プリンセス・カイウラニ ( Princess Kaiulani、2010米、98分)
監督:マーク・フォービー
クオリアンカ・キルヒャー、ジミー・ユール、ショーン・エヴァンス
ハワイ王朝最後の王女カイウラニの名前は時々きいていたが、どういう物語があったのか、初めて詳しく知ることができた。ハワイが好きな私としてはやはり見ておこうと、映画としてそんなに期待していたわけではなかったのだが、上質な小品。
19世紀末、カラカウア王の妹とスコットランド人との間に生まれたカイウラニ、母の死後に米国の事業家をバックにした一派の反乱もあって、父とイギリスに脱出して寄宿学校に入る。このあたり、ハワイにおける米と英の対比もわかる。
国王が崩御し、王の姉も幽閉され、米国に併合されようとするときにカイウラニは決心し、大統領クリーヴランドに会い先住民を無視した併合をしないよう訴え、理解されるが、直後に大統領はマッキンリーとなり、植民地主義的な共和派の思惑通り併合されてしまう。そのけじめの催しでカイウラニは90%をしめる先住民の投票権がないことを不当として訴え、結局それはききいれられる。この場面はなかなか見せる。
しかし心労からか翌年23歳で病死してしまう(この時期の王族は早死にが多かったという)。
全体にあまり激しい場面を続けないようにしながら、的確に描かれている。主人公は名前からすると、ハワイ(またはポリネシア)系とドイツ人の混血らしいが、気品があって好ましい。
幼時のハワイ、そしてイギリスで、淡い恋があり、このあたりは事実かどうかはわからないが、それはいいだろう。
クレジットによれば、1993年にクリントン大統領はハワイ併合時の暴挙を議会承認のもとに謝罪したそうだ。
これは人権に対する米国政府の原則に照らしてのことだろうが、それに加えこの百年間、ハワイの人たちが悲しい過去を背負いつつも、観光で行ってもすぐわかるように、気持ちのよいホスピタリティがあふれる地域を持続、発展させてきたことに対する感謝、と理解したい。