ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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買ってはいけない、投資商品  その1

2011年05月17日 | 資産運用 
これから、ファンドの3つのうたい文句を検証してみましょう。

1. 世界のハイイールド債券に投資(注;分散をしている)

ハイイールド債とは何でしょうか?
答えは「投資不適格債」、つまり業界で言う「ジャンクボンド」です。投資適格債とは格付けでトリプルB以上を言いますが、この投信は投資不適格なダブルB以下の債券に賭け金を張るギャンブルです。金融資産が数億円あり、数千万円くらいならギャンブルしてもいい、と言う方ならわかりますが、80歳を越えて年金で生活されている方にインカムゲイン型(毎月配分がある)としてジャンクボンドを勧めるのは言語道断です。ちなみに「ハイイールド」などという言葉は、「ジャンク」を取り繕うために投資銀行が作ったオブラートです。

Q;投資適格って、誰がきめているの?
A;格付機関は格付け(AAやBBBなどのレーティング)を決めるだけです。投資適格というのは、アメリカの機関投資家団体が、BBB格以上を投資適格(Investment Grade)と称して、自分たちの自己規制に使っている言葉です。

さて、うたい文句の1.には下の注書きがあります。
* 世界のハイイールド債券への投資は、円建ての外国投資信託である「N・マルチ・マネージャーズ・ファンド=グローバル・ハイイールド・ボンドを通じて行います。」
いったい何を言いたいのかよくわかりませんよね。趣旨は、この投信の運用の主体としてパンフレットに書いてある「Nアセットマネジメント」には投資ノウハウがないので、「N・マルチ・・・」に任せますということです。

ここでの注目点は3つ
注目点① N・アセットと・・・カタカナ表示のN・マルチの2社が噛んでいて、運用報酬を両者が得ている2重取りであること。(厳密には販売会社のN証券を含め、3重取り)
注目点② お題目で世界のハイイールド通貨選択型と言っておきながら、実際の投資は円建ての外国投資信託を通じているファンド・オブ・ファンズ(注)であること。 ファンド・オブ・ファンズとは、自分が運用するファンドでなく、投資対象を他社の運営するファンドとするファンドで、ファンド選択のノウハウを売り物にしています。手数料はいうまでもなく、他社と自社の2重取りされます。

注目点③ N證券に実際の運用対象債券を私が確認したところ、実は円建てではなくすべてドル建て債券への投資であること。看板に偽りあり。

通貨選択型とは、様々な通貨建ての債券に投資するのではなく、ドルに対する高金利通貨の為替プレミアムを利用した運用であることが判明しました。

といってもこの説明では多くの方には何がなんだかわからないと思います。要はカモフラージュをほどこしたドル債のジャンクボンドへの投資なのです。

つづく


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