季節のない街 山本周五郎 著 新潮文庫
著者が「青べか物語」の翌年(1962)に発表したもので、形式は前著と同様、短編を集めた構成になっている。「青べか物語」が東京湾岸の浦安あたりを舞台にしているのに対し、こちらは内陸のあまり職業に恵まれていない庶民の、長屋がいくつかあるような街の話しで、時代は戦後、少しモダンなものや語彙も出てくる。
人間、こんな思い、行動、つながりで生きていることもあるのだなあ、と思うような話が続く。こういう切り取り方ができるのは、よほどの、執拗なそして透徹した観察力によるものなのだろうか。
前作より、男女の不思議な関係、その遷移がなんとも鮮烈(ここでは変な言い方だが)で、現代ならスワッピングみたいなもの、そして五人の子供の実の父親は皆ちがうが、だから暮らしていけないわけではないという話とか、、、
冒頭の、電車趣味の子をえがいた「どですかでん」、どこかで聞いたと思ったらそうあの黒澤明の同名映画のもとになったものである。映画は見ていないが。
あの名作「さぶ」の発表はこの翌年、流れるような著述、文章は上記2作によるスケッチを経てと思えなくもない。
著者が「青べか物語」の翌年(1962)に発表したもので、形式は前著と同様、短編を集めた構成になっている。「青べか物語」が東京湾岸の浦安あたりを舞台にしているのに対し、こちらは内陸のあまり職業に恵まれていない庶民の、長屋がいくつかあるような街の話しで、時代は戦後、少しモダンなものや語彙も出てくる。
人間、こんな思い、行動、つながりで生きていることもあるのだなあ、と思うような話が続く。こういう切り取り方ができるのは、よほどの、執拗なそして透徹した観察力によるものなのだろうか。
前作より、男女の不思議な関係、その遷移がなんとも鮮烈(ここでは変な言い方だが)で、現代ならスワッピングみたいなもの、そして五人の子供の実の父親は皆ちがうが、だから暮らしていけないわけではないという話とか、、、
冒頭の、電車趣味の子をえがいた「どですかでん」、どこかで聞いたと思ったらそうあの黒澤明の同名映画のもとになったものである。映画は見ていないが。
あの名作「さぶ」の発表はこの翌年、流れるような著述、文章は上記2作によるスケッチを経てと思えなくもない。