夏、庭に見慣れない草が2本だけ伸びた。
花巻ではほとんど見かけない、蕎麦と粟だろうか?どうしてこんなところに。
冬、餌のない小鳥たちのために設置したエサ台から小鳥たちがこぼして芽が出たのだろう。
秋、穂が大きくなって、収穫した実は老妻が丁寧に乾燥して冬の小鳥の餌にするらしい。
釜石線の小さな無人駅、委託を受けた業者だろう派手なベストを着込んだ人が駅舎を掃除していた。
去年頃まで近所のおばあちゃんが掃除していたのにどうしたんだろう。
東京、杉並に住むSさんは、自分の会社のある青梅まで毎日電車で通った。
自宅の近く、杉並のある駅に早めに出かけ、電車の時間まで、駅舎周辺を毎朝掃除を続けた。
服飾関係の仕事をされていた奥さんの関係から、服装はいつもダンディ、スーツを着こなして、乗降客に元気な声をかけて掃除を続けるダンディおじさんは感謝された。
若くして大きな発明をして200人ほどの社員を擁する元気な会社の社長さんである。
そんな会社にはお中元やお歳暮が膨大な量が届く。
膨大なお中元、お歳暮は全て貯めておいて、毎年、新年御用初めの日、全社員参加のゲーム大会をやり、賞品としてお中元、お歳暮の品をみんなに分け与える。
賞品は、ほとんど全社員に行き渡るから正月の行事として、みんな心待ちしているが参加資格には一つだけ条件があった。
「今年中に、先祖のお墓まいりをすること」に参加資格が与えられた。
大勢の社員が、賑やかにゲームを楽しむ光景を、にこにこと楽しんでいた。
後、社長職から会長となり90才頃まで元気なおじいさんだった。
毎日、掃除を続けた杉並の駅は、今では大きな駅となり奉仕で掃除なんて、ウロウロしたら怒られるのがおち。
釜石線の小さな駅の掃除風景をみて、昔々の事を思い出した。