メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

リヒテルのガーシュウィン

2010-06-11 10:55:03 | 音楽一般
ガーシュウィン:ピアノ協奏曲ヘ調
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番 エジプト風
ピアノ:スヴィヤトスラフ・リヒテル、クリストフ・エッシェンバッハ指揮シュトゥットガルト放送響
1993年5月、シュヴェチンゲン音楽祭
(Hanssler Classic)
 
こういうものが出てくるのは楽しい。リヒテル(1915-1997)が最晩年にガーシュウィンとは、そしてラプソディー・イン・ブルーなんかと比べるとポピュラーとはいえない、私も耳になじんでいない、この協奏曲というのは。
なにしろ晩年は、小さい会場で照明はろうそく一つ、弾くのはグリーグの抒情小曲集というイメージがあったから。
 
こういうの珍盤って言っても、世紀の巨匠に失礼ではないだろう。
しゃれている演奏というようり、まじめな演奏で、これはガーシュウィンもクラシックとして書いた曲だろうから、そう違和感はない。それにリヒテルが弾いたことはガーシュウィンにとっても名誉だろう。
 
ただ、アメリカの音楽で普通の後拍にアクセントがあるというか場合によってはタメをつくるというか、そういうところがさらに遅れ気味、強すぎという感じは少しある。
リヒテルがそうなのか、指揮が少し前にいってしまっているからそうきこえるのか、それはわからない。
 
思い出して手元にあったピアノがグリモー、ジンマン指揮ボルティモア響のCDを聴いてみた。こっちはもっとスケール感があり、のびやかで、ピアノの軽快、カップリングのラヴェル(協奏曲)とマッチしているともいえる。
ただ映画音楽風といってしまえばそうかもしれない。
  
そうこれは、バンクーバーでキム・ヨナがショートの007に続くファイナルで使った曲である。使うとすればこの2つの演奏の中間くらいが無難なんだろうか。それにしても、誰だか知らないが、よくこの曲を見つけて採用したものである。
  
サン=サーンスの曲もこのCDだけ見るとおやっと思うだろうが、こっちは40年前の録音(コンドラシン指揮、モスクワ)がメロディアにある。これと比べると、今度のほうがより軽やか、優雅だ。

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