木佐貫(巨)7勝、藤井(ヤ)4勝、三井(西)4勝、高木(ロ)1勝ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会9月開幕
「障害者福祉 自己負担、工賃上回る」朝日新聞岩手版(2007年07月04日)
おしぼりをたたむ駿河輝明さん。「怒られることもあるけど、(仕事は)楽しい」=花巻市湯口で
知的障害がある花巻市の駿河輝明さん(32)は、同市湯口にある授産施設「こぶし苑」で働く。市内の温泉旅館向けのおしぼりを、洗濯するのが仕事だ。
駿河さんは県立花巻養護学校を卒業後、盛岡市の知的障害者施設「緑生園」に通った。集団生活やラグビーなどを通じ、一般就労に向けて訓練した。その後、民間のクリーニング店に勤務した。
しかし、自立への道は険しかった。職場の人間関係がうまくいかず、社会人生活は10年で終わった。「ラグビーをやっていた時はタックルで何度か相手を倒したことがある」と話す駿河さんの笑顔が、クリーニング店の話になると、曇ってしまった。「色んな人とトラブルになることが多かった。怒られてばっかりで、パニックも起こしてしまった」
父親の正弘さん(65)は言う。「バブルがはじけて以降、働き場所自体もなかなか見つからない状態が続いている。就職できても、企業の障害への理解が深まっていかないので働きにくい」
03年から通い始めたこぶし苑は、親子の貴重な「居場所」の一つだ。しかし、そこにも逆風が吹き始めた。
06年度施行の障害者自立支援法の影響で、1万円程度の給食費と、施設利用料の自己負担約1万5千円が毎月かかるようになった。おしぼりを洗ってたたむ仕事の工賃は1万円弱。働きに通うほど出費が増える。
正弘さんにも余裕はない。収入は農業の利益と、月額約6万6千円の駿河さんの障害基礎年金ぐらい。「私が年をとって働けなくなったら、子どもはどうすればいいのか」
6年前の参院選は福祉より、当時大変だった農業に重点を置いて投票した。「措置制度で自己負担がなく、自分で施設が選べるようになる支援費制度の導入の話もあり、『障害者にもやっと日の目があたる』という希望が高まっていた」と正弘さんは振り返る。
そして続けた。「まったく先を見通さない施策の末、票にならない弱いものが切られた」。今回の投票には「子どもたちが安心して暮らせるようにしてほしい」という願いを込める。
国の障害者福祉施策は、利用者だけでなく施設の負担も増やした。こぶし苑の利用料収入は「措置制度」の下、02年度には5600万円程度。利用者が施設を選べるようになった「支援費制度」に移行後は利用が増え若干収入も伸びた。
しかし、自立支援法の施行された06年度は利用者の自己負担分を含めても前年度比約890万円減の約4800万円まで落ち込んだ。3人の職員が退職して人件費が減り、赤字転落は免れたが、今年度はどうなるかも分からない。給食費も利用者負担になったため、ベテラン職員を時間給のパート職員に切り替え、880円だった1食当たりの単価を500円に切りつめた。
ただ、こぶし苑の増子義久園長は、施設側の問題点も指摘する。「親方日の丸に頼り切りで、ぬるま湯に漬かっていた施設があったことも事実」と話す。「自立支援法は悪法だが、運営を見直し、支援費以外の事業収入を増やす工夫をするきっかけと考えている」という。「今は福祉のあり方が大きく変わる時。今後数年で、変われない施設は淘汰されるだろう」
そして国の姿勢に言及した。「福祉は本来国是で、国の懐の深さを表す指標。現在は財政難のしわ寄せを障害者に押しつけており、これ以上福祉予算を削る方向には歯止めをかけてほしい」
◇
今回の参院選で改選される議員は、6年前の2001年に選ばれた。この間、国が打ち出した政策は多くの人に影響を与え、憲法改正に向けた議論も動き始めている。社会、経済の情勢はどう変化し、どんな課題が表面化しているのか。様々な分野で活動する人々の「この6年」を追った。
◇
《国の障害者福祉施策》
戦後長く続いたのが、障害の種別や程度から行政側が利用施設を決めた「措置制度」。行政主導ではあったが、負担は障害者世帯の支払い能力を基準としており、自己負担を強いられる例は多くなかった。
03年度からは「利用者本位」を掲げた「支援費制度」が導入され、障害者が施設を選んで契約する方式となった。しかし財政難などから3年で終わり、06年度に障害者自立支援法が施行。利用者は利用料の1割と給食費の自己負担が求められるようになった。そのため、利用者の利用手控え、それによる施設側の収入減も起きている。
久々に感動的な記事だ。
障害者自立支援法の「現場」をわかりやすく紹介している。
確かに自立支援法の理念とは裏腹に、厳しい実態がある。
どこまでも利用者の立場に沿うような施策はないのか?
親・保護者の利益優先、施設側の利益優先、国や行政の責任放棄・・ばかりが目に付く。素直に!まっしぐらに「障がい者の利益だけを考えた」取組みが望まれる。
「障害者福祉 自己負担、工賃上回る」朝日新聞岩手版(2007年07月04日)
おしぼりをたたむ駿河輝明さん。「怒られることもあるけど、(仕事は)楽しい」=花巻市湯口で
知的障害がある花巻市の駿河輝明さん(32)は、同市湯口にある授産施設「こぶし苑」で働く。市内の温泉旅館向けのおしぼりを、洗濯するのが仕事だ。
駿河さんは県立花巻養護学校を卒業後、盛岡市の知的障害者施設「緑生園」に通った。集団生活やラグビーなどを通じ、一般就労に向けて訓練した。その後、民間のクリーニング店に勤務した。
しかし、自立への道は険しかった。職場の人間関係がうまくいかず、社会人生活は10年で終わった。「ラグビーをやっていた時はタックルで何度か相手を倒したことがある」と話す駿河さんの笑顔が、クリーニング店の話になると、曇ってしまった。「色んな人とトラブルになることが多かった。怒られてばっかりで、パニックも起こしてしまった」
父親の正弘さん(65)は言う。「バブルがはじけて以降、働き場所自体もなかなか見つからない状態が続いている。就職できても、企業の障害への理解が深まっていかないので働きにくい」
03年から通い始めたこぶし苑は、親子の貴重な「居場所」の一つだ。しかし、そこにも逆風が吹き始めた。
06年度施行の障害者自立支援法の影響で、1万円程度の給食費と、施設利用料の自己負担約1万5千円が毎月かかるようになった。おしぼりを洗ってたたむ仕事の工賃は1万円弱。働きに通うほど出費が増える。
正弘さんにも余裕はない。収入は農業の利益と、月額約6万6千円の駿河さんの障害基礎年金ぐらい。「私が年をとって働けなくなったら、子どもはどうすればいいのか」
6年前の参院選は福祉より、当時大変だった農業に重点を置いて投票した。「措置制度で自己負担がなく、自分で施設が選べるようになる支援費制度の導入の話もあり、『障害者にもやっと日の目があたる』という希望が高まっていた」と正弘さんは振り返る。
そして続けた。「まったく先を見通さない施策の末、票にならない弱いものが切られた」。今回の投票には「子どもたちが安心して暮らせるようにしてほしい」という願いを込める。
国の障害者福祉施策は、利用者だけでなく施設の負担も増やした。こぶし苑の利用料収入は「措置制度」の下、02年度には5600万円程度。利用者が施設を選べるようになった「支援費制度」に移行後は利用が増え若干収入も伸びた。
しかし、自立支援法の施行された06年度は利用者の自己負担分を含めても前年度比約890万円減の約4800万円まで落ち込んだ。3人の職員が退職して人件費が減り、赤字転落は免れたが、今年度はどうなるかも分からない。給食費も利用者負担になったため、ベテラン職員を時間給のパート職員に切り替え、880円だった1食当たりの単価を500円に切りつめた。
ただ、こぶし苑の増子義久園長は、施設側の問題点も指摘する。「親方日の丸に頼り切りで、ぬるま湯に漬かっていた施設があったことも事実」と話す。「自立支援法は悪法だが、運営を見直し、支援費以外の事業収入を増やす工夫をするきっかけと考えている」という。「今は福祉のあり方が大きく変わる時。今後数年で、変われない施設は淘汰されるだろう」
そして国の姿勢に言及した。「福祉は本来国是で、国の懐の深さを表す指標。現在は財政難のしわ寄せを障害者に押しつけており、これ以上福祉予算を削る方向には歯止めをかけてほしい」
◇
今回の参院選で改選される議員は、6年前の2001年に選ばれた。この間、国が打ち出した政策は多くの人に影響を与え、憲法改正に向けた議論も動き始めている。社会、経済の情勢はどう変化し、どんな課題が表面化しているのか。様々な分野で活動する人々の「この6年」を追った。
◇
《国の障害者福祉施策》
戦後長く続いたのが、障害の種別や程度から行政側が利用施設を決めた「措置制度」。行政主導ではあったが、負担は障害者世帯の支払い能力を基準としており、自己負担を強いられる例は多くなかった。
03年度からは「利用者本位」を掲げた「支援費制度」が導入され、障害者が施設を選んで契約する方式となった。しかし財政難などから3年で終わり、06年度に障害者自立支援法が施行。利用者は利用料の1割と給食費の自己負担が求められるようになった。そのため、利用者の利用手控え、それによる施設側の収入減も起きている。
久々に感動的な記事だ。
障害者自立支援法の「現場」をわかりやすく紹介している。
確かに自立支援法の理念とは裏腹に、厳しい実態がある。
どこまでも利用者の立場に沿うような施策はないのか?
親・保護者の利益優先、施設側の利益優先、国や行政の責任放棄・・ばかりが目に付く。素直に!まっしぐらに「障がい者の利益だけを考えた」取組みが望まれる。
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