岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

「ごんぼほり(牛蒡ほり)」

2021-12-15 13:52:11 | いなか暮し

 冬枯れの庭にしばらくの間は「南天」の独り舞台、やがて白い雪に、緑の葉っぱと真っ赤な実が美しい。南天は難を転ずる縁起木とも。
 秋どり野菜は寒さに充てると、甘みが出て美味しくなるからと古女房どのは雪の直前まで収穫しない。
 白菜、キャベツ、大根等は掘り上げてから再度、柔らかな土に戻す、雪の下で凍ることなく、水々しさを保ち甘みも出て美味しさが増す。
 雪の予報が入る頃、長いもと、ごぼうの掘り取り、これが最も厄介な作業である。
 長いも掘りも大変な作業だったが、近年、頭の良い人が考えただろう、厚手のビニールパイプで中で育てるから1mを超すような大物もまっすぐ折らずに簡単、残るはごぼう(ごんぼ掘り)はそう簡単にはいかない。
 大量に栽培してる人は、種を蒔く前に、先に機械で深い溝を掘って、収穫も機械でするが、庭先栽培ではそうはいかない。
 土の柔らかな砂質土を選んで種を蒔くが、固い地盤に当たると、ごぼうの根は右に曲がり左に曲がりして、スーパーで見かけるような、まっすぐな牛蒡にはならないから、ごんぼ掘りは大変となる。
 慎重にスコップを差しても、思いがけない方向に伸びた、ごぼうを切ったり、大きく穴を掘って、慎重にいくと小さな小さな、ミニごぼうだったり、、雪の前のごんぼ掘りは悪戦苦闘する。
 実は我が郷には「ごんぼほり」という言葉がもう一つ。
 昔、集会や宴会が多く飲む機会も多かった、宴がだいぶ進んだ頃、酒に酔った一人が、誰かを捕まえて、しつこくなり、話がややこしくなり、やがては、大声になる。
「まぁまぁ」と仲裁が入る、「まず、飲みなおして」・・・・・大声の主も、止める方も凡そ、きまっていたように思う。
 娯楽の少ない時代、クダを巻く方も、止める方も”役者”が決まっていたような気がする、あるいは宴会のアトラクションだったのかもしれないが、いつもクダを巻く人は「ごんぼほり」と言われた。
 掘るに厄介なごぼう掘りと、宴席でしつこく絡む、厄介な人をひっかけて言われたのだろう。  
 それでも懲りずに、何回も「ごんぼほり」を繰り返す人は、さらに「ごんぼほり、たかり」と言われて宴会の席では要注意人物とされた。

コメント
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