一昨日、遂に累計アクセス数が50万件を超えました。みなさまのご支援の賜物と、感謝いたします。
ありがとうございました。
さて今回はNISAです。
昨年9月に、今年の新年から開始されるNISA、少額投資非課税口座について私のコメントをみなさんにお知らせしました。NISAの主旨は、一般には「100万円まで非課税枠ができました。さあみなさん、投資しましょう」ということですが、私のコメントの要旨は、
・投資対象はハイリスクの株・REIT・投信のみ(低リスクの債券は買わせない)
・買ったら最後、売ることをさせない(売ったらその分非課税枠がなくなるので、売るインセンティブを削ぐ仕組みになっている)
・1年100万円の非課税枠は翌年以降に持ちこせないので必ず使い切れ(無理矢理でも100万円を投資させようとしている)
という辛口コメントでした。しかしそれでも同じ投資をするなら、「100万円分は利用しない手はない」とも述べています。
いよいよNISAが始まりましたが、開始にあたってこの新たな仕組みが市場にもたらすインパクトを、いつものように数字で把握してみましょう。どうやら口座数は多めに見て400万口座にのぼるようです。そこでその全部がたった一日で株式だけに全額投資されたとすると、どれくらいインパクトがあるか?
400万口座 X 100万円 = 4兆円
4兆円というのは、「たったの4兆円」なのです。東証の1日の出来高は20兆円から30兆円ですので、一気に投資されても買いが20%程度増加する程度です。しかも1年の枠はそれですべて使い切るので、取引日数が年に250日とすれば、年間ベースに引き直したインパクトは、
20% ÷ 250 = 0.08%
数字としては誤差にも値しないほどの微々たる数字なのです。大山鳴動ノミ一匹というところでしょうか。
もちろん今後増加するということはあるでしょう。しかし実は400万口座のすべてが新規口座とはかぎりません。かねてから証券口座を持つ友人たちに確かめると、誰もが「作ったよ」と答えました。すると実はかなりの程度が単なる移し替えかもしれないのです。みなさんはいかがでしょうか。
私にはこれを機に貯金を下ろして株式投資をする人がたくさんいるとは思えないのです。であれば実はNISAはノミではなく、「ノミの卵」程度かもしれません(笑)。(単純に口座間移動はルール上許されず、一端旧口座で売却してからNISA口座で購入する必要があります)
金融機関や報道各社はこの小さな「ノミの卵」があたかも大津波が来るかのように喧伝しています。
1月3日付けの日経新聞によると、
「NISAの口座は見込みも含めて400万。専用投信などが新たに600本用意され、待機資金は10兆円」とあります。
えっ、待てよ?4兆円のはずなのに、なんで10兆円なの?
日経ともあろうものが、こんな単純な計算もしないで煽り記事を書くとは、嘆かわしい限りです。
では何故この「ノミの卵」に向かって各金融機関が投信を大量設定し、莫大な宣伝費を掛けキャンペーンを行うのか。もちろん他に目論見があるからです。理由は、
その1.買ったら売れないNISAで、債券でも株でもなく「投信」を買わせて手数料を5年分確保する
その2.(こちらがより重要ですが)追加で投資勧誘を行う絶好の口実となる
新年早々、証券会社の社員さん、ごめんなさい。
アメリカ西海岸へのご旅行、大変興味深い時間を過ごされたようですね。旅は非日常の貴重な体験をすることができるので、私も大好きです。海外は、一昨年にアフリカ旅行をしましたが、途中でドバイに4泊して現地を見て回りました。「ドバイショック」からすっかり立ち直って、いたるところ建築ラッシュが再開されて活気に満ちていたのが印象的です。ただ残念だったのは、そうしたプロジェクトに多く名を連ねているのが、中国系企業が圧倒的だったこと。ちょっと寂しくなりました。
私の今年の年末年始は、軽井沢で山荘生活。薪ストーブにはまりました。憩いの一時を過ごして、今週からは現実生活です。
さて、「10兆円の謎」ですが、年末に、全証券会社のMRFの純資産残高が史上空前の10兆円に迫る水準となっており、これをNISAの待機資金、と捉えている証券会社のメルマガが送られてきました。3大証券の内の一つからのものなので、これを鵜呑みにしたのではないでしょうか。
皆様ご存知のように、2013年末で証券税制の変更により課税率が10%の軽減措置が廃止されて本来の20%になるため、10%課税最終日の12月25日までに株や投信の利益確定売りが殺到した結果、MRFにそうした資金が流れ込んだだけのことなのに、証券会社は儲かりそうなネタと見れば何でも都合よく解釈するものだな、と思っていました。
まあ、私も、投信は全て解約し、まだ一部残してあった株も利益が大きく出ているものは一旦売却して利確しました。そうした資金は元の証券口座のMRFに年末までは入ってました。
年が明けて、さてどうしたものか、と考えたのですが、NISAには収まらないし、一部はまたノーロードのインデックス投信に戻すにしても、大部分は少なくとも確定申告後の振り替え納税が行われる4月末の時点までは、銀行に移してホールドすることにしました。前回の確定申告で、数百万規模で一括払いで振り替え納税要求され、えらく慌てたのに懲りたので。今回は、同額を既に予定納税させられておりますが、年収も増えているので、同様の事態も予想され、ちょっとビクビクです。
それを無事通過したら、残金は全て、時機を見てやはり米国債とBRK株に振り向けようと思っています。米国の復調は本物のようですし、金利上昇の足音も聞こえてくるので。林様のブログで、ちょうどそのタイミングについてお話いただけるようなので、とても心待ちにしております。
本年も宜しくお願い致します。
ウォーレン・バフェット氏が率いるBRK(バークシャー・ハサウェイ)は
玄人筋に人気の高い投資対象ですね。私も検討対象にしましたが、
氏が高齢なのが最大のリスク要因に思えるので、躊躇しています。
投資会社なのにNAVプレミアムが高いのは、バフェット氏の手腕に
期待されているためでしょうから、このリスクは無視できないのでは
ないかと思います。
となれば、BRKの主要な保有銘柄をパクッてしまう方がベターかも
知れません。これならプレミアムもないですし。
http://www.gurufocus.com/StockBuy.php?GuruName=Warren+Buffett
ただ、同様に考える人が多ければ、懸念されるイベントが発生した
際にBRKの主要な保有銘柄もつれ下げする可能性はあります。
また、リアルタイムでBRKの売買動向を追えるわけではないので、
下手をするとバフェット氏の売りに買い向かうことになりかねないと
いう問題もありますが・・・
バフェット、マンガー両氏の引退リスクは、私も懸念しているところです。
同じ銘柄群に投資する方法も検討したのですが、売買タイミングのタイムラグの問題に加えて、まだまだ高い米国株売買手数料などのコストの問題もあり、日本にいる日本人が行うには正直ハードルが高いかな、と思っています。
以前、同様の懸念を林様に相談した際には、トップが替わっても投資方針に揺るぎが無ければ「買い」、とのお答えでした。
さすがに、BRK.A株は1回の投入資金が大きくなり過ぎるので、B株を数カ月おきにちょっとまとまった量ずつ分散購入していこうかな、と考えております。
米国株は、ストップ安の制度が無いので、「垂直落下」は十分起こりうる事で、しかも日本時間では深夜早朝帯に起こるので、板に張り付く事もできないため、不測の事態に備えて、逆指値の売り建ては必須かもしれませんが。
投資を始めたのが、2007年のサブプライムローン問題発覚直後からで、殆んどひたすら右肩下がりの時代しか経験していないので、経験上、個別の投資でのある程度の損は織り込み済みです。投資で大儲けは考えず、インフレや通貨安があった場合でもトータルで資産価値を減らさずに維持できれば良い、と思っています。
今後も、有益な御指摘宜しくお願い致します。
今年もよろしくお願いします。旅行のお話はまた別途書くようにします。
薪ストーブですか、いいですね。軽井沢の寒さにはぴったりの感じがします。今回の旅行で泊ったホテルには暖房の他に暖炉があって薪が置いてあったので、何度か使ってみました。炎のゆらめきが暖かさをより感じさせてくれました。
ことろで運用のお話ですが、昨年末までの売却は理にかなっていますね。その後待機も正解のような気がします。儲けが多いと納税も大変ですね。
雪風ファンドさん
今年もよろしくおお願いします。
この欄で活発に議論しましょう。
雪風さんとPuffinさんのお話しのなかにあるバークシャー株ですが、私ももちろん2人の経営者のリスクはあると思います。
雪風さんのアイデアにあるBRKと同じポートを組むのは得策ではありません。バークシャーが株式投資だけで儲けているなら、アメリカ人はみんな同じことをするはずですが、していません。彼らのポートはもっとずっと複雑で、保険会社特有のリスクマネージでも儲けているのです。
時間があればバークシャーのサイトにはアニュアル・レポートが載っていますので、それで研究してみてください。オプションなどを駆使する運用方法が書かれていますので。
それとバフェット氏もマンガー氏も、当然自分のいなくなるリスクを考えています。市場はある程度反応するでしょうが、すぐに戻るでしょう。かれらがいなくなっても何年かは驚くほどのキャッシュフローをもたらすだけのポートを組んでいます。
私のスタンスは以前と変化ありません。
このブログが書かれたきっかけは、日本の財政破たんでも影響をこうむらない投資物件ということだったのではないかと思っております。ギリシャ危機でも、世界が影響を受け、緊張を強いられました。日本危機が顕在化した場合は、影響は、ギリシャの数十倍に上るだろうということは、簡単に想像されます。ゆえに、安全な米国債に投資しろということなのでしょうが、バークシャーであれ何であれ、日本危機の場合には、物凄い悪影響をこうむらざるをえないことが想像されますよね。これは、米国リートでも、同じではなかろうかと思います。私の思い過ごしでしょうか?
このブログが書かれたきっかけは、日本の財政破たんでも影響をこうむらない投資物件ということだったのではないかと思っております。ギリシャ危機でも、世界が影響を受け、緊張を強いられました。日本危機が顕在化した場合は、影響は、ギリシャの数十倍に上るだろうということは、簡単に想像されます。ゆえに、安全な米国債に投資しろということなのでしょうが、バークシャーであれ何であれ、日本危機の場合には、物凄い悪影響をこうむらざるをえないことが想像されますよね。これは、米国リートでも、同じではなかろうかと思います。私の思い過ごしでしょうか?
>バークシャーであれ何であれ、日本危機の場合には、物凄い悪影響をこうむらざるをえないことが想像されますよね。これは、米国リートでも、同じではなかろうかと思います。私の思い過ごしでしょうか?
日本の危機が顕在化すると、山ちゃんご指摘のとおりアメリカ国債以外のリスク資産は総崩れになると思います。
それはリーマンショックでも同じで、買われたのは米国債と日本国債だけでしたが、日本国債がだめとなれば米国債しかなくなります。
しかしリーマンショックと比較すると日本国債は外人が保有していないので、海外への直接の影響は少し小さいと思われます。市場は瞬間的には大きく反応して混乱するでしょうが、その後の立ち直りもリーマンで経験済みなので、バークシャーなどは真っ先に買われるかもしれませんね。米国リートもその次あたりの候補かもしれません。
リスク資産は暴落の時に買えるかどうかで、勝負が決まると思います。バフェットじいさんがそうだったように(笑)
かも知れませんね。林さんがおっしゃるように保険事業の比率
も無視できません。
あと、ちょっと補足すると非上場株式の膨大なポジションもマネ
のしようがありません。(Puffinさんもご存知に違いない話では
ありますが・・・)
昨年の大きな収穫の一つは、このサイトにたどり着いたことで
した。2014年も活発な議論を楽しみましょう。
(ご挨拶が遅れましたが)今年も宜しくお願い致します。
米国リートも同様では?という話ですが、全くその通りです。半値ぐらいになっても何らおかしく
ないでしょう。
実際に過去の9つのテールイベント(ブラックマンデー・LTCMショックなど)におけるアセットクラ
スごとの円建てパフォーマンスを月単位で見ると以下のようになるそうです。
±0%程度 日本円現金、日本債券
-3%程度 外国債券、ゴールド
-10%程度 日本株式、外国株式
債券は実際”危機”に強いです。ただ注意しないといけないのは、債券におけるテールイベント
は株式のそれとは毛色が異なるということです。日本でいえばVaRショクとか資金運用部ショッ
クなどという一般には聞きなれないイベントが債券市場における大事件でした。
米国債券市場におけるショックも現在進行中だと思っています。名付けて”景気回復ショック”
といった感じのイベントが。
■米国国債 20年超 ETF (TLT)の1年チャート
http://finance.yahoo.com/q/bc?s=TLT+Basic+Chart&t=1y
ただ、ドルが強くなれば無問題。私もコツコツ米国債のポジションを増やしていますよ。
ゴールドバグが作った資料などを参考としています。
http://www.gold.org/download/pub_archive/pdf/role_of_gold_20121212_jp_qr.pdf
(作成者には申し訳ないですが)金のPR機関が作った資料なので、ゴー
ルドに関する記述は無視してOK。私はこれを見て外国債券というアセッ
トクラスは軽視できないと再確認できました。
8ページの、9つのテールイベント発生時の株式・債券の円建てパフォー
マンスはなかなか面白い資料です。(リーマンショック後に外債がマイナ
スとなっているのは為替が円高に振れたせいで、直後に米国債とキャッ
シュへの資金の逃避が起きたのは事実です)
これを見ると過去の危機には日本債券が最強でしたが、今後の日本危
機を想定すれば日本株式・日本債券はダメ。(多くの国民は無自覚のま
ま日本債券に大きなポジションを持ってますね。年金原資という形で。)
外国株式もショックには弱いアセットクラス。米国REITも似たようなもの。
となればやはり外国債券は外せないです。テーパリング傾向で弱含み
が濃厚だとしても。
テールイベントが怖ければ、当面は外貨キャッシュでもOKだと思います。