王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

三橋貴明著 「日本のグランドデザイン」を読む

2011-07-13 07:27:57 | 本を読む
三橋貴明(みつはしたかあき)氏は2010年7月の参院選挙に自民党の比例区候補で出馬されましたが落選しました。
まだ40才前後かと思います。
この本は市の図書館に申し込んだ時「順番待ち6位」でしたが手にするまで半年掛かりました。
恐らくこの本は図書館に1冊しかなく借りた方は皆さん限度の2週間以内に返却しない為、中々手に入らなかったと思います。

せっかちな爺はこの本が届くのを待ちかねて三橋氏の「高校生でもわかる日本経済のすごさ」を大手書店の棚で探しました。
幸い上大岡の書店で見つけましたので数回通い「要点を流し読みしました」

その時の感想と「日本のグランドデザイン」は全く同じです。
勿論「高校生の」より詳しいですがね。

氏の説得の論理は:
その1:経済成長の定義として;名目GDPおよび実質GDPが増加する事
その2:GDPとは個人消費+民間投資+政府支出+純輸出(輸出-輸入)と定義した上で(これは別に間違いで無いと思います)
そこで意図的にGDPの伸びを期待するには政府支出を増やさなければいけないのに日本の政府の09年公共投資は1980年の22兆円を下回ると非難します。
さてその根拠は「誰かの支出は別に人の所得」との「絶対原則」を氏のドグマ(確信とか主張の核)として論理を展開してゆきます。

そこで「日本国家のバランスシート」を図表にして掲げます(P33)
これもよく読めば日銀の「資金循環統計」のみを取り上げていて日本国のバランスシート(貸借対照表)でも何でもありません。
そもそも日本国のバランスシートなんかないそうです。
それでもバランスシートを考えるなら:
資産の部(貸方)には現金・預金、売上金、資産や投資が上げられなければいけませんし、負債の部(借方)で借入金、資本金と当期利益(場合によって損失を計上してバランス状態が分かる仕組みなんです。

三橋ドグマは誤りではありませんが誤って使えば落語の「花見酒」と同じで熊さんの所得は八っあんの収入ですが「その取引に原価と経費と利益」が無視されていますから二人は酔っ払って酒が無くなり(酒代の)2文だけが残る事になります。この話はビジネスの仕分けが無視されている所に笑いがあるのですね。

さてかって企業戦士だった浜爺は企業経営分析なんて教習を受けました。
企業の経営状態を分析するには決算書を三期分連続で分析しないとその傾向がわかりません。三橋氏は損益計算書(P/L)に触れません。
これも日本国の損益計算書なんてありません。
しかし政府のP/Lを考えただけで借入金算約1000兆円、年次の利益(税収)が無いので借入金の金利と借り換えそして新たな借入金の計50兆円も借り入れないと回らないのです。
三橋氏は民間金融資金1400兆円を考えてもまだ国債は市場消化可能だと強調するのですがはてどうでしょう?
このたびの東日本大震災の被害を救済する為に政府はどのような財源を用意するのでしょう?
浜爺は氏がバランスシートの一部を取り上げ日本国の「花見酒」論を展開します。
ここで浜爺はこの本を読むのを止めました。
まあ日本のファンダメンタルには良いものがたくさんありますからそれを前向きに取り上げている点は認めますがね。
お疲れ様!


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