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シリコンバレー その2

2014年01月16日 | 旅行

 しばらく間があいてしまい、申し訳ありません。連休から昨日まで、今シーズンの初滑りで八方尾根にスキーに行っていました。友人8人連れの大世帯なのですが、実は同じメンバーで1月末から2月初めにかけてアルプスのフランス側にスキーに出かけるための足慣らしです。アルベールビル・オリンピックのアルペンスキー会場のひとつに行きます。

えっ、シューマッハの怪我したところ?

 はい、近いところですが、あそこは超高級リゾート、我々は庶民リゾートですし、ゲレンデ外滑走は絶対にしません(笑)。

 
さて、目白のおっちょこちょいさんからシリコンバレーについて、コメントをいただきました。その中にあったニュースとビデオを拝見しました。

 「新たな支配層」という言葉、あの地区に住み恩恵を受けていないか、もしくは迷惑をこうむっているとしたら、言いたくなりそうな言葉ですよね。目白のおっちょこちょいさんのコメントには「不気味」ということも書かれていました。

>アメリカのIT企業なかでも Google, Amazon は進化が早く、様々な分野にまで手を広げていて不気味ですね。・・・・IT第1世代のMS, Apple はPCベースの会社の枠を出てませんが、第2世代の Google, Amazon はITの使い方が徹底的ですね。

 Google, Amazonのスピードと進化ぶりを不気味と見るのか、これぞシリコンバレーの真骨頂と見るのか、意見は分かれるところですね。

 設立目的からして「人類が使うすべての情報を集め整理し、提供する」ということですし、世界のベスト・アンド・ブライテストを集めて目的を実行しつつあります。

 不気味さも感じますが、すでに人類の進歩に貢献しつつもあります。私自身は行き過ぎれば必ず反動や規制が入るので、不安視する必要はないとみています。

 
 さて、シリコンバレー2回目のお話は、日本との関係です。シリコンバレーに住む私の友人は社会人になって大半の人生をこの地域で過ごしていますが、日本とシリコンバレーの一般的関係は、その間にほとんど変化はないという感想を持っていました。日本の存在はどこにあるかと聞くと、個人起業家の進出はとても少なく、日本である程度成功したIT系企業が、判で押したように出先を作っては消え作っては消える、その繰り返しだと言うのです。

 そして起業家はもちろん、技術者として目立つような日本人はほとんどいない。最近目立つのはインド人でありその前は中国人だそうで、日本人の存在感はいつになってもとても薄いとのこと。彼女の家の隣人も、ほとんどがインド人になりつつあり、娘の学校もしかりだそうです。

 私の叔父(父の兄)はすでに2000年代後半90歳で他界されているのですが、40歳過ぎから85歳くらいまで、なんと40数年にわたりかつてのシリコンバレーの中心地サノゼに住んでいました。元々が技術者で、日本に向けてテクニカル・ニューズレターを書いていました。

  その叔父も日本の存在感はどの時代をとってもとても薄く、シリコンバレーという言葉ができてのち世界の注目度が高まった後もほとんどなかった。それが故に自分は長く彼の地で生きてこられた、と言っていました。

  日本人は戦前の移民を除くと、世界のどこに行っても駐在員社会を作るか、あるいは留学生がそのまま居ついくかしかないように思います。つまり志高くその土地で骨をうずめる人がとても少ないように思えるのです。

  旅行をする1か月ほど前に、起業を目指す二人の青年を囲む会に出席しました。二人ともUCバークレー(カリフォルニア大学バークレー校)出身で、現在はスタンフォードのMBAに通う日本人です。彼らは帰国しなかった帰国子女で、一人は日本での起業、一人はシリコンバレーでの起業を目指しています。スタンフォード大学はシリコンバレーの中心に君臨し、シリコンバレーに人材供給をするアメリカでいま最も注目されている大学です。

  彼らを純粋日本人の若者にカテゴライズすることはできませんが、志の高さは見上げたもので、1人30分程度で大人達を相手に堂々と起業プランについて説得力のあるプレゼンをして、喝采を受けていました。こうした日本人の若者が少しでも増えてくれることを祈ります。

  しかし二人とも、ベンチャーにつきもののファイナンスを日本で募るつもりはないとのこと。日本人は話は聞いてくれるが、オカネはだしてくれないと冗談交じりに言っていました。

  2012年のベンチャー投資額は、日本が1,026億円、アメリカが2兆7,800億円だったそうで、28倍の開きがあります。そして日本ではベンチャー・ビジネスの成功事例が少ないため、投資の道が開かれていないように思えるのです。

  成功のためにはベンチャーキャピタルやそこで働くベンチャーキャピタリストという人達が必要なのですが、簡単には育ちません。だったら外人、それもシリコンバレーの経験者を招き入れればよいと思うのですが、政府系ベンチャーファンドには天下りが、銀行系ファンドや企業系ファンドにも企業内天下りが居座るのが日本の習わしなので、とても無理と言うものでしょう。

 長くなりましたが以上がシリコンバレーに住む友人のお話と、私の感想でした。次回はいつもの話題に戻ります。
コメント (1)
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