くらい機首を上げて上昇するため、後ろ向きだとつんのめるので足を踏ん張ることになって乗り心地が悪いからです。

 

 その昔JALに入社直後のことですが、地上勤務の社員も全員が飛行機からの脱出訓練を受けました。それも当時の主力機であるジャンボ機の2階席にあるドアから脱出シュートで降りるのです。高さは確かビルの4階程度だと言っていました。そこから滑り台で降りる、というより落ちるのを体験しました。 

羽田の近くにある訓練所のモックアップからシュートを出して行います。我々は服の上に整備員が着るジャンプスーツを着用し、軍手を付けて階段で上まで行き、客室乗員の指示に従ってシュートに向かって飛び降りました。勢いをつけて飛び降りないと途中で止まり後の人がつかえるから「勢いをつけろ」と言われました。女性社員は恐くてなかなか降りられない人もいました。

シュートは荒く目の強いナイロン製のため、降下中摩擦はかなりあり、手を出していると火傷をするほどです。強い素材でないと、靴のヒールで破いてしまうため強化されています。

社員は実際の事故を想定して訓練するので、降りたのちは後から来る乗客を安全地帯まで誘導しろと言われました。社員数が多いので、実際に客として事故機に乗り合わせる可能性はままあるのです。

今回の事故では火災が起きたあと乗客全員が無事に脱出したそうです。CAの誘導が非常に的確だったと思われます。機内はライトが落ちたとのこと。従ってマイクでのアナウンスはできないので、予備のメガホンを使い乗客を落ち着かせ、「慌てないでください。荷物を持たないでください」と言いながら、ドア付近で飛び降りるのを手伝ったのでしょう。それと客より早く降りて、上から来る乗客が立ち上がるのを手伝い、遠くに誘導する役目も負います。

ですが後で事故機の映像を見ると機首が低くなっていて、シュートは水平に近かったのでスムーズに滑り降りることはできず、きっと脱出時間は相当程度かかったと思われます。

 

いやー、後輩たち、本当に「グッジョブ!」。 お見事でした。

 

 あの燃える機体から無事にみなさんが脱出できたのは本当に幸いでした。海保機の乗員の方はお気の毒で、ご冥福をお祈りします。パイロットの方は重症だそうですが、証言はできそうです。今後のために事故原因が特定されることを祈ります。

 

 

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1 コメント

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Unknown (目白のおっちょこちょい)
2024-01-05 14:29:21
本当に、客室乗務員の方々の日頃の訓練の賜と思います。頼もしい限りです。
いざという時は本当にあるから侮れませんよね。

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