サイコ (Psycho、1960米、109分)
監督:アルフレッド・ヒッチコック、原作:ロバート・ブロック、脚本:ジョセフ・ステファノ、撮影:ジョン・L・ラッセル、音楽:バーナード・ハーマン
ジャネット・リー、アンソニー・パーキンス、ヴェラ・マイルズ、ジョン・がヴァン、マーチン・バルサム
封切りされた時から大きな話題になっていたのだが、その後名画座あたりでも見ておらず、ヴィデオでも見てなかった。初めて見たことになる。
それでも、いろんな情報は入っているから、見ての驚きは多少軽くなっているかもしれない。
結論から言えば、カメラと音楽は極めて優れているけれど、映画としては、サスペンス娯楽映画としても何か足りない、という感じである。「めまい」でもそうだったが、ヒッチコックとは相性が悪いのかもしれない。
この映画でも、主たる登場人物の行動の動機が、見るものを納得させるのには今一つであり、ちょっと人をばかにしたようなところがある。この時代あたりだとアメリカの中流のそんなに上でもない人たち、見てくれはそう悪くないが、あんまり品がないというか、センスも常識もないように見える。裏をかえせば、この時代のアメリカはそれだけ豊かだったということなのだろう。
「サイコ」は精神を病んだ二重人格の犯人(?)からきているのだが、これのさらにあと、たとえば「羊たちの沈黙」などと比べると、恐さよりはおかしさを感じてしまうのはやむを得ないことなのだろうか。
それでも、アンソニー・パーキンス、ジャネット・リーという配役はぴったり。
こうしてみると、ヒッチコック作品では、そんなに見てないが、むしろ「鳥」が映画として怖さを持っているようだ。