この1・2年、世の中がウソであふれているように思いませんか。
特に国家を動かす側の人間のウソが目に余ります。
昨年はBREXITキャンペーンで離脱派のボリス・ジョンソンやファラージがイギリスのEUへの拠出金を3倍に水増しするウソをつき、勝利しています。しかも勝ったとたん2人ともに逃げるというまさに公約違反のウソをつきました。
トランプは選挙中言っていることの75%がウソとデマカセだと統計を取られています。その後も得票数でヒラリーに負けると、ヒラリー票の300万票がウソだとウソをつき(笑)、証拠が出せないので黙った。
就任演説の聴衆数でオバマにメチャ負けているのに、史上最大だとウソをついた。それを指摘するメディアはウソツキだとウソを言った。大統領顧問の女性、コンウェイは、このウソは「オルタナティブ・ファクトだ」というウソで有名になった(爆)。
先週私がアメリカにいた時、報道はトランプのウソ一色だった。トランプはウソを指摘されることに全くめげず「オバマがトランプタワーの電話を盗聴した」とウソ言い続け、上下両院の情報委員会が証拠はないと否定、そしてFBIからも証拠がないと完全否定された。
それでも彼が最もよく使う言葉の一つが、
BELIEVE ME ! (爆)
ジョークを通り越している。いくらウソがバレても支持者、いやトランプ大主教の信者数は減らない。
日本でも防衛省制服組が証拠を隠し、廃棄したとのウソをついたがバレた。東京都は築地移転問題でウソのつきっぱなしだった。
前都知事が2人もそれぞれのウソで失職し、来週はまた大本命の元都知事が知らぬ存ぜぬのウソをまき散らしそうだ。ついでに南場智子氏のDNAも、おまとめニュースでウソを2万件もつきまくりだった。
森本学園問題では財務省や渦中の人間など、いったい何人がどれほどのウソを言っているのか、見当もつかないほどウソのテンコ盛りだ。
すぐバレるウソを平気でつくのがサイコパシーだとすれば、世の中はサイコパシー人間であふれている。いったいどうしたのだろう。
これでは世の中の情報の大半がウソだと思っていないと、正直者の我々は道を誤る。
こんな世の中を間違いのないように泳いでいくにはどうしたらよいのか。どうやら自分でウソとホントを見分けるワザを身に付ける以外になさそうだ。
さて、ではホントの話をしましょう。
ブログのコメント欄では「米国債投資が損失を出している、どうしたらよいか」という書き込みがありました。
このところ米国債長期金利が上昇し、投資チャンスが到来していますが、その一方で昨年までの低金利の時に投資をした方は、年限によっては評価損が出ています。
特に地方銀行は、昨年来マイナス金利で利の乗った日本国債を売却し、そのカネで外債投資を行ったため、今期決算で損失を計上する見込みだと報道されています。
今回はそうした評価損がどの程度であるか、個人投資家はどうすべきかをアドバイスします。
例として金利の低かった昨年の8月1日に投資したとして、現時点での金利上昇のインパクトを計算し、評価損益をお示しします。10年債と30年債を例にとります。
・10年債 金利1.6%を 16年8月1日に為替レート102円、価格100で購入
・30年債 金利2.3%を 以下同
現在の10年債利回りを2.5%、為替を113円とすると、評価損はどうなっているかを計算します。厳密には9年半くらいの残存ですが、9年半のイールドを入手できないため、近似値としてそのまま10年の利率を採用します。
するとドル建ての
・10年債価格は、100が92.53になったためロス
・30年債価格は、 84.65になったためロス
一方、為替は 102円だったドルが113円に上昇 113÷102=10.8%ゲイン
その結果昨年8月1日にそれぞれ100万円購入した場合、現在の評価は
・10年債 102.5万円
・30年債 93.8万円
10年債は価格の下落より為替の上昇が大きく、25,000円の評価益が出ている。それに加えて、年率1.6%の金利の7か月分9,300円を得ているため、単純計算で 34,000の益となる。
30年債は価格の下落のほうが為替の上昇より大きく、62,000円の損失が出ている。しかし7か月分の金利13,400円を得ているため、48,600円の評価損となる。
債券の評価損益の計算は複雑でわかりづらいので、私はキャピタルゲイン・ロス、為替のゲイン・ロス、金利のゲインと3つの要素に分けて数字をお示ししました。
これがゼロクーポン債でも、さほど大きくは変わらないのですが、ゼロクーポン債の場合、金利が元本変動に含まれていてわかりづらいため、ここでは通常の利付債を例にとり、計算をお示ししました。
では、30年債のように大きな評価損が出ている場合、どうするべきか。
そもそも債券投資を複雑にしているのは、地方銀行のように四半期ごとに評価損益を算出するからです。なぜそのようなことをするのか。それは地銀のような機関投資家の多くが、持ち切り投資を前提に投資しているのではなく、途中での売却を前提にするからです。もちろん会計原則も、評価損益を計算しろとなっているからですが、我々一般の個人投資は違います。償還まで持ち切るので評価損益を気にする必要はありません。
私がみなさんにお薦めしているのは、あくまで持ち切り投資です。債券はいくらで買おうが最後は必ず100で償還されます。100より高い価格で買う場合、クーポン金利が十分に高いため、最後まで持ち切って金利を得ていれば、ドル建てで損失することはありえません。
その安心感が債券投資の安心感の大元です。最近相談された定年退職さんや地方勤務医さんも、円のリスクに目覚めてヘッジのため米国債投資を考え、ストレスフリーの世界に入ろうとされています。
もちろん為替変動や金利の変動で超長期債は評価損・益が大きくなりがちです。それでもこれまで米国債を買われた大勢の方が、ストレスフリーの資産運用を心からエンジョイされています。これから投資をされる方も、買ったらあとは慌てず騒がず寝て暮らしましょう。
最後に「フィクスト・インカム」について。
アメリカでは債券投資のことを「フィクスト・インカム投資」と呼びます。私のブログのサブタイトルにも「フィクスト・インカムの専門家」と表示しています。今回コメント欄でいただいた質問にアドバイスを差し上げている中で、多くの方が定期的に金利収入を得られるフィクスト・インカムに目覚められたようです。それこそが本来の意味での債券投資です。金利上昇の果実を収入として得ることを、是非選択肢の一つとして検討してみてください。
アメリカに併合されるか、中国に占領されない限り、日本円しか通用しないので。
大和証券の担当に計算してもらったら年利3.15%でした。
先生、ご回答ありがとうございます。確かに最後まで持ちきるのが前提ですよね(笑)それは肝に命じて心得てます。でも莫大な含み損を見るのは嫌なのでもう大和証券の自分口座を見ないようにしますね。どのくらいの年元をかけてプラスになるのかな?私が死んでしまったら娘に話しはしてあります。(笑)私は今51才でして嫁と娘2人の四人家族です。
先生励ましの回答ありがとうございます。楽しみに満期まで頑張ります。
吉田 繁治
財政破産からAI産業革命へ 日本経済、これから10年のビッグ・シフト
5つ星のうち 5.0 過度な悲観論の修正になるシナリオ, 2017/3/22
著者の吉田氏は、以下のようなシナリオを想定しています。
・日銀が赤字財政のファイナンスのために国債を買い続けていると多くの人が認識すると、国債は格下げされCDSの保険料が上がる。それはあと2年くらい、財政破産は2018年から2019年に来ると予想している。 もし政府と日銀が持続力を発揮したとしても、2020年から2021年には可能性が高いと考えている。
・70%の確率で財政破産が起こり、30%の確率で金融抑圧が起こると考えている。 長期に続く金融抑圧より、財政破産後は約3年で回復すると思われる財政破産の方が若い世代にとって望ましいと考えている。
・想定シナリオは約20%の公務員給与カット、年金カット、医療費等社会保障費関連支出のカット、実質所得の低下である。 円は2016年12月時点の113円から20%~25%安い1ドル140円から150円を想定している。 財政破産によるショックはリーマンショック並で、恐れることはないと考えている。
・財政破産が起こると50%の人は資産を失い、50%の人には資産を底値で買うチャンスが訪れる。財政破産後は、約2年の底を経て2022年頃より新しいイノベーションのAIの時代が到来し、一人あたりの生産効率が向上して潜在成長率が上昇する。 そしてコンドラチェフサイクルの希望の25年が始まると考えている。
”その時はいつか”については、認識の転換点として日本人の国民性から先に延びることも考えられますが、わたしも財政破産の時期は早ければ2018年という想定をして準備をしています。
吉田氏が想定している1ドル140円~150円はやや安堵出来る数字です。
AI革命時代がどのようになるのか、私には描けませんが、人の役に立つことだけは間違いないと楽観しています。
読後の感想、ありがとうございました。
翁 邦雄
金利と経済―――高まるリスクと残された処方箋
5つ星のうち 5.0 自然利子率と世界長期停滞, 2017/3/25
日銀は2016年1月にマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策を導入したが、金融機関の利ざや悪化による理由で、わずか8ヶ月後に長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策に移行した。
その後ヘリコプターマネーや物価水準の財政政策が議論になったが、2017年3月時点では、黒田日銀総裁の講演等の発言では、「ヘリコプターマネー、必要も可能性もない(2016年、7月21日)、「シムズ理論、現実的な政策論として有意義でない(2017年、3月9日)、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和は現時点で考えうる最善の枠組みだ。物価目標に関しては任期中に2%に達するかは分からない(2017年、3月24日)」と述べているので、当面は政策変更せずに任期満了まで行きそうな予感がする。
翁氏によれば、金融政策の中核とは名目市場金利から予想インフレ率を差し引いた実質市場金利が自然利子率(完全雇用に対応する実質利子率、均衡実質金利、中立的金利とも呼ぶ)と等しくなるように金利を誘導すればよい。と言うことである。
翁氏が紹介するイングランド銀行のエコノミスト、レイチェルとスミスの2015年12月論文はローレンス・サマーズが取り上げてから注目されている世界長期停滞論を援護する内容でとても興味深い。
先進国の実質市場金利が一貫して低下するなかで一向にインフレが加速せず、むしろインフレ目標から遠ざかってきているということは、自然利子率は実質市場金利以上に急速なテンポでトレンド的に下がってきている可能性を示唆している。
これにはさまざまな理由が考えられる。 そのひとつは技術進歩が停滞して新しい投資の種が枯渇していくと投資需要が先細る形でIS曲線(縦軸は実質金利、横軸はGDP水準)を押し下げるから自然利子率の低下につながる。(ただし2025年には完全自動運転実現が予想等、AIによるイノベーションが始まっている)
さらにトマ・ピケティが指摘したように富の格差が拡大することにより、消費性向より貯蓄性向が高くなるので、IS曲線を押し下げて、自然利子率を低下させる。
さらに世界的な総需要の伸びが停滞しているなかでは、シェールオイルの増産や中国経済の減速も自然利子率低下の大きなトレンドに影響される。
まして日本は少子高齢化で潜在成長率が低下しているので、海外の経済情勢に大きく左右されやすく、背景として世界経済の中長期的な展望を考慮しなければならないと、著者は述べる。
自然利子率を上げるために金融政策に頼れば、実質金利を低下させることで需要を前倒しできるとしても、その結果将来の自然利子率をむしろ下げてしまうという「不都合な真実」がある。
今後、世界は財政支出を拡張する政策を選択していく可能性がある。 それは同じ金利水準では総需要が増えるためにIS曲線は右に移動し今期の自然利子率を上昇させて、来期は財政支出が拡張前の水準に戻ると、IS曲線は元の位置に戻り、自然利子率は低下するという理由で、金融緩和政策ほど自然利子率をさらに下げる副作用がないためである。
ただし日本は財政を拡張させる余裕はなく、ヘリコプターマネーや無利子永久国債の日銀引き受けを採用しても、統一政府としての利払い費を節約することは理論上は出来ない。(詳しくは本文を)
日本は自然利子率を上げるためには、人口問題と正面から向き合うことで、高齢化をイノベーションと需要増につなげて成長の源泉に転化していく必要があると著者は述べる。
私も吉田氏と似たようなシナリオを考えていました。ただ、財政破産の被害がその程度ですむのか、
金融抑圧が成功した場合でも、AI革命がつぶされないのか疑問です。この本、じっくりと読んでみたいです。
林先生へ
先生はてっきり、ハイパーインフレ派だと思っていました(笑)。財政破産後の見通しもブログで書いてほしいです。
財政破綻はリーマンショック並みというのは
完全に超楽観論だと思いますよ
考えてみてください
財政破綻すれば円預金や円建債券、
年金だって無事では済みません
しかも、日本の人口構成は老人が増えていく一方
もう老人は労働で満足な生活費を稼ぐのは困難です
ほぼ過去の蓄えを失った老人が街にあふれ、
少ない現役世代で社会を支えるなんて不可能でしょう
日本が若者が多い人口構成なら楽観論も成り立つかもしれません
無貯蓄な老人は若者とちがって即生活破綻するのです
財政問題楽観論はどうも日本は老人の比率が
増え続けるという重い現実を無視してないでしょうか?
本当に財政破綻したら相当に悲惨な社会になるでしょう
>>財政破綻はリーマンショック並みというのは
完全に超楽観論だと思いますよ
私もそれは楽観的すぎると思っています。本を読んでじっくり考えてみます。
>>少ない現役世代で社会を支えるなんて不可能でしょう
AIの本格導入で生産性が上がれば、そうでもないと思います。AI革命が成功すれば、人口減少社会で経済成長は望めないという定説もひっくり返せると思います。簡単な話ではないでしょうが・・・。
日本は破綻するとかいう話しでは?
いくら緩和してもインフレにならない現実
何かあれば円が買われてしまう現実
市場の評価はここで話されてることと真逆
市場は数字を分析して取引してますよね?
同じ数字を分析してるはずなのに
真逆な話しを延々としてるの不思議です
真っ先に疑うのは日本破綻話しでは?
私は著書でも、ブログでも金融の超緩和策、そして財政破綻はハイパーインフレにつながると何度も言っていますよ(笑)
財政破たん後の見通しも、何度も書いているので、ミミダコの方が多いと思います(笑)