草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

夏彦流に言うなら原発事故で町がいくつも消えつつある福島県

2011年08月21日 | 思想家

 福島県の子供たちが次々と県外に逃げ出している。いくら民主党政権が大丈夫だと言っても、福島県民の多くはそれを信用してはおらず、自主的な避難が相次いでいるのだ。そのせいもあって、福島市や郡山市では、めっきり子供の姿を見かけなくなった。当然のごとく、子供ばかりか、母親も一緒に離れることになる。今後もその傾向に歯止めがかからないのでは、と県教育委員会も頭を悩めているが、すでに県外に避難した子供の数は、福島県の小中学生のうちの約一割に達するという。そういえば、山本夏彦は「子供がいて年寄りがいて、若い男がいて若い女がいて、生れ出るものがいて死ぬものがいて、はじめて家であり町である」(『編集兼発行人』)と喝破していた。山本夏彦流に言うならば、福島県では今、町がいくつも消えつつあるのだ。寂莫たる光景ではなかろうか。だからといって、無理して引き戻せというわけにはいかない。もはやその現実を受け入れる以外にないのであり、いくら抵抗しても無駄なのである。そのエッセイで山本は、子供に面倒を見てもらうことができず、老人ホームに入るしか手がない親たちを皮肉ったのだが、原発事故によって浜通りや中通りが丸ごと老人ホーム化することになったのだから、何をか言わんやである。

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