テレビの文字放送とかデータ放送とか、一般視聴者からはほとんど興味を持たれないサービスが昔からありましたが、
今度はインターネットに接続することでビデオが見られるようになるんだそうです。
既に普及している普通のテレビやパソコンには対応せず、これから発売される「
アクトビラ ビデオ」対応の大画面テレビをインターネット回線に接続した場合に限って有料でコンテンツが視聴できるようになるんだそうで、相変わらず既存の放送局などに配慮して閉鎖的なサービスにとどまっています。
このサービスがあるから新しいテレビを買おうという人もいないでしょうが、申し込みは無料なので、「お申し込みキャンペーン」などで賞品を出せば、登録だけはしようという人はいるでしょう。でも、こんな調子ではいずれもっと開放的なビジネスにねじ伏せられるのは目に見えています。家電業界はMP3プレーヤーの苦い教訓から何も学んでいませんね。
もう1つ、懲りないなあと思ったのがNHKの「
未登録視聴者のテレビ画面を妨害しよう」という計画。来年度から導入とあります。1台1台の受像機を判別して画面を妨害するためには、テレビに固有のIDが必要です。つまり、廃止に傾いていたB-CASカードの延命措置なんですね。そうまでしてB-CASという非効率で怪しい子会社を存続させたいのでしょうか。
NHKによれば「これで契約率が上がるはず」としていますが、反発を食うのは目に見えています。これでまた地上波のデジタル移行を見送ろうという視聴者がいるでしょうし、B-CASカードシステムを残せば、総務省が恥も外聞もなく家電メーカーに迫った「5,000円以下の地上デジタルチューナー」はコスト的に更に困難になります。
総務省の地上波デジタル普及の意向とNHKの料金徴収の動きがばらばらになっているわけで、こんな右手と左手が矛盾する動きをしているようでは、アナログ停波の延期が視野に入ってきたようなものです。
その5,000円チューナーにはメーカー各社が反発しているそうです。当然でしょう。メーカーとしては地上デジタルへの移行で大きな買換え需要を期待しています。大画面のハイビジョンテレビや大容量のレコーダー、次世代ディスクの販売を当て込んでいたのに、赤字で5,000円のチューナーを配って今までのテレビを見られたのでは、何のために巨額の投資をしてきたのかわかりません。
だいたい、アナログ停波予定まであと4年ある段階で、現行の4分の1の価格でチューナーが発売されるとわかれば、間違いなく買い控えを誘発します。メーカーにこの条件を受諾させるなら、相当に大きな「お土産」が必要なはずですが、支援措置については何も報道されていません。手ぶらでメーカーに出血奉仕をさせようとは、総務省もかなり焼きが回ったと思います。先日の「コピーナインタイムズ」の答申を白紙に戻してコピーフリー、あるいはEPN導入ぐらいしないと、メーカーとしても動けないのじゃないでしょうか。