「告白」(2010年東宝、106分)
監督・脚本:中島哲也、原作:湊かなえ
松たか子、木村佳乃、岡田将生
そう、これほど淡々と熱演など感じさせずに、このこわい世界を見せてくる、というのに、彼女以外に誰が、と思わせるほどの出来である。
原作は決して後味がいいものではなく、それは作者も意図したことであるけれども、この映画も、中学生のいじめ、陰湿、少年ゆえに刑罰の対象にならないなどということを、真剣に考えさせるというよりは、その前に退屈しない話の連続を、さまざまな映像、カットの工夫で見せる。ここは中島哲也、衰えていないし、今の中学生への視点も容赦がない。
後半がすこしくどいのは、同じ内容を、話者を変えて告白させるという原作をかなり忠実に受け継いでいるからだろうか。小説と違って、ここは難しい。文章の世界では、話者、文体というものがこうまで効いてくるのだろうか。
読者にすこしゆだねる部分を残した最後は、文章である原作とは少し違った方法になっている。
まずは飽きないで最後まで見られた映画だが、こういう世界があったことは後でときどき思い出すだろう。
久しぶりに館内は盛況。