メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ポーカー・フェース(沢木耕太郎)

2012-01-28 16:05:55 | 本と雑誌
「ポーカー・フェース」 沢木耕太郎 著 (2011年、新潮社)
 
特定のテーマに沿った長編、あるいは連作ではなく、このようなエッセイ集というのは、この著者には多くない。3作目である。
 
前の二つ「バーボン・ストリート」、「チェーン・スモーキング」も読んでいるが、今回はより著者の頭の中で発酵してでてきたという感がある。ただそれで、こちらつまりファンからすると、読み進む快感から少し遠くなったようにも思える。
 
中であげれば、高峰秀子の晩年を書いた「挽歌、一つ」だろうか。
 
ところでこの「ポーカー・フェース」というタイトルは、前の二つがあまり著者自身とそぐわないのにくらべ(確か沢木はタバコを喫わない)、そのイメージにあっている。この本でも、ギャンブルにはなじんでいないといいいながら、バカラは例外として書いたものがあるが、以前にもマカオやラスヴェガスだったか、ギャンブルについての詳細な観察があった気がする。
 
やはり次は、何か一つのテーマを追いかけたずっしりしたものを期待したい。
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