ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

うそかまことか、ロシア人の本音はどこに?

2023年02月25日 | ロシアのウクライナ侵攻

  先日プーチンが議員や軍人前に1時間45分も演説しましたが、相変わらず最初から最後までウソで固めた内容でした。トランプは大統領時代の4年間に2万回のウソを並べたてましたが、長年大統領の職にあるプーチンはきっとトランプを打ち負かしていることでしょう。ウソの回数カウンターくらいAIで簡単にできるはずなので、プーチンの言葉が放映されるそばからウソカンターを起動させれば面白いと思います。うんざりするウソをただ聞くのはこちらのストレスが溜まりますが、ウソカウンターをつければ、逆にストレス発散になるに違いない。誰か作ってくれないかなー(笑)。

  ではそれを聞いているロシア人はいったいどう思っているのか。本音を探すのは至難の技です。ロシアの独立系調査機関であるレバダ・センターの調査を見ても、毎月同じような数字が並ぶだけ。プーチンの支持率が80%を維持しているというのです。とても信じられる数字ではありません。

  それでも何かないかとネットで検索してみると、これまで見逃していた報道を見つけました。以下は時事通信昨年12月2日の引用で、出元はAPのようです。

 

引用

 ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し越年の雰囲気が漂う中、ロシア国民の間で「停戦交渉」を求める声が「作戦継続」を上回っているとする世論調査結果が明らかになった。独立系メディアは「前線で続く苦戦と(9月下旬からの)部分動員令」が背景にあると指摘。プーチン政権も、この状況を無視できないようだ。

 独立系世論調査機関レバダ・センターによれば、軍事作戦継続を訴える人の割合は徐々に低下。徴兵忌避などの混乱をもたらした予備役30万人の動員令を踏まえ、10月下旬の調査結果では36%にまで落ち込んだ。一方、停戦交渉に賛成する人は57%に上った。
プーチン政権は同センターを「外国のスパイ」と敵視しているが、調査の傾向は政権も注目しているとされる。


 独立系メディア「メドゥーザ」は11月30日、大統領府が治安機関を通じて実施した非公開の世論調査結果を入手し、内容を伝えた。それによると、停戦交渉への支持は7月に32%だったが、動員令後の11月は55%に増加。レバダ・センターの結果とほぼ一致した。逆に作戦継続を主張する意見は、7月の57%から25%に減少した。
 調査は戦争自体への賛否ではなく、長期化の可否を問うもの。国民がこれ以上長引くのを嫌っている実態が浮かび上がったと言える。


 メドゥーザによれば、同センターのデニス・ボルコフ氏は、侵攻に対する民意について「支持は依然として大きいが、個人として関与したいという願望は小さい」と解説。停戦支持の増加は、国民の生死に関わる動員令が影響したと分析した。
 関係者の話では、大統領府は国内メディアに対し「戦争のテーマを避け、もっと前向きな問題に焦点を当てるように」と通達を出しているといい、厭戦(えんせん)ムードの広がりを懸念していることがうかがえる。一方で「今後の停戦交渉は世論調査の傾向ではなく、軍事作戦の進行状況によって決まる」(政治学者)という見方もある。

引用終わり

 

  レバダセンターもメドゥーザも政府にはあまり芳しくない世論調査で、誰が政府による秘密の調査結果を持ち出したのかは明らかにされていません。

  ところが一方では冒頭に申しあげたとおり、侵略開始から1年を経過プーチン大統領の支持率はこのところ全く変化がないという調査結果もたびたび報道されています。それは上記の記事の中でも引用されている中立とされるレバダ・センターによる世論調査結果で、プーチンの支持率、あるいはウクライナ侵攻の支持率にあまり変化がなく高いままだとされています。いったいどうしてなのか?

  NHKのBSが先日その理由を探り当てていました。アンケート調査をするのに電話をかけるのですが、その冒頭で「名を名乗れ」と言うのだそうです。名前を言えば電話番号とでその人物の特定ができるため、「プーチンを支持しない」などと言えるはずがない。とにかく昨年夏の新法により、反政府的言動だけで禁固15年をくらう可能性があるのに、「支持しない」などと言えるはずはないのです。残念ですが独立系とは名ばかりとなってしまったのです。

  さて、ロシア人の本音がどのあたりにあるのか?

  政府調査を報道した独立系メディアメドゥーザは、ロシア内に拠点はなく、ラトビアのリガを拠点に活動しています。ニュースはロシア向けにはロシア語、その他向けには英語で報道しています。そのメドゥーサはロシア政府から目の敵にされています。1月26日のロイターを引用します。

引用

ロシア当局は26日、独立系メディアサイト「メドゥーザ」を「好ましくない組織」に指定し、ロシア国内での運営を事実上禁止した。また、ロシア国民がメドゥーザやそのジャーナリストに協力することも禁じた。ロシア政府によるメディア統制が一段と強まっている。検察庁は声明で、メドゥーザの活動が「憲法秩序の基盤とロシア連邦の安全に脅威を与える」と述べた。

引用終わり

 

  これは私には好ましいニュースです。ロシア政府が目の敵にしたということは、12月に報道された政府調査の暴露も、逆に信憑性が増すということになるからです。

  はたして何がほんとうなのか、みなさんはどう判断されますか。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日は何の日、にゃんにゃん... | トップ | 米国債投資のチャンス到来、... »

コメントを投稿

ロシアのウクライナ侵攻」カテゴリの最新記事