生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

退院後 (その2)

2005-11-29 08:41:58 | 乳癌
放射線治療が終わると、後は1か月に1度の外科の診察と、3か月に1度の検査だけです。緊張が解けたのと同時に不安が襲ってきました。(放射線を当てている間は少なくとも再発はしないだろう。でも、これから再発の可能性が出てきた。転移もすでに始まっているかもしれない)と考えて落ち着かなくなりました。

それから、リンパ転移についてインターネットで調べると、3個以上転移のある人は10年生存確率4%と書いてあるではありませんか!(2005年11月現在にはその記事はなくなっており、確かなところはわかりません)
命がいちばん大切。まだ死にたくない。やりたいこともある。親より早く死ぬのは親不孝だ。なにより主人がひとりになってしまう……。

色々考えて夜も眠れなくなってしまいました。そして「乳がんになって」に書いたように神さまにゆだねようと決心していったん落ち着いたのですが……。
昼間は明るくふるまっていても、夜、床につくと涙があふれてきます。人前では涙を見せまいとしていますが、ひとりになると急に悲しみが襲ってきます。情緒不安定な日々が続いていました。

そのころからホルモン剤の副作用が出て、更年期症状(めまい、のぼせ)も日々ひどくなっていきました。フラッシュといって突然汗が噴き出してくる現象もしばしば起こります。夜は寝汗をかいて何度も着替えなければなりません。生理が止まったのはよかったです。子宮筋腫で毎月大変だったので……。
手術後、医師に「転移の可能性が大きい」と言われていたので、外科の診察を受けたとき、「転移してないか心配でならない」と言うと、「心配しても何のいいこともない。転移しているかどうか調べるために3か月に1度検査するんだから」と、言われてしまいました。

確かに心配していいことなどありません。でも、不安な気持ちが沸き上がります。心配するのはやめようと思えば思うほど心配になります。転移の可能性が大きいと言われて心配しない人などいないのでは……? 
3か月に1度検査するから安心というわけにもいきません。検査して、もし転移がわかったら……転移の場所にもより、また癌細胞の増殖の速度にもよるでしょうが、最悪の場合は「余命〇か月」ということにもなりかねません。
術後初めての検査(血液検査、腹部エコー、レントゲン)の結果を聞きにいったとき、待合室で胃の痛くなる思いでした。

「大丈夫です」といわれてほっとしましたが「まだ術後、日が浅いからね」という医師の言葉を聞いて(それなら、日にちがたてば転移するということなのかしらと)勘ぐってしまいました。

それにしても、なぜこんなに不安なのでしょう。神さまの善意を信じているのになぜ心が騒ぐのでしょう。それは、神さまにゆだねきれてないからです。ゆだねるというのは、ひなが親鳥の翼の下にいるとき、嵐が来ても何の不安もなく眠っていられるように神さまにすっかりおまかせすることです。
自分の体であっても、体の中でどのようなことが起こっているのか全くわからない者です。医師でさえ、検査をしなければわからないのです。検査をしても癌細胞のひとつひとつの行方や、先の予想もできません。
でも、神さまはすべてご存じです。神さまにゆだねきれたらどんなにいいだろうと思いました。

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