2020/9/18放送
世の光の時間です。お元気でお過ごしでしょうか、関根弘興です。
イエス様は当時の宗教指導者たちの妬みによって捕らえられてしまいました。イエス様が逮捕されたのは真夜中でしたが、すぐにイエスさまに対する審問が始まりました。その審問の様子を弟子のペテロはこっそりと眺めていました。
しかしペテロは、そこにいる人たちに何と三度も、「イエスなど知らない」と最後には呪いをかけてまで否定したのです。するとその時、鶏が鳴いたんですねえ。
ルカの福音書にはこう記されています。
するとすぐ、彼がまだ話しているうちに、鶏が鳴いた。主は振り向いてペテロを見つめられた。ペテロは、「今日、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言います」と言われた主のことばを思い出した。そして、外に出て行って、激しく泣いた。
(ルカの福音書 22:60-62 )
鶏はいつも夜が明ける時に鳴きますから、それ自体は特別なことではありません。しかし鶏が鳴いた時、イエス様が振り向いてペテロを見つめられたのですねえ。それでペテロはイエス様が以前語られたことばを思い出しました。つまりあのペテロを我に帰らせたのは主の眼差しでした。
イエス様は以前、ペテロのためにこのように祈られました。
「わたしはあなたのために、あなたの信仰がなくならないように祈りました。ですから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」(ルカの福音書22:32)
イエス様は三度も否定してしまったペテロを見つめられましたが、それは叱責の眼差しでも失望落胆の眼差しでも悲しみの眼差しでもありません。ペテロの弱さを見抜き、その弱さを知っているが故の愛と慈しみに満ちた祈りの眼差しだったのです。
ペテロはイエス様の眼差しを見てイエス様の言葉を思い起こしました。すべてご存知の上で慈しみ、祈り続けてくださるイエス様の愛の深さに心を打たれたことでしょう。
ある神学者がこう言いました。「罪とは何か。それは神を知らないこと。従って自分自身も知らないことです。」と。
ペテロは自分自身の真の姿を知らなかったことに気づき、泣き崩れてしまいました。しかしここからペテロの新しい歩みが始まっていくのです。
(PBA制作「世の光」2020.9.18放送でのお話しより)
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