まだ有事が続いているのに、スーツ姿になるというのは、被災民を馬鹿にしているのではないか。福島第一原発をめぐる動きは、深刻そのものなのに、まるっきり他人事である。しかも、民主党が800万もかけて、わざわざ防災服新調したはずなのに、手を通さないのでは、何のためにあつらえたのだろう。新年度だからパリッとした背広というのは、空気が読めないからだ。避難先のなかには、物資がほとんど届かないところもあり、そんな贅沢は言っていられないのである。これまでは少しも汚れていない作業着だったのが、今度はそれすらも身に付けないのは、テレビも特番を止めているし、国民からとやかく批判されないためには、それが一番だと思ったのだろう。外国は日本がどうなるか固唾を呑んで見守っているのに、本家本元の日本政府に危機意識がないのだから、まったく話にならない。福島県民は、故郷を追われたり、雇用の場を失ったりしている人が続出している。菅直人首相はいつものように薄ら笑いを浮かべ、枝野幸男官房長官は、国民を煙に巻くことしか口にしない。まるで有事ゴッコである。そして、原発からの放射能漏れは収束したわけではないのに、飽きてきたから、菅首相らは平時に戻りたくなったのだろう。指導者としては最低ではなかろうか。
完全にこの国は報道管制が布かれおり、何が真実であるかがうかがい知れない状態になっている。昨日の夜中に毎日新聞が、海水ポンプの復旧にめどという記事をネットに流した。それが本当であるならば、一挙に収束に向かうことになるが、そこでまた裏切られれば、絶望的な気分に陥ってしまう。国民は政府とマスコミの大本営発表にこれまで付き合わされてきたからだ。もはや私が住み福島県だけでなく、東日本、いや日本全体が放射能漏れに怯えているのである。にもかかわらず、政府は危険はないの一点張りだし、マスコミをそれを鵜呑みにした報道をしている。しかし、それに対して外国はほぼ悲観論一色である。マスコミが国民に希望を持たせてくれるのはいいが、できもしないことを、さもできるかのように言われると、その後の落胆がまた大きいのである。もちろん、ここまで深刻な事態をもたらした東京電力には、それほど期待はしていないが、海水ポンプの復旧だけは是が非でも実現してもらいたい。今の政府のように、誰かのせいにすることばかり考えている指導者ばかりであろうとも、現場で頑張っている人たちの力を、祈るような気持ちで、国民は最後の最後まで信じたいのである。