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2014年の資産運用 アメリカの金利をどう見るか

2014年01月06日 | 2014年の資産運用
 前回の記事では、アメリカではFRBによる緩和削減のニュースに大きく反応し、全米ネットのテレビでも金利に関するニュースがたくさん流されていたというお話を差し上げました。そして、14年の長期金利予測のコンセンサスは10年物金利で3%の前半程度で、私はそれより上昇を見込んでいると申し上げました。

 金利予想は簡単に当たるものではないと思います。ボンドの帝王と言われる世界最大の債券投資会社ピムコのCEOビル・グロス氏も、この3年は予想をはずしまくっていて、交代が噂されています。にもかかわらず(笑)金利に関する私の考えを申し上げますと、10年物金利が3%の後半に届くことは大いにあり得ると見ています。はずしても、私は交代しません(笑)。

その理由をかいつまんで言えばアメリカ経済の強さにあります。

 そしてアメリカの強さに頼る日本も含めた海外の国々もアメリカ向輸出の量的増加と、強いドルを稼げることから従来より大きな恩恵を受け、各国もよい循環に入る可能性が強いと見ているからです。

 アメリカ経済の強さはこれまでと違い、金融サービスとIT分野から製造業へとシフトを始めています。金融サービスとIT分野は雇用の広がりがさほど大きな産業ではありませんが、製造業は裾野の広さから雇用の広がりも非常に大きいのです。昨日も「ボーイング社が民間主力機である787Xの組立工場を海外では行わず、国内に新設することで組合と合意した」というニュースがありました。17万人を超える従業員の大半が国内で働く大企業です。理由は組合が年金などのコスト削減に同意したためです。


 アメリカの雇用が回復を強めている背景はシュールガス革命によるものもありますが、こうしたエネルギー関連以外の製造業の国内回帰の動きもあるのです。

 では金利はどこまで上昇するのか。

 10年物金利が4%を超えてどんどん上昇するとは見ていません。アメリカの雇用はかなり強い数字が今後も出現するとは思っていますが、インフレ率は簡単に上昇しないとみているからです。

 強いドルは以前の日本と同じで、インフレを抑制する大きな力を持っています。そしてもちろんFRBもインフレが許容限度を超えそうになれば、いつでも引き締めに入ることを躊躇しないからです。

 こういう話までしてしまうと、ちょっと先を行き過ぎている感があるかもしれませんので、このあたりまでに留めます。

 では次回は、実際に米国債を含めたドル債に投資を考えている方に向けて、投資のタイミングについて私なりの考えをお知らせしたいと思います。
コメント (7)
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