猪瀬直樹東京都知事が今日午前、辞職を表明した。予想されたこととはいえ残念だ。これから司直の手が入るのだろうが、元信州大学の全共闘議長だった猪瀬は、粛々と調べに応じるだろう。政治家は刑務所の塀の上を歩いているようなもので、一歩誤れば捕まるのである。そんなことは猪瀬自身が分かっていたはずだ。都知事選では金が必要だったのだろう。新右翼の人間が仲介して金を借りたのが運の尽きであった。ノンフィクションの作家として、猪瀬は三島由紀夫や太宰治を取り上げている。とくに私が興味をひかれたのは三島由紀夫の祖父平岡定太郎や父平岡梓についての文章である。祖父は原敬の側近として樺太庁長官にまでなりながら、一度の躓きによって不遇な晩年を送らねばならなかった。父親も役人になったものの、祖父のためにうだつが上がらなかった。三島が大蔵省に入りながら、あえて作家になったのは、二人の悔しさを身近に見ていたからなのである。そうした観点から三島を腑分けしたのは、猪瀬が初めてであった。猪瀬もまた政治の世界に身を投じて、平岡定太郎のような目に遭うことになった。これで猪瀬はおしまいだという見方がある。しかし、私はそうは思わない。ドロドロとした世界を覗き、そこで足をすくわれたことを、それこそノンフィクションで書けばいいのである。東京都知事としての猪瀬に近づき、利用した者たちを、名前を挙げて作品に登場させればいいのである。役人や政治家の世界は魑魅魍魎が暗躍しているわけだから。
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