きのうは大雪の中の成人の日でした。東京の世田谷でも、11階の家の窓から見えるのは一面の雪景色でした。
「成人になられた方、おめでとうございます」
と言いながら、我々団塊の世代は後ろめたさでいっぱいです。
青春時代を古きよき高度成長時代に過ごし、会社の中で中堅社員として働いた30代にはバブルを謳歌しました。その反省もしないまま、バブル崩壊後は夢よもう一度とばかりに財政のバラマキを続ける政府を陰ながら支持し続け、挙句の果てには財政崩壊前にリタイアを迎えて60歳から年金をいただきはじめました。
景気テコ入れのためバラ撒いた後に若干でも景気が上向いた時、本来であればすこしでもツケを返すべきでした。しかしバブル崩壊後は常に借金を積み上げ続け、一度として減ることなく、若い世代の上に重くのしかかっています。
「本当に申し訳ございません」
これが私の偽らざる現在の気持ちです。
さて、ここへきてアベチャンは昔ながらのスローガンを言いたてています。
バラマキの時の謳い文句はいつも
「緊急経済対策が必要」
そして財政再建の先延ばしに対しては、
「成長なくして再建なし」
今回も全く同じパターンが始まりました。
「出世払い」と言う言葉があります。
借金をしてすぐに返せる見込みがない時、いずれ出世をして払えるようになったら払うというむなしいカラ手形です。この言葉、返すなんてことはさらさら考えていないから使う言葉です。
「呼び水」という言葉があります。
ここでバラ撒けば、それが呼び水となって広範な投資を呼び覚まし、いずれは成長軌道に乗るハズ、という古き良き時代の経済理論に基づいた議論です。すでに20年間呼び水は砂漠に撒いた水で、いつも瞬間蒸発でした。投入した投資が次々と投資を呼び込む「乗数効果」という高度成長時代の経済理論に基づいた議論です。成熟した世界には当てはまらないのに、いまだにそれを信奉し言い続ける学者とそれに乗る政治家・官僚が多いのは、嘆かわしいことです。
「円高・デフレの克服こそ成長への道」がアベチャンの謳い文句です。
円高がいずれ本格反転するのは私も言い続けていますし、ここまで行く前にみんなで円高をエンジョイしてカネを使ってしまえばよかったと言っていますので、円安を否定はしません。
しかし「デフレの克服は成長への道」へ繋がるのでしょうか。逆に「不況がデフレを生む元凶」かもしれません。これは神学論争になってしまうので今は避けます。原因と結果が逆だと、成長にはつながらないかもしれません。
確実に言えて否定できない事実は、「日本の物価水準は海外よりはるかに高い水準にある」という事実です。
経済がグローバル化し、国際的物価水準に影響を受けるのに、そうした議論抜きでデフレの克服が呼び水というバラマキで達成できると言いたてるのは、これまた古い独善的経済理論の盲信です。
TPP反対はデフレの克服を鎖国で達成しようとする企みなのかもしれませんね(笑)
団塊ジュニア世代の息子とアベチャンの話をすると、こうした反応が返ってきます。
① 賃金が低いままで物価を上げるなどトンデモナイ!
② バラマキは過去のツケを返してからにしてくれ!
③ 親に年金を払わなくて済む選択肢を与えろ!(自分の年金は自分で積み立てる)
お説ごもっとも。
反論の余地はございません。
キャイーン!