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ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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アメリカで買うか、日本で買うか

2017年11月01日 | 米国債への投資

  『米国債をアメリカ現地の証券会社で買う場合と日本の証券会社で買う場合の違いについて』

  なんだかんださんがコメント欄に投稿された質問にPuffinさんが回答を寄せられました。とても有用な情報が含まれていますので、みなさんにお知らせすべく、本文にて取り上げさせていただきます。

  まず、なんだかんださんのご質問から。

引用

林さん、皆さん、
いつも欠かさずフォローしています。私もこれから米国債を購入していく派ですが、先日口座のあるアメリカの証券会社を見ていましたら、
US TREAS BD STRIPPED PRIN PMTとUS TREAS SEC STRIPPED INT PMTに同償還日でも若干の金利差があり、後者の方が0.12ほど良いのですが、これはいつも林さんが仰っている「流動性差」なのでしょうか?またこの程度の差なのであれば気にせずに購入できますか?もし宜しければ教えて頂きたいです。なにしろ長く待ち望んだ米国債デビューです
やはりアメリカの証券会社のほうが安いみたいです。日本とアメリカと半々でと思っていましたが、う~~ん悩ましい・・??

引用終わり


  このご質問に、Puffinさんから以下の回答が寄せられました。

引用

なんだかんださんへ (Puffin)

2017-10-31 00:52:21

私も、今は米国証券会社にて毎月1万ドルずつ米国債を購入しています。

例示された債券のうち、前者はPrincipal(元本部分)で、後者はInterest(利金部分)で、別物です。

私もどちらを買うべきか迷って、米国証券会社に問い合わせしました。電話に出た方によると、債券に関しては専門部署が違うので、調べて後日連絡する、と言われましたが、直ぐ翌日にお返事いただきました。

米国債券市場での取引は、日本の証券会社の場合の、証券会社との相対取引による一本値ではなく、株式同様に売買希望者間での駆け引きで一日の市場内取引の間でも大きく変動するため、同じ償還日のPrincipal同士やInterest同士でも、どのタイミングで買いを入れるかで当然金額も異なる結果となるそうです。ですから、PrincipalとInterestでも、当然何時何分に約定するかで買値は違ってきます。

私は、Interestの場合、年に2回ずつ利金が償還されるので税金や複利計算の関係で金額が違うのかと思って問いただしたところ、償還はInterestの場合でも定められた償還日に一括して支払われるので償還価額は同じ1,000USD単位になるそうです。

因みに、日本の一本値のように証券会社が最終利回りを計算してくれるシステムは無いので、自分が約定した価額を基に、自分で最終利回りを計算する必要があります。Exelをお使いでしたら、標準で関数が組み込まれているので、一瞬で計算してくれます。

計算してみて吃驚。例えば、2040年2月15日償還の米国債Principalの場合、大引けの終値で約3.8%の利回り。翌日の日本でのその価格に手数料を乗せた相対の一本値価額では約2.7%でした。正確な数字は、自宅にある取引記録ノートに記録してあるのですが、現在、休暇で沖縄旅行中の為、手元にありません。
日本での一本値の上乗せ(儲けとしての手数料や為替変動リスクを加味して損の出ない金額を産出している、との事)は、以前何とか聞き出したM証券の場合、仕入れた米国債の仕入れ値に加えて約3%取っている、と言っていました。

為替の仲値からのスプレッドや、米国への送金手数料、米国での売買手数料などが乗っかりますが、それでもなおまとまった金額を買うのならば、米国市場での取引の方が圧倒的に有利だと思いました。

ご参考になれば幸いです。

引用終わり


  Puffinさん、いつも有用な情報をコメント欄にいただき、ありがとうございます。

なんだかんださんも、有用な情報へのきっかけを作っていただき、ありがとうございました。

せっかくですので、デビューの結果も是非お知らせください。

と言っても、無理に買わなくてもいいですよ(笑)

以上です。

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証券会社が破たんしたら、私の米国債はどうなる?

2017年06月30日 | 米国債への投資

  定年退職さんの疑問とPuffinさんの懸念への回答です。

  定年退職さんへのコメント欄で私は「記事と我々の米国債投資は、全く関係がない」と申し上げていました。そして日銀の件が一段落したら回答します、としていたのですが、その前にPuffinさんのご指摘の点とともにずいぶんと勘違いをされている方が多いようですので、今回説明をさせていただきます。

  何人かの方々の間で日銀問題への不安から資産の海外逃避という話題に発展しています。このブログは脱税指南でもない限り(笑)、そうした議論は大いに歓迎します。特にPuffinさんのように様々な試行錯誤をされている方の経験談は、多くの読者の方の参考にもなると思いますので、大歓迎です。

  仙台の読者さん、ご指摘をいただき、ありがとうございます。税務申告は大変な作業ですね。

 

  さて今回の記事では読者の方が不安を感じている2つの問題に、私なりの説明をさせていただくことにしました。

1つ目はファンドマネージャーの言う米国債バブル崩壊

2つ目は日本の証券会社経由の米国債投資の安全性問題

 

  まず定年退職さんが引用されていた債券ファンドマネージャーに関するブルームバーグの記事への勘違いから、説明をします。

>ハッセンスタブ氏は2015年から一貫して米国債に弱気
投資は「薄氷の上を歩いているようなもの」、安全資産でなくなる
フランクリン・テンプルトンで債券を担当する花形マネジャーのマイケル・ハッセンスタブ氏は米国債が世界最大級のバブルのただ中にあると指摘し、米国債に安全を求めている投資家は利回り上昇で大幅な損失に見舞われるだろうと警告した。

こうした記事を書いている記者にも知識不足の感がありますが、「安全資産でなくなる」というのは全くの間違った表現で、正しくは単に「価格下落の恐れがある」です。

  ファンドマネージャーは私がよく言う「株やさんちの・・・」と同じで、売らんがため、または自分の投資にちょうちんを点けさせるためのニュースを意図的に流します。それをポジショントークと言います。彼のポジションは債券のショート・ポジション、つまり空売りポジションと思えるコメントです。バブルだと言っているのは、アメリカ政府が日本政府のように借金まみれだとうことではありません。ただ米国債が高く買われすぎて、金利が低すぎるという指摘です。ですので彼は、それが暴落すれば大儲けできるポジションを取っているのでしょう。

 

  そもそも私が提唱しているストレスフリーの米国債投資「償還までの持ち切り投資」です。それは十分にご理解いただいていると思います。途中の価格の上下など、全く関係がありません。

  それに対して債券ファンドの投資法は、市場価格の上下動をとらえたバクチです。四半期毎に評価を受けるファンドは、価格が上昇しようが下落しようが、あらゆる手段を尽くしてパフォーマンスを上げなければなりません。その人たちにとって債券を保有しているとき、金利の急上昇による価格の暴落は最大の惨事です。彼が言っているのはそのことです。米国債のデフォルトリスクが上昇して安全性が損なわれると言う警鐘ではありません。それをブルームバーグの記者が勘違いしているのです。

  我々が買った債券の償還までの利回りは、買った時点で確定しているので、保有の途中や最後で金利が急上昇していようが急低下しようが、影響はゼロです。彼の言うような暴落が起こったら「ヤッター、チャンスだ!」と言って米国債をみんなで爆買いしましょう(爆)。

  これが「全く関係がない」と私が言っていることの説明です。

  定年退職さん、ご理解いただけましたでしょうか。「債券型投信」のことは私の著書の240ページからも説明がありますので、それも参考にしてください。

 

  次はPuffinさんからのコメントです。米国債の名義は証券会社などのため、所有権は主張できない。だから危険を感じるという部分です。

  名義と投資資産の安全性はもちろん全く関係がありません。日本で証券会社を通じて様々な投資をされている方は、ご自分の投資した証券が証券会社のふところにあるのではなく、それとは全く別に、いわゆる「分別管理」されていることをご存知ですよね。証券会社の破綻には影響を受けません。それは株であろうが債券であろうが変わりません。同じことが海外株にも海外債券にも言えます。証券会社のリスクとは完全に切り離されています。

Puffinさんの文を引用します。

>日本の証券会社で外国株式を購入しても、その所有者は証券会社になっており、個人投資家は資金提供者に過ぎず、配当を証券会社が受け取ったものを投資家に渡すだけで、名義や議決権は証券会社のものだと。
あまりにびっくりしたので、口座を持っている店頭・ネット証券会社に次々と同じ質問をしたら、すべて同じ答えでした。

もちろんそのとおりです。債券も同じです。しかし次の文章、

>つまり、何か大きな金融恐慌が生じて証券会社が傾いた時には、「道連れ」ということになります。

いいえ、そうはなりません。

理由は先ほど申し上げたとおり分別管理されているからで、山一證券などに預けられていた金融資産はすべて引き継いだ別の証券会社の管理になりました。山一の破たん処理の材料になったりしていません。

  分別管理は証券投資管理の基本中の基本です。

  投信なども、販売窓口の証券会社や運用会社が倒産したり詐欺行為を働いたりしても大丈夫なように、別途信託され管理されています。そうすることで、設立が簡単な投資顧問会社などが詐欺行為の温床にならないよう、システムが確立しています。

  ご心配であればみなさんが米国債を買っている証券会社に、「おたくが破産したらどうなるの?」と聞いてみてください。Puffinさんの質問は書かれていらっしゃるように、「名義は誰なの」という質問ですので、回答はもちろん「証券会社です」と答えがかえってきます。

  以上、どうも多くのみなさんが勘違いされているようなので、解説しました。

 

  では日本の財政が傾いて、政府が個人資産の凍結や召し上げをしたらどうなるか。

  個人資産のしばしの凍結はまだしも、資産の召し上げはない、と私は見ています。日本と言う国の自殺行為になるからです。そんな国に住み続けたいと思いますか?

  そもそも、日本の実体経済、つまり日々経済活動を続けている日本企業全体は全く問題がありません。また個人も実に堅実に生活していて、借金まみれではありません。ひたすら大問題を抱えているのは政府・日銀だけです。財政は実質破たん状態ですし、国が直接かかわる年金・福祉・医療などは大問題を抱えています。

  その政府が自分の失態をすべて国民にかぶせるなどという暴挙はできない。第二次大戦後の混乱期ですら、そんなことはしなかったと私は理解しています。それが私の見通す資産召し上げはない理由です。

  もし資産の召し上げなどしたら非常に影響が大きく、日本の健全なる実体経済までがとてつもない悪影響を受けるので、実行される確率はほとんどありません。日本の金融システム全体が凍結状態となり、企業も個人も即刻身動きできなくなります。

  それより自然発生的、あるいは意図的に起こる円安・インフレによる解決のほうがはるかに影響度は小さいため、意図するかしないかわかりませんが、そちらの方向へ向かうと思います。

  このあたりのことは、また別途私の考えをじっくり述べる機会を設けましょう。

  にもかかわらず、何人の方かが書いていらしたように、海外に資産を移したり、移住を検討されるのを私は反対まではしません。どうも怪しい、住みにくいと感じている日本に住み続ける必要はないでしょう。

  昨日も好天の中、知人のニュースキャスターの先輩とゴルフに行き、帰りにとても安くておいしいお寿司屋さんで、たらふく寿司を食べました。日本大すきな私は、日本に住み続けます(笑)。

 今回は以上です

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ウソばかりの世の中だから、本物に投資をしよう

2017年03月19日 | 米国債への投資

  この1・2年、世の中がウソであふれているように思いませんか。

  特に国家を動かす側の人間のウソが目に余ります。

   昨年はBREXITキャンペーンで離脱派のボリス・ジョンソンやファラージがイギリスのEUへの拠出金を3倍に水増しするウソをつき、勝利しています。しかも勝ったとたん2人ともに逃げるというまさに公約違反のウソをつきました。

   トランプは選挙中言っていることの75%がウソとデマカセだと統計を取られています。その後も得票数でヒラリーに負けると、ヒラリー票の300万票がウソだとウソをつき(笑)、証拠が出せないので黙った。

   就任演説の聴衆数でオバマにメチャ負けているのに、史上最大だとウソをついた。それを指摘するメディアはウソツキだとウソを言った。大統領顧問の女性、コンウェイは、このウソは「オルタナティブ・ファクトだ」というウソで有名になった(爆)。

  先週私がアメリカにいた時、報道はトランプのウソ一色だった。トランプはウソを指摘されることに全くめげず「オバマがトランプタワーの電話を盗聴した」とウソ言い続け、上下両院の情報委員会が証拠はないと否定、そしてFBIからも証拠がないと完全否定された。

  それでも彼が最もよく使う言葉の一つが、

   BELIEVE  ME ! (爆)

  ジョークを通り越している。いくらウソがバレても支持者、いやトランプ大主教の信者数は減らない。


   日本でも防衛省制服組が証拠を隠し、廃棄したとのウソをついたがバレた。東京都は築地移転問題でウソのつきっぱなしだった。

   前都知事が2人もそれぞれのウソで失職し、来週はまた大本命の元都知事が知らぬ存ぜぬのウソをまき散らしそうだ。ついでに南場智子氏のDNAも、おまとめニュースでウソを2万件もつきまくりだった。

   森本学園問題では財務省や渦中の人間など、いったい何人がどれほどのウソを言っているのか、見当もつかないほどウソのテンコ盛りだ。

   すぐバレるウソを平気でつくのがサイコパシーだとすれば、世の中はサイコパシー人間であふれている。いったいどうしたのだろう。

  これでは世の中の情報の大半がウソだと思っていないと、正直者の我々は道を誤る。

   こんな世の中を間違いのないように泳いでいくにはどうしたらよいのか。どうやら自分でウソとホントを見分けるワザを身に付ける以外になさそうだ。

 

 さて、ではホントの話をしましょう。

    ブログのコメント欄では「米国債投資が損失を出している、どうしたらよいか」という書き込みがありました。

     このところ米国債長期金利が上昇し、投資チャンスが到来していますが、その一方で昨年までの低金利の時に投資をした方は、年限によっては評価損が出ています。

    特に地方銀行は、昨年来マイナス金利で利の乗った日本国債を売却し、そのカネで外債投資を行ったため、今期決算で損失を計上する見込みだと報道されています。

   今回はそうした評価損がどの程度であるか、個人投資家はどうすべきかをアドバイスします。

   例として金利の低かった昨年の8月1日に投資したとして、現時点での金利上昇のインパクトを計算し、評価損益をお示しします。10年債と30年債を例にとります。

・10年債 金利1.6%を 16年8月1日に為替レート102円、価格100で購入

・30年債 金利2.3%を   以下同

   現在の10年債利回りを2.5%、為替を113円とすると、評価損はどうなっているかを計算します。厳密には9年半くらいの残存ですが、9年半のイールドを入手できないため、近似値としてそのまま10年の利率を採用します。

 するとドル建ての

・10年債価格は、100が92.53になったためロス

・30年債価格は、    84.65になったためロス

 一方、為替は 102円だったドルが113円に上昇 113÷102=10.8%ゲイン

 その結果昨年8月1日にそれぞれ100万円購入した場合、現在の評価は

・10年債 102.5万円

・30年債  93.8万円

  10年債は価格の下落より為替の上昇が大きく、25,000円の評価益が出ている。それに加えて、年率1.6%の金利の7か月分9,300円を得ているため、単純計算で 34,000の益となる。

  30年債は価格の下落のほうが為替の上昇より大きく、62,000円の損失が出ている。しかし7か月分の金利13,400円を得ているため、48,600円の評価損となる。

  債券の評価損益の計算は複雑でわかりづらいので、私はキャピタルゲイン・ロス、為替のゲイン・ロス、金利のゲインと3つの要素に分けて数字をお示ししました。

  これがゼロクーポン債でも、さほど大きくは変わらないのですが、ゼロクーポン債の場合、金利が元本変動に含まれていてわかりづらいため、ここでは通常の利付債を例にとり、計算をお示ししました。

   では、30年債のように大きな評価損が出ている場合、どうするべきか。

   そもそも債券投資を複雑にしているのは、地方銀行のように四半期ごとに評価損益を算出するからです。なぜそのようなことをするのか。それは地銀のような機関投資家の多くが、持ち切り投資を前提に投資しているのではなく、途中での売却を前提にするからです。もちろん会計原則も、評価損益を計算しろとなっているからですが、我々一般の個人投資は違います。償還まで持ち切るので評価損益を気にする必要はありません。

  私がみなさんにお薦めしているのは、あくまで持ち切り投資です。債券はいくらで買おうが最後は必ず100で償還されます。100より高い価格で買う場合、クーポン金利が十分に高いため、最後まで持ち切って金利を得ていれば、ドル建てで損失することはありえません。

   その安心感が債券投資の安心感の大元です。最近相談された定年退職さんや地方勤務医さんも、円のリスクに目覚めてヘッジのため米国債投資を考え、ストレスフリーの世界に入ろうとされています。

   もちろん為替変動や金利の変動で超長期債は評価損・益が大きくなりがちです。それでもこれまで米国債を買われた大勢の方が、ストレスフリーの資産運用を心からエンジョイされています。これから投資をされる方も、買ったらあとは慌てず騒がず寝て暮らしましょう。

   最後に「フィクスト・インカム」について。

   アメリカでは債券投資のことを「フィクスト・インカム投資」と呼びます。私のブログのサブタイトルにも「フィクスト・インカムの専門家」と表示しています。今回コメント欄でいただいた質問にアドバイスを差し上げている中で、多くの方が定期的に金利収入を得られるフィクスト・インカムに目覚められたようです。それこそが本来の意味での債券投資です。金利上昇の果実を収入として得ることを、是非選択肢の一つとして検討してみてください。

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「初心者」さんの米国債投資について

2017年01月22日 | 米国債への投資

ハンドルネーム「初心者」さんから、米国債投資への質問がコメント欄にありました。

投資初心者の方みなさんへも参考になると思い、本文にて取り上げさせていただきます。

まずご質問から。

引用

初めて書き込みをさせていただきます。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

米国国債を購入しようと考えております。
目的は、円の預金のみでは将来の日本に対応できないと考えているからです。
ゼロクーポンで満期まで保有し、そのまま預け金とするか外貨MMFで運用しようと考えております。

トランプ政権となり色々動いており、購入のタイミングが分からなくなってしまいました。

私の場合は、為替相場のみ気にすれば良いのでしょうか。

よろしくお願いします。

引用終わり

  適切なアドバイスをするために、私から以下の質問をさせていただきました。

引用

以下の質問はどの方へも質問させていただいている標準的質問項目です。なるべく答えいただけますでしょうか。

・年齢
・家族構成
・職業の安定性
・年収
・現在の運用総資産
・そのうち、米国債に投資する割合
・運用の期間

それと、私の著書はお読みいただいていますか。米国債の理解度を知りたいためにうかがっています。

あとコメントの以下の部分の意味が理解できないため、再度解説ねがいます。

>ゼロクーポンで満期まで保有し、そのまま預け金とするか外貨MMFで運用しよと考えております。

そのまま・・・の部分は、満期後のことを言っているのでしょうか?

以上、回答をよろしくお願いします。

回答しづらいものは結構です

引用終わり

 

 

  それに対する「初心者」さんからの回答は、

引用

・年齢:32歳
・家族構成:独身
・職業の安定性:普通でしょうか。公務員や大企業ほどではありませんが、中小企業よりは安定してるかと思います。
・年収:480万円
・現在の運用総資産:預金のみ1000万ほど。
・そのうち、米国債に投資する割合:現在はゼロ。今後は年間50万ほどをアメリカ国債にふりあてる予定です。
・運用の期間:10年を予定。

そのまま・・・の部分は、満期後のことを言っています。

著者は拝読しました。投資の本は30冊ほど読みましたが、納得したのが先生の本のみでした。


引用終わり

 

  私の回答を端的に申し上げれば、

「ヘッジが優先目的であれば、現時点の為替114円、10年金利2.4%でも、順次投資を開始すべきだ」です。

 

順次とは、毎月、隔月、四半期、半年、1年ごと、いずれでもかまわないと思います。今後の人生設計に合わされたらよいと思います。

ではすぐに始めてもよい理由を順に述べます。

1.年齢が若いので、時間軸での分散が十分に可能だから

2.50万円は全体の5%にすぎないので、少額分散投資だから

3.1と2にもかかわりますが、為替と金利のリスク分散も十分に図れる

  これだけだといいことずくめのようになってしまいますが、必ずしもそうではありません。考慮すべきリスクをあげておきます。

  「日本財政と円のリスク」です。

  つまり、例えば50万円を半年に一度ずつ投資したら、終わるまでに10年もかかります。すると投資し終えるまでに日本に大破綻が起こった場合、残額のヘッジをし損ねるというリスクです。

  

4.もう一つのヘッジ方法=借金と組み合わせる

  現在の超低金利を大活用し、自分で住む住宅を購入。もしすでに持ち家アリなら無視してください。聞くのを忘れました。

  1,000万円の金融資産をドルでヘッジすると同時に、円建ての借金を例えば2,000万円すると、消極的ヘッジではありますが、ヘッジ量は3倍にもなります。しかも全額ドルヘッジよりも分散が図れることになります。

  簡単なシミュレーションをお目にかけます。

設問;2,000万円、35年、金利1.5%のローンの価値が金利変動でどうなるか

例えば5年後、残存期間30年、ローン残高1,800万円と想定

30年物金利が2倍の3%に上昇したとすると、ローンの価値はいくらか

これは債券価格の計算と同じです。我々が借りるローンとは、銀行つまり投資家側から見れば債券投資と同じなのです。

計算結果は、現在価値が7割になる、つまり1,260万円になる

インフレの結果金利が上昇すると、ローンの実質価値は減り、上のケースでは3割も減るのです。

  もしさらに金利が上昇して5%になったらどうなるか。すると現在価値はわずか46%に減ってしまう。つまりローンの実質価値は54%も減るのです。

  厳密には借入れ額が毎年減価していくため計算は異なりますが、わかりにくくなるためそれを無視します。

今一度銀行サイドから見ると債券と同じですから、1.5%しか金利をもらえないローンを、金利が3%に上昇したときに売却すると、残存1,800万円のローンが1,260万円でしか売れないのです。


ついでに言えば、こんな超低金利ローンをしこたま抱える邦銀のリスクは、とてつもなく巨大だということです。日本国債から逃げおおせたとしても、そのかわりの資産が超長期住宅ローンだと、こういうリスクを抱えるのです。

  以上が私の回答です。不明な点などあれば、遠慮なくご質問ください。

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トランプのアメリカに投資しても大丈夫か その6

2016年12月29日 | 米国債への投資

  前回の記事で私は、「アメリカ経済はトランプごときでは、微動だにしない」ということを、数字でお示ししました。

  株式相場のトランプラリーをみて内外の一部の識者が、「トランプはそれほど悪くないかも」と言い始めています。経済運営面では有力者が政権中枢に入るので、悪い面ばかりではないと思います。しかし軍事・外交、そして人心面では、全く安心はできません。

  プーチンや習近平などの独裁者たちといずれは様々な局面で衝突し、そのたびに株式相場は大きく影響を受け、乱高下を繰り返すでしょう。そして忘れてはならないのは、選挙年である欧州や中東を巡って、来年も地政学上のリスクは増すばかりだということです。そうした危機状況は、ポピュリズム、独裁者の跋扈を許すことにつながります。


  独裁者の典型的やり口をちょっと見ておきましょう。先進諸国では共産党独裁の中国を除けば、独裁者と言われる政治家も、一応民主主義的選挙制度を経て選出されています。その後扇動的な言動を繰り返し、独裁ぶりに拍車をかけていくのが典型です。独裁的であるか否か、私は次のような指標で判断しています。

1.自分の権限拡大を目指して憲法を変更するか、解釈を勝手に変更する

2.任期の制限を延伸する

3.報道の自由を制限する

  現在政権の座にあって該当する主な者は、まず日本の安倍首相。憲法解釈を勝手に内閣が変更し、自民党の党首の任期を2期から3期に延長し、報道の自由度は劇的に悪化させています。

  そしてロシアのプーチン大統領。メドベージェフを間に入れて隠れ蓑に使い、2期のはずの大統領を4期務め、しかも1回の任期を延長し、人生の大半を独裁者として君臨しようとしています。KGB時代から反対者や言論の自由は暗殺をいとわず封殺する、絵にかいたような独裁者です。彼は独裁者の典型としてハッピー・リタイアメントができないのです。役目を終えたとみなされたとたん、リビアのカダフィやルーマニアのチャウシェスクのようにハチの巣にされることを恐れるからです。お気の毒に。

  先進国とはいえませんが、トルコのエルドアン大統領。大統領権限を拡大し言論を封殺するのはプーチンと互角。

  中国はもちろん根っからの独裁ですが、習近平は党の定めている国家主席定年を延伸しようとしているという報道が最近流れました。

  こうした独裁者リストに加え、彼らを上回るほどの「独善主義者」がアメリカ大統領に就くことは、世界にとって最大のリスクになります。何故なら経済力も軍事力も、断トツの世界ナンバーワンだからです。

  独裁者たちは、自国が自分の自由になったように、世界も自分の自由にしてやろうとします。自国優先主義が蔓延し、他国との政治的衝突を招く。中でも圧倒的独善主義者のトランプは、就任前から要注意人物ナンバーワンです。海外との摩擦もさることながら、国内でもアメリカはかき回されています。

  この一両日、CNNで話題になっている国内マターを列記しますと、

・当選直後、しおらしくオバマ大統領の話を聞いたが、現在両者は表立って非難合戦を始めた

・選挙中に最大の争点として「ヒラリーはウォールストリートの代弁者だ」と非難していたにも関わらず、自分の政権中枢のほとんどすべてをウォールストリートの代表選手であるゴールドマン出身者やヘッジファンド長者達で固めた

・そうしたウソツキぶりや矛盾を突かれるのがいやで、記者会見を徹底的に回避し、ツイッターで一方的に言いたいことのみ流している。これぞ報道の自由を大いに歪める所業

・エルトン・ジョン、セリーヌ・ディオンをはじめ、ほとんどのセレブタレントが大統領就任式でのパフォーマンスを拒否。ラインダンスで有名なNYのラジオ・シティー・ロケッツは依頼された会社側が受諾したが、一部メンバーが拒否し、親会社のマジソンスクウェアガーデンは困惑中

・就任式に合わせ、ワシントンではマイノリティの人権擁護団体など数十万人から百万人規模の反トランプデモが計画されており、すでに女性の権利擁護団体の20万人のデモが許可された。今後はきっと安全などの理由を付けて、制限を行うという見通し報道あり


  そして国際的に最も懸念されることは、トランプはこれまでの国家間の約束事を一方的に「反故にしてやる」と宣言していることです。すでに安保理でイスラエルの国際法違反決議をした国連を非難し、きっと彼は「国連はNYから出ていけ」とか、「もう国連に拠出金は払わん」と言うにちがいありません。

  こうした約束事を反故にすることが世界の一大潮流になることこそ、私が最も恐れるポピュリズムのリスクです。

  国内であれば訴訟という手段があり、法的正当性を問うことができるし、強制執行もできます。

  ちなみにトランプと彼のビジネスは過去そして現在、いくつ訴訟を抱えてきたか、ご存知ですか?

  USAトゥデイ調べで、その数なんと3,500件。セクハラ、侮辱、差別などに対する個人的訴訟沙汰はもちろん、商売そのものが訴訟で成り立っているほどの訴訟屋、それがトランプの実像です。

  しかし国際社会では、勝訴しても強制執行はできず、やるとなれば軍事行動です。フィリピンのように中国に勝訴のあと買収に応ずる、ならず者の大統領が出てくるリスクまであります。

  「世界の強国の首領が図らずもならず者だらけになった」。それが2017年の地政学上のリスクです。

  「ではみなさん、よいお年を!」が、冗談としか聞こえませんね(笑)。

  でも大丈夫。

リスクがどう現実のものとなっても、米国債さえ抱えていれば、枕を高くして寝ることができます(笑)。

 

  今年のブログはこれで終了とさせていただきますが、私は年末年始に旅行には出ず自宅で過ごします。家内の「キャット・シッター・キャットン」の稼ぎ時なので、主夫をします(笑)。

コメント欄はいつでもオープンです。どうぞご利用ください。

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