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2013年からの資産運用 その7、 年金保険はどうすべきか

2013年02月22日 | 2013年からの資産運用
 前回までのまとめです。

  アベチャンの政策がうまくいったとして、その結果は「円安とインフレ」をもたらしてくれます。

 すると「銀行が破綻しなくても、預金や現金で持っている円自体が対内的にも対外的にも価値を失う」というリスクをもたらしてくれます。

もちろんアベチャンの政策が失敗すると、最悪のケースは

1.円安インフレなのに賃金は上がらず、我々は窮乏化する
2.増発された国債で財政が破綻の淵に立たされ、国債の暴落、銀行破綻のリスクが生じる


 ということになります。私から見ると、アベチャンの強引な政策は、どちらにころんでも良い結果が出るとは思えないのです。


  さて今回からは、年金保険はどうしたらよいかのお話しに移ります。

  保険という商品は保険会社の倒産リスクを取ることになる商品だということをまず念頭に入れてください。

  90年代の終わりに、中小保険会社が倒産の嵐に見舞われ、返ってくるはずの保険が返ってこなかった経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。選ぶなら大手、ということですが、実際には倒産の嵐のあと合併の嵐がきて小さい保険会社はなくなりました。それでももちろんより大手にこしたことはありません。

  「ソルベンシーマージン」という言葉をお聞きになったことがあると思います。生保の安全性の指標です。銀行の自己資本と同様、高ければより安全です。「保険会社を選ぶ時にはこの数値をチェックしましょう」というのがちまたのファイナンシャル・プランナーの言葉ですが、私は

「年金保険はやめておきましょう」と申し上げます。

 それは置いておき、保険会社のリスクを具体的に考えて行きます。みなさんにとって気になるのは、貯蓄性の保険、しかも特に遠い将来に渡って受け取る年金保険の安全性でしょう。

  保険会社は将来の年金保険の支払いに備えるため、基本的には保険料収入を長期の債券や株式、不動産、外貨建債券・株式などで運用します。
  長期の支払いのために長期の商品で運用するのは基本中の基本です。でもバブル崩壊で不動産に懲り、株式では損失が出続けているので、彼らの運用はより安全な債券にシフトを強めています。ついでに言うなら外貨建て投資でも為替で損を出し続け、やっとここにきて一息ついているはずです。

 外債投資は私の提唱するように、単純に超長期で超安全な米国債だけ買い、償還まで持ちきれば円高なんかぜんぜん恐くないのに、切った張ったの債券ディーリングをしたり為替のヘッジをしたりはずしたりするので損失を出すのです。

  ここでもやはり年金保険の将来リスクは生保の国債保有の多さに行きつきます。生保全体の国債保有は約60兆円、経済誌の推定ですが償還までの平均年数は約10年です。ポートフォリオの中身が長期債ばかりのため、銀行よりはるかに価格リスクが大きいことになります。

 もし国債相場が下落すると銀行より激しく倒産の嵐がふたたび吹くことになります。

つづく
コメント (1)
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