草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

保守主義の根本にあるのは高貴な精神と品位だ

2024年03月10日 | 思想家
 保守主義というイデオロギーを語るときに、よく引き合いに出されるのがエドモンド・バークである。バークは「自然は省察なしに知恵であり、省察にまさるのである。革新の精神は、一般に利己的な気質と限定された視野との結果である。祖先をかえりみない人々は、子孫にも期待しないであろう。さらに世襲という思想が、改良の原理をまったく除外することなしに、保守の確実な原理と伝達の確実な原理を提供することを、イギリスの人民はよく知っている」(『フランス革命の考察』水田洋訳)と書いたのである。
 人間が進歩するのは、自然の営みとして行われるのであって、勝手な妄想によるものではない、と断言したのだ。そこで世襲というものにこだわったのは、イギリスの貴族制度を容認したからである。高貴な精神に支えられた階級が世襲として受け継がれることは、文化の型を保全することでもあるからだ。
 そうした観点に立てば、日本に保守主義が根付いているかどうかとなると、はなはだ心もとない。自民党ですら、自由と民主主義いう党名を使用しており、戦後の目覚ましい経済成長を支えたのは、イノベーションの革命であり、本来の保守主義とは無縁に思えてならない。
 さらに、左翼からすれば、保守主義と反動との区別もつかず、一緒くたにしてしまった。日本保守党が誕生したが、そこに品位が抜け落ちているのが残念に思えてならない。保守主義は文化的な型を重視する。大衆を煽るようなこともせず、変えるべきものは変えつつ、守るべき文化を大切するのである。その原点を見失ってしまえば、保守主義と呼ぶべきではないのである。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« セキュリティークリアランス... | トップ | 国家権力は個人の内面に立ち... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

思想家」カテゴリの最新記事