残念ながらプリゴジンはあっけなく進軍を止めて退却し、ベラルーシに亡命しましたね。ロシア軍のウクライナ侵攻の拠点基地をいとも簡単に制圧し、住民から歓迎を受けたにもかかわらず、何故モスクワまで200km地点まで行って進軍を突然停止したのか、徐々に真相が明らかになりつつありますね。200km地点はロシア軍の首都防衛線だったとのことですが、それはともかく、ベラルーシのルカシェンコが彼を説得したという話は彼自身による説明からしても信憑性が高そうです。
そもそもモスクワに進軍してロシア軍と正面衝突した場合、勝利することは不可能でしょう。たった一つ芽があるとすれば、多数のロシア軍勢がプリゴジン側に付くということでしょうが、その見込みが立たなかった。それとFSB(元のKGB)がワグネル幹部の家族を殺害するぞという脅しをかけて進軍を止めさせたとも言われています。
また途中まで多少の反撃しか受けずに進軍が可能だったのは、ロシア軍の最上層部でプリゴジンと通ずるものがいて、軍に反撃命令を出さなかったと言われています。NYタイムズは「プリゴジンへの内通者は例の狂暴なる指揮官スロビキンだ」と名指ししています。今後プーチンが上層部の誰を粛清するかでそれは判明するにちがいない。
プーチンはとりあえずほっとしているでしょうが、彼の絶対的権力に陰りが出たことは事実として尾を引くに違いない。だからと言って来年の選挙で有力候補が出る余地はないでしょう。よしんば出たとしてもまともな選挙など行われないため、プーチンの一方的勝利で終わるに違いない。
そもそもプーチン体制に反旗を翻せば、それだけで禁固15年という法律を作ったし、10年くらい前から報道管制が敷かれ、反政府的報道機関はすべて潰されています。つまり反プーチンの意見表明をする場すらない。それは先のトルコ大統領選と同じ。エルドアン以外の候補者の主張など一切報道されずにまともな選挙とはほど遠い選挙でした。
プーチンはこれまでも反対勢力の有力者はすべて投獄、あるいは暗殺してきました。プリゴジンもいずれは同じ目に遭うでしょう。ベラルーシはロシア同様の独裁体制ですから、暗殺されても誰が暗殺したかなど調査のしようもないのですから。
そして私の将来予想は、「オレ様独裁者は並び立たず」です。プリゴジンしかり、ルカシェンコもプーチンと並ぶオレ様独裁者ですから、いずれはぶつかり合うに違いない。
気の毒なのはワグネルの軍人やプリゴジンと握手したり歓迎したロシア人です。動画で撮影された証拠があるので、いずれFSBによる投獄や拷問が待っています。
それでも我々外部の人間が多少でも光明を見いだせたのは、そのような反プーチンの一般人が実は多数存在し、実際に行動に出たという事実です。それだけはフェイクなどではなく、厳然とした事実です。今後ワグネルを失ったロシア軍は徴兵を強化し、戒厳令すら出すかもしれません。それが逆に本格的反プーチン運動につながるかもしれません。それを首を長くして期待しましょう。
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