「国宝 風神雷神図屏風」(出光美術館、10月1日まで)を見た。 (9月28日)
国宝の俵屋宗達のオリジナル(建仁時から京都国立博物館に寄託)と、それを模写した尾形光琳(東京国立博物館)、酒井抱一(出光美術館)を同時に展示するという試み。(3回目?)
模写二つは見た記憶があるが、肝心の宗達を見たのかどうか、絵葉書を持っているので京博で見たとは思うのだが、あそこは駆け足だったから記憶が定かでない。そこで今回は宗達を見るためというのが第一であった。
やはりこれはいい。見得を「えーいっ」と切っているようでそこで止まってはいない。筋肉、表情、風と雷の轟きを想像させる筆遣い、見事なものである。
今回気がついたのは、雷神の周りを囲むいわゆる連鼓、つまり輪にそっていくつかの円盤(鼓)が並んでいるものの秀逸なこと。
この輪の筆致、ちょっと画面からはみ出した感じ、そして鼓が複数並んでいるというよりは、輪に載って勢いよく動いていくのを分解写真で撮ったような動感、これは描くときの直感かもしれない。
そこへいくとやはり模写した方は不利で、筆遣いがいつもと違ってぎこちない。
抱一はそれなりという感もあるのだが、光琳についてはいつもとの違和感、これは描いているときに彼の中で起こっていたのだろう、それが目立つ。
こういうことがわかるのも面白い。
もしこの二人が、宗達を見たにせよ、模写ではなく、自分ではじめから構想したら、どんなものが出来ただろうか。