
mixiのコミュでカラマの会に入っています。カラマの会とは2007年8月に開始されたネット読書会(非公開)で、同じ本をメンバーが半年ぐらいかけて読み、感想などを書き込んでいます。
これまでに「カラマーゾフの兄弟」「エデンの東」「クォヴァディス」を読みました。
そして今回は「レ・ミゼラブル」です。小学生の時「ああ無情」を読みました。
岩波文庫から出ているものは600ページ前後の文庫本4冊にもなります。最初は読破できるのかと心配でした。
この小説の背景にあるフランス革命のことやナポレオン戦争のワーテルローの戦について書かれており、政治の世界もかなり詳しく描かれています。退屈な箇所はところどころ読み飛ばしながらスローペースで進んでいきました。
合間に数冊の軽い本や児童書を読んだので、読み始めてから10か月近くかかってしまいました。でも、おかげで今年の読書は充実感でいっぱいです。
さて、感想は・・・。
ジャン・ヴァルジャンは、たった1本のパンを盗んだ罪で19年も服役していました。徒刑場を出たジャンは行く先々で冷たく扱われます。
そんな彼をミリエル司教は暖かく迎え入れてくれました。それなのにジャンは司教の大事にしていた銀の食器を盗んでしまいます。翌朝、彼を捕らえた憲兵に対して司教は「食器は私が与えたもの」だと告げてさらに2本の銀の燭台をも彼に差し出しました。
ミリエル司教がジャンに言ったセリフが心を打ちます。
「ジャン・ヴァルジャンさん、あなたはもう悪のものではない、善のものです。私が購うのはあなたの魂です。私はあなたの魂を暗黒な思想や破滅の精神から引き出して、そしてそれを神にささげます」
ミリエル司教との出会い、この出来事がジャンの生き方を大きく変えました。ジャンはミリエル司教(キリスト)の愛と赦しによって新しく生まれ変わったのです。
その後、ジャンは『マドレーヌ』と名乗り、市長になりました。
自分と間違えられて逮捕された男がいることを知って、葛藤の末、自分の正体をあかし、再び追われる身になります。言わなければ安泰な生活が続けられるというのに正直に告白します。
ジャンを執拗に追いかける警視ジャヴェル。後に彼を射殺するチャンスがあったのにもかかわらずそうしなかったジャンの誠実さに心打たれます。
いちばん悲しかったのは、コゼットの母ファンティーヌのことです。テナルディエ夫妻にだまされてお金を取られ、歯まで売ってしまいました。(当時のフランスでは歯を売ってお金に代える人がいたようです)
そして病気になり、コゼットに会いたいと願いつつ息を引き取ってしまいました。
つづく