生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

退院後  (その1)

2005-11-28 11:10:57 | 乳癌
乳癌の温存手術を受けて、退院後放射線治療が始まりました。
放射線治療は約5週間、土日をのぞいて毎日通わなくてはなりません。病院まで歩くと50分。自転車で20分。バスもありますが、乗り継がないといけないのでバスを使うと1時間以上かかります。

運転のできないわたしは、自転車で通うことにしました。主人はタクシーを使うように言いましたが、「もったいない病」のわたしは、治療費もかかるのに『タクシーなんてとんでもない』という考えです。

1年でいちばん寒い時期です。でも、「毎日通わなくては」という緊張感で寒さなどあまり感じませんでした。
25回のうち2回ほどみぞれが降って主人に車で送ってもらいましたが帰りは歩いて帰ってきました。

放射線に通っている間は、不思議なほど元気でした。病院の帰りに友人と会って昼食を共にしたり……。

教会の礼拝にも(この時も自転車で)退院して3週間後から出席しました。

 

放射線には副作用がほとんどないそうです。
はじめはこわいと思いました。でも、全く体に害のないものだから大丈夫という医師の説明を受けて安心しました。
放射線科の先生も技師の方々もやさしくて、冗談を言って緊張をほぐしてくれました。


でも、部屋に入ってベッドに横になり、ドアが閉じられると恐ろしくなります。
自動ドアが閉まるとき、ギーィッとすごい音がします。この音を聞くとぞっとします。
誰か一緒にいてくださればいいのにと思います。照射の時間はたったの1分です。でも、その間、左手を上げたままじっとしていなくてはなりません。
少しでも動くと放射線の当たるところがズレてしまいます。動いてはいけないと思うと緊張して体がこわばります。


1分ってけっこう長いです。最初のうちは数をかぞえていました。でも、その1分間に主の祈りをとなえることにしました。
心の中でゆっくりとなえてちょうど1分です。

主の祈りとは、イエスさまが弟子たちに教えて下さった祈りのことで、教会では礼拝のとき毎週祈っています。
主の祈りをとなえると、ひとりじゃないんだと思えて安心しました。

照射が終わるとドアが開いて技師の方がきてくれます。着替えの時間を入れて5.6分で終わりです。

3週間目くらいになると、放射線を当てているところが、少し赤くなり、ひりひりしてきました。
それは日焼けと同じ作用なので誰でもそうなるのだそうです。
しばらくすると、こんがりと小麦色に色づいてきました。それは、あとから皮がむけてきれいになりました。



「25回って長いなあ」
とはじめは思っていました。でも、だんだん残り回数が少なくなってきて、あと2回だと思っていくと、いきなり「今日で終わりです」といわれました。
数え間違えをしていたのです。早く終わって欲しいと思っていたのに「ええっ、もう終わってしまうの!」という気持ちでした。

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