アメリカの金利見通しに関する議論も最終回を迎えました。
まず前回のおさらいからです。金利を左右する要素を上げて、その中で大事な点を「大きな」という形容詞で強調しました。再掲しますと、
① FRBの米国債買いがストップ(36兆円、金利には大きなプラス)
② 来年なかばにFRBの政策金利上げ開始(金利には大きなプラス)
③ 海外投資家のうち産油国からの買いが減少する可能性があり売りに回ることもありうる(ロシア保有分12兆円、OPECなどの保有分31兆円、金利にはプラス)
④ 連邦予算の赤字削減による国債新規供給の減少(10兆円、金利にはマイナス)
⑤ 雇用の順調な増加(金利には大きなプラス)
⑥ 物価の落ち着き(金利には大きなマイナス)
⑦ 世界の中央銀行の政策、日本は緩和継続か増強、中国は緩和、欧州も緩和策増強見込み(おしなべて金利にはマイナス)
そしてまとめとしては「何と言ってもFRBの政策スタンスと雇用そして物価」と述べました。
では、上記のおおまかな要素を踏まえて来年の長期金利のレベル感をさぐります。
FRBの利上げを年の中ごろと想定して、私の10年物金利の予想レベルは15年中は上が3%前後です。
今年の予想は、量的緩和終了が不確定だった中で3.5%だったのと比べると、すでに量的緩和策が終了し、利上げがかなりの確度で開始されそうなのに、ずいぶん慎重です。一番の理由は⑥の物価の落ち着きで、それがFRBの政策スタンスにも影響すると思われるからです。
世界経済はいまアメリカ頼りになっています。来年を概観します。
・ 欧州は底は打っても大きな回復は望めない。むしろさらなる減速リスクから一段の緩和策(国債買い取りなど)がいつ実行されるかに焦点が移っている
・ 中国も間違いなく成長ペースが鈍り、むしろ不動産価格の下落スピードが増すと大きくスローダウンするリスクがあるため、人民銀行が金利引き下げを繰り返す可能性がある
・ 資源国はこれまで述べてきたように産油国であるロシア、中東、中南米、そして石油以外の資源国である南米、オーストラリアなども回復が見込めない
・ 日本は14年が年間通してもマイナス成長となるのはほぼ確定。物価上昇率も毎月低下が継続し、本日発表の11月実績は消費税分を除くとコア指数で前年比がわずか+0.7%まで低下。来年3月に2%には絶対にならない。15年の夏には成長戦略などカラ念仏だということがバレて政策手段が尽きる。もっともバズーカクロちゃんだけは国債ネタが尽きると株を買いまくる暴挙に出て国際的非難を浴び、格下げの主犯となる。財政問題を抱えることから大きな財政出動はできずに、結果として成長率はゼロ近辺に終わる可能性が大きい。
物価を上げて成長を促すはずが、ここまで物価は0.7%しか上がらず成長率はマイナスで「アベノミクスとはなんだったのか」となっている
要するに15年は頑張るアメリカの足を世界の大どころがみんなで引っ張る図式です。そして上記の見通しには天変地異を始め、国際紛争など様々な外部リスクは加味していません。何故加味しないかの理由は、それらが起こる確率は上昇する一方ですが予測が不可能であること、私が投資を推奨している投資対象が悪材料に反応しやすい株式などではなく、世界が真っ暗になればなるほど光を放つ米国債だからで、世界のリスクなど計算に入れる必要がない投資対象だからです。
アメリカの金利に戻ります。アメリカだけに頼る世界経済では資源価格を筆頭に一般物価も大きな上昇は望めません。アメリカの物価上昇を抑えているもう一方の国内要因は賃上げの低さです。失業率は大きく改善し、7-9月期のアメリカのGDP成長率はなんと改定値が5%に乗りました。しかしいくら経済が順調だとしても、物価見通しに過熱感が出ないと利上げは急ぐ必要がありません。たとえ6月に利上げが開始されても、その時点で半年後・1年後にかなりの物価上昇が見込まれないと、連続してどんどん上昇させる必要はないのです。政策スタンスがその程度だと、長期金利も簡単には上昇しないと思われるので、私の結論は3%前後がせいぜいだろうと見込んでいるのです。
このところ中央銀行の役割が大きく誤解されています。どこの中央銀行もインフレを煽る役割ばかりが期待されていて、本来の役割である「物価の番人」、つまり物価上昇リスクを早目に抑え込むという最も大事な役割が忘れ去られています。それほど物価が落ち着いているということです。しかし長期ではそうした安易な物価扇動策は裏目にでる可能性は非常に大きいのです。
以上がアメリカ金利に関する私の見方と、世界の中央銀行への警鐘です。
まず前回のおさらいからです。金利を左右する要素を上げて、その中で大事な点を「大きな」という形容詞で強調しました。再掲しますと、
① FRBの米国債買いがストップ(36兆円、金利には大きなプラス)
② 来年なかばにFRBの政策金利上げ開始(金利には大きなプラス)
③ 海外投資家のうち産油国からの買いが減少する可能性があり売りに回ることもありうる(ロシア保有分12兆円、OPECなどの保有分31兆円、金利にはプラス)
④ 連邦予算の赤字削減による国債新規供給の減少(10兆円、金利にはマイナス)
⑤ 雇用の順調な増加(金利には大きなプラス)
⑥ 物価の落ち着き(金利には大きなマイナス)
⑦ 世界の中央銀行の政策、日本は緩和継続か増強、中国は緩和、欧州も緩和策増強見込み(おしなべて金利にはマイナス)
そしてまとめとしては「何と言ってもFRBの政策スタンスと雇用そして物価」と述べました。
では、上記のおおまかな要素を踏まえて来年の長期金利のレベル感をさぐります。
FRBの利上げを年の中ごろと想定して、私の10年物金利の予想レベルは15年中は上が3%前後です。
今年の予想は、量的緩和終了が不確定だった中で3.5%だったのと比べると、すでに量的緩和策が終了し、利上げがかなりの確度で開始されそうなのに、ずいぶん慎重です。一番の理由は⑥の物価の落ち着きで、それがFRBの政策スタンスにも影響すると思われるからです。
世界経済はいまアメリカ頼りになっています。来年を概観します。
・ 欧州は底は打っても大きな回復は望めない。むしろさらなる減速リスクから一段の緩和策(国債買い取りなど)がいつ実行されるかに焦点が移っている
・ 中国も間違いなく成長ペースが鈍り、むしろ不動産価格の下落スピードが増すと大きくスローダウンするリスクがあるため、人民銀行が金利引き下げを繰り返す可能性がある
・ 資源国はこれまで述べてきたように産油国であるロシア、中東、中南米、そして石油以外の資源国である南米、オーストラリアなども回復が見込めない
・ 日本は14年が年間通してもマイナス成長となるのはほぼ確定。物価上昇率も毎月低下が継続し、本日発表の11月実績は消費税分を除くとコア指数で前年比がわずか+0.7%まで低下。来年3月に2%には絶対にならない。15年の夏には成長戦略などカラ念仏だということがバレて政策手段が尽きる。もっともバズーカクロちゃんだけは国債ネタが尽きると株を買いまくる暴挙に出て国際的非難を浴び、格下げの主犯となる。財政問題を抱えることから大きな財政出動はできずに、結果として成長率はゼロ近辺に終わる可能性が大きい。
物価を上げて成長を促すはずが、ここまで物価は0.7%しか上がらず成長率はマイナスで「アベノミクスとはなんだったのか」となっている
要するに15年は頑張るアメリカの足を世界の大どころがみんなで引っ張る図式です。そして上記の見通しには天変地異を始め、国際紛争など様々な外部リスクは加味していません。何故加味しないかの理由は、それらが起こる確率は上昇する一方ですが予測が不可能であること、私が投資を推奨している投資対象が悪材料に反応しやすい株式などではなく、世界が真っ暗になればなるほど光を放つ米国債だからで、世界のリスクなど計算に入れる必要がない投資対象だからです。
アメリカの金利に戻ります。アメリカだけに頼る世界経済では資源価格を筆頭に一般物価も大きな上昇は望めません。アメリカの物価上昇を抑えているもう一方の国内要因は賃上げの低さです。失業率は大きく改善し、7-9月期のアメリカのGDP成長率はなんと改定値が5%に乗りました。しかしいくら経済が順調だとしても、物価見通しに過熱感が出ないと利上げは急ぐ必要がありません。たとえ6月に利上げが開始されても、その時点で半年後・1年後にかなりの物価上昇が見込まれないと、連続してどんどん上昇させる必要はないのです。政策スタンスがその程度だと、長期金利も簡単には上昇しないと思われるので、私の結論は3%前後がせいぜいだろうと見込んでいるのです。
このところ中央銀行の役割が大きく誤解されています。どこの中央銀行もインフレを煽る役割ばかりが期待されていて、本来の役割である「物価の番人」、つまり物価上昇リスクを早目に抑え込むという最も大事な役割が忘れ去られています。それほど物価が落ち着いているということです。しかし長期ではそうした安易な物価扇動策は裏目にでる可能性は非常に大きいのです。
以上がアメリカ金利に関する私の見方と、世界の中央銀行への警鐘です。
林様の透視には100%同感です。
米10年債が3%まで上がると30年債は4%近くまでなり
買い時なんでしょうけど、アメリカの不動産もわりと脆弱な気がします。10年債3%まで行くといいのですが、すくなくとも円安基調はかわらないので押し目でせっせとドル買いしてます。今朝の日経みるとサウジも原油20ドルまで下がらないと減産しないなどと大国のアメリカに牽制してますが、いくら外貨がたんもりあるとしても、多少投資も減らしてきそうですね。中国の不動産は統計をとっている75都市?のうち70%近くが鈍ってきてますね。1か月金利と3か月金利が先日逆転していたような。。。利下げ要求のサインですね。赤の軍団もあっせって20兆円の財政出動きめてましたが、数百兆の不動産(固定資本)投資にマイナスのブレーキがかかると不良債権のオンパレードですね
欧州はご存じのように日本化してますし、
アメリカだけの1国強しの状況はありえるのでしょうか?そこだけが心配の種です。。。
中国不動産はこんな感じです
http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/140604ssqs.htm
先日の日経新聞13年度の家計貯蓄率がマイナスとの記事がありました。
どうも貯蓄が好きな日本人というイメージは昔のことのようです。
いまや貯蓄しないというアメリカよりも貯蓄率が低いとか。
もちろん少子高齢化の影響も大きいでしょう。
こうなると、お金を使わないから景気が悪いのではなく、
単なる経済衰退じゃなかなという気がします。
それでもアベノミクスは一時的な景気浮揚策しか考えない。
財政出動は全て日銀頼みという状態。
何か政治家もうそうでし、エコノミストも本当の問題とは向き合う気がないようです。
それに対して何も反応されていません。
以前もそうしたことがありましたが、気を悪くでもされたのでしょうか?
中国の不動産の状況はこのブログでも今年の3月から警鐘を鳴らしましたが、このところ一段と心配される状況になっていますね。
>中国不動産はこんな感じです
http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/140604ssqs.htm
情報、ありがとうございます。このレポート、とてもよくまとまっていますが、6月のレポートなので、数字はちょっと古い数字です。
>中国の不動産は統計をとっている75都市?のうち70%近くが鈍ってきてますね
これがもし新築住宅のことであれば、すでに価格公表70都市中ほとんどが前月比・前年比とも下落しています。またいずれ中国のことは書きたいと思っています。
アメリカの不動産がわりと脆弱とは、何を指しておっしゃっているのでしょう?
一強はあり得るか?
歴史上、ほとんどの時代は一強でした。
私が日本国債は15年プラスマイナス2年あたりでおかしくなると予想した根拠の一つがこの点です。
>どうも貯蓄が好きな日本人というイメージは昔のことのようです。
好きとできるか否かは別でしょう。
ない袖は振れない。
「団塊の世代」が貯蓄を使う「段階の世代」になったということです(笑)
なるほど、好き嫌いではなく、
無い袖は振れない。
アベ・くろコンビが金融緩和に
拘った本当の理由が透けて見えます。
それでもアベちゃんはひたすらバラマキをして
クロちゃんは必死に国債を買い続ける。
何処まで持つか不安です。
長期金利を3%近くにすると
新規住宅の投資がにぶるのでは?と
なにかで読んだ記憶が。。。。金利上がっても
可処分所得が追従する強い経済になれば
何ら問題はないと個人的には思っていますが。。。
一強はあり得るか?
歴史上、ほとんどの時代は一強でした。
国の強さ、覇権国は1強ですが、
消費、購入などは世界の国とつながっていると思います。鎖国でもしないかぎり、アメリカだけが強いまま進んでいくことはありますか?
では少し早いですが、今年もいろいろご教示いただきありがとうございました。来年もよろしくお願い致します!
もちろんそうですね。
それが自然な景気循環です。アメリカの住宅投資は非常に金利に敏感、つまり健全です。
よく考えてみてください。長期金利が3%になるということは、それまでに景気がとても強くなってきたことの証左です。金利が上昇してそれを冷やす。そして景気が悪くなれば金利が低下して景気を刺激する。それが当たり前の経済の循環です。
金利をいくら引き下げても反応しない日本とは大違いです。
そして、「金利上昇で住宅投資が心配」と言っているのは、株価を永遠に上げ続けたい不健全な株屋アナリストの言う常とう文句です。
>消費、購入などは世界の国とつながっていると思います。鎖国でもしないかぎり、アメリカだけが強いまま進んでいくことはありますか?
もちろんそのとおりで、一国だけ別世界にいるわけではありません。ただアメリカは輸出主導国ではなく、国内需要が分厚いので輸出主導国にくらべると影響は軽微だということです。アメリカが沈むとき、他国はすでに海の底。
早速の回答ありがとうございます
参考にバンバン??今まで通りの
信念でドルと長期債をうまいところで
購入していきたいと思います!
4%は欲しいですね。。。(笑)