草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

グローバリズムを乗り超える超民主主義への不安

2024年03月24日 | 思想家
 人類が今後どのようになっていくか。ジャック・アタリの『21世紀の歴史』によれば、下層ノモド(現代の遊牧民)がグローバリズムの世界を根本から揺るがし、超民主主義の世界が到来するのだという。
 下層ノモドは、現代の貧しい遊牧民であり、2035年には35億人以上に達し、貧困に耐えられず農村から都市部に異動し、暴動に加担し、海賊的な経済行為にも参画し、怪しげな宗教団体のターゲットになる。
 それでいて、超民主主義が実現した場合には、彼らがその原動力となるというのだ。これはまさしく、アントニオ・ネグリのマルチチュードの思想と一緒ではないか。
 貧困と抑圧された少数者の違いはあっても、多数派を形成することで、負け組が勝利者となるのである。革命と呼ぶにふさわしいだろう。
 アタリが言うように「市場民主主義をベースとした利他愛に基づく人類の新たな境地」としての超民主主義に向かうというのは一筋の希望の光ではあるが、それが実現するまでに夥しい人々が犠牲になるのではないか。それを経過せずに済むようにするための知恵を、今の私たちが手にしているとは思えないのだが。

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