根津美術館 2014年4月19日(土)~5月18日(日)
この季節に短期間だけ見ることができる光琳の燕子花図、一昨年以来である。
入ってみて、はてこんなだっかたと思った。というのはこの六曲二双、本来の置きかたはこうなのだろうが、これまでに見た記憶ではもう少し開いて平べったくして見たような記憶がある。まちがいかもしれないけれど。
もちろん写真などは完全に開いたもの。
そうではあっても、いつもこの展示を見るときのように、他のものは特にいいのでゆっくり椅子にすわったりして、時間が経つとあまり気にならなくなってくる。この左は下の方で高さの変化も細かく、右は下の空白(水の部分)が大きく浮いている感じで高さの変化も少ない。このあたりが絶妙で、しかもこの感覚は頭の中に定着しないから、とくどき見に行かないといけない。
このリズム、ジャズのアドリブ感覚だろうか。
もう一つの出し物は円山応挙の「藤花図屏風」、これも今の季節だし、花の部分の絵具の盛り上がりなど尋常でなくインパクトも強いはずだが、いかんせん燕子花の横では分が悪い。
むしろその対面にある鈴木其一「夏秋渓流図屏風」が、19世紀にすでにこんなデフォルメ、それも形、色、ものの配置など、その後の日本の漫画、グラフィック・アートを予見させるもので、面白い。スーパー・フラットの源流の一つだろうか。