ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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株式投資について その2

2011年06月19日 | 資産運用 

ちょっと難しい話から始めます。
難しすぎたら、遠慮なく指摘してください。

企業の適正な株価を探るには、「株式の持つ本当の価値とは何か?」を探る必要があります。
大企業の時価総額は兆円単位にもなります。あの東電もかつてはそうでした。

「紙くずになるかもしれない株式会社の株には本源的価値があるの?」
その質問への回答から、株式のお話をはじめましょう。

 突然ですが、みなさんに質問です。
「ゴルフ会員権ってお持ちになったことありますか?」
ゴルフには興味のないかたでも、バブル時代の会員権相場の高騰はご存知かとおもいます。そしてもし20年以上前に会員権を買われた方であれば、80年代のことを夢まぼろしの如く思い出される方もいらっしゃると思います。私は20代でゴルフを始め、年間プレー数が平均で30回くらいのゴルフきちがいなのですが、つい最近に至るまで会員権を持ったことがありませんでした。その理由は会員権に価格に見合った「本源的価値」を見出せなかったためです。

「じゃ、なんでここにきて買ったの?」

 5万円だったからです。名義の書換え料15万円を払っても合計20万円、年会費は3万円です。これなら3年を経ずして、回収できると踏みました。それと、20万円ならすぐ倒産して紙くずになっても、まーいいか、と踏んだのです。

いいえ実は、厳密にはすでに実質倒産していて紙くず同然の価格になっている会員権を拾ったのです。それが「本源的価値」以下で取引されていると思ったからです。

 私の考えるゴルフ会員権の本源的価値には2つの種類があります。

① 経済合理性
安いメンバーフィーと高いビジターフィーを比べ、プレーする度にメンバーはビジターと比べて割引がもらえます。割引を積み重ね、会員権価格プラス名義書換料を凌駕すれば、それが本源的価値の一つと考えられます。私の例で言えば、自分のコースで年間10回プレーして、1回に付きメンバーは1万円安いとすると、2年半ほどで26万円の元が取れます。(購入費20万円プラス3万円の年会費を2年分)そこから後の「おつり」が1つ目の本源的価値です。
 本源的価値にはメンバーとしてのステータス価値は含みません。それはプレミアムという付加価値であって、経済合理性を持った本源的価値ではありません。

② 残余財産価値
日本で一番高い会員権価格の小金井カントリーは現時点の買い希望価格が3,800万円、売り希望価格が4,400万円です。このご時世にもかかわらず依然として高い価格を保っています。何故なら小金井カントリーや大洗ゴルフクラブなど、ほんの一部のゴルフ場会員権だけはプレーする権利ではなく、ゴルフ場を所有運営する会社の株券にプレーする権利がついている特殊な形態だからです。
 それらには解散価値としての本源的価値があるため高値を保っているのです。それが2つ目の本源的価値です。ゴルフ場会社がつぶれたり、東京都に土地を売却しなければならなくなったなどの理由から会社を解散する場合、土地を売却して会社の借金を返した余りの金は、株主である会員間で分配にあずかれるのです。そのため1株の価格は、会員数で分割したゴルフ場の土地の値段以下には下がりにくいのです。小金井CCの3,800万円は、都内に売れる土地を広大に保有しているため、本源的価値という下支えがあるのです。


 初めの質問に戻りますと、「紙くずになるかもしれない株式会社の株には本源的価値があるの?」というのが質問でした。

 回答は、「本源的価値はあり!」です。

 小金井CCの株券同様、会社全体の資産が借金を上回っている分があれば、それが会社の純資産(解散価値)すなわち本源的価値です。1株当たりの本源的価値は、発行済株数で割り算すれば割り出せます。


コメント
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