今回はエボラ出血熱の患者は日本では出なかったが、今後はどうなるか予測が付かない。ここまでくればいつパンデミックになっても不思議ではなく、人類は重大な危機に直面しているのだ。皮肉なことには、いくら致死率が高いとしても、そこで生き残る人たちもいる。そうした人たちは免疫を与えられ、恐れを知らない身体になるのである。人類がこの世に誕生してから今日まで、病原菌やウイルスとの戦いであった。それを死滅させたとしても、新たな変異が起こる可能性があり、結局は感染して免疫を手にした者が生き残り、人類が続いてきたのではなかろうか。我が国は水際で撃退するのに、最善を尽くすべきだろう。しかし、突破されることだって想定しなくてはならない。中世と呼ばれた時代にあっては、ペストが蔓延し、身近に死の影があった。それでも何もないかのように人々は暮らしていた。ハルマゲドンや最後の審判とかいう言葉は好まないが、未来に対しての漠然とした不安が、パンデミックとして立ち現れると、ある種のあきらめを持ってしまう。政治も経済も混沌としているなかで、破局もまたありだからだろう。未来がバラ色であるかのように思い描いた進歩史観の何と危ういことか。傲慢な人類は身のほどを知るべきなのだろう。それを今後も反省しなければ、待っているのは人類の滅亡なのだから。