晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

2P/エンケ彗星 観望記録

2023年10月15日 | 彗星
2P/エンケ彗星の観望記録で~す。

 時は少し戻って10月12日夕方のこと… 何気なく天気予報を見てると、ほひょ、移動性高気圧の到来で2日連続で快晴が続く予報になってる…。こ~れは、待てば海路の日和ありだ~。

 エンケ彗星の観望好機は月の影響を受けない9月25日頃までと月が細くなる10月11日以降なので、撮影の機会を待っていた身としてはこれはまたとない絶好のチャンスです!

 早速、遠征計画を立てましょう!エンケ彗星は、太陽に近いので日の出前の低高度での撮影になります。…ということで今回の遠征地選定のポイントは…

1.撮影地から見た東側の空が開けていること
2.撮影地の東側に街明かりなどの光害がないこと
3.撮影地まで自宅から1時間以内の場所であること
4.土地勘のある場所であること…です。

 1と2は説明するまでもないのですが、3については疲労対効果を考えた場合の今回の適正値として、4はかなり大事で突発的な事象で撮影予定地が不可になった時に短時間で代替撮影場所を探すには絶対的な土地勘が必要なので、です。

 で、結果として選んだ撮影場所は涌谷付近で以前下見をしていた撮影ポイントとなりました。エンケ彗星が地平線から出る時刻は03時45分なのでそれに間に合うように02時過ぎに自宅を出発!予定どおり03時過ぎに目的地に近づいたのですが、問題発生です。霧です!

 地を這うようにうごめく霧がこちらにどんどん近づいてきます。あちゃ~、今夜も夜霧よこんにちは~です。夜霧発生は想定してたので避けて選定したつもりでしたがここまで流れています。SCWを見ると今夜の夜霧は北上山地の西側、北上川流域で大発生して南下しているようです。ここが霧に覆われるのも時間の問題です。

 う~む、代替地は南下する霧を避けて西へ進むしかありません。赤道儀設置の時間を考えると移動時間は15分以内…わぉ、考える時間も惜しいのですぐ車を発進させて、着いたのはお隣の美里町です。タイムアップです。ここに霧が流れてきたら諦めるしかありません。

 スゴイスピードで赤道儀を設置して極軸を合わせて、バーティノフマスクでピントを追い込み、試し撮りをして準備完了。時刻はエンケ彗星が地平線から出る時刻の03時45分です。ギリ間に合った~。

 ここで本日のエンケ彗星の位置情報です。場所はおとめ座のβ星(3.6等級)とν星(4.0等級)の間です。月齢28の月も近くにあるので目印になります。


 こちらがエンケ彗星の基本情報と彗星軌道上の現在位置です。


 さて、すでにエンケ彗星は地平線上にありますが双眼鏡では確認できません。目星を付けてデジカメの感度をISO10000で撮影してみましょう。遠方に先ほど脱出した霧の層が見えています。(photo

2023/10/13 03h59m23s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO10000 F10 3sec

 月齢27.7の月が昇ってきました。霧の層が上空まで広がっています。(photo

2023/10/13 04h09m33s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f170mm ISO12800 F6.3 4sec

 う~む、この場所にあるはずですがデジカメでも確認できません。エンケ彗星の確認はできていませんが場所は分かるので20cm反射望遠鏡のファインダーで星をたどって撮影して見ましょう。(photo

2023/10/13 04h13m48s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO12800 F6.3 3sec

 ISO12800で露出を4秒にして…カメラのモニターに浮かび上がった画像を見ると… わぉ! ビンゴです!! エネラルドグリーン色のエンケ彗星が写っています。(photo

2023/10/13 04h15m47s SE200N D810A  ISO12800  4sec

 彗星は予想どおりの場所にあったのですが望遠レンズでは写らなかったようです。(photo


 では、ここからはコンポジットして画像処理したエンケ彗星をご覧ください。

4枚コンポジット、かすかですが尾が伸びているのが分かります。(photo

2023/10/13 04h15m47s~ 04h17m02s 4枚コンポジット 総露出時間22秒 D810A  ISO12800 トリミング有り

04時15分に薄明が始まっているので背景が青くなっています。彗星高度7°(photo

2023/10/13 04h23m00s~ 04h23m23s 2枚コンポジット 総露出時間30秒 D810A  ISO12800 トリミング有り


太陽に0.42AUまで近づいた2P/Encke、尾が長く伸びている様子が見えます。(photo

2023/10/13 04h24m54s~ 04h26m48s 4枚コンポジット 総露出時間75秒 D810A  ISO12800

 2P/エンケ彗星の近日点通過は10月22日です。エンケ彗星は周期3.3年の短周期彗星ですが近日点通過時にいまも長い尾を伸ばしていることはビックリでした。撮影してみないと分からないものですね。

 エンケ彗星の撮影は04時40分まで続けましたが04時30分以降は薄明が進んで画像処理をしても尾が伸びている画像は1枚もありませんでした~。

さてさて、実は今日の月は2023年で最も細い新月2日前の月(輝面比0.03)だったのです。その月を撮影することも今回の目的のひとつだったのですが、なんと月が出る瞬間から撮影をすることができたので撮影枚数はエンケ彗星より月の写真の方が圧倒的に多い状態でした~。笑(photo

2023/10/13 04h42m08s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f180mm ISO5000 F6.3 1sec

なので「今年最も細い新月2日前の月・観望記録」は別ブログでアップしたいと思いま~す。

ここからは、まったくの余談ですが撮影を終えた後、あの広がっていた霧はどこまで近づいていたかを見たかったのでSCWの局地予報を見たらこんな状態でした。わぉ!(photo) 

 なんと撮影場所だけが霧に覆われず、しかも撮影方向の東方面にも霧が発生しないという超ミラクルな現象が起きていました~。なんというラッキーなことでしょう。どういう作用が働いたのか分かりませんが感謝の極みです。

 で、昨日知ったことですがこの広範囲の霧が発生したとき、涌谷町の中央に鎮座する箟岳山(標高236m)の頂上から、朝日を受けて黄金に輝く雲海を望むことができるそうです。

【宮城県涌谷町】最寄り駅からたったの15分で絶景!黄金の雲海スポット「箟岳山」


 なるほど霧で撮影ができなくてざんねん~な日は黄金の雲海が広がる絶景を見られる超ラッキーな日ということですね。こ~れは覚えておきましょう!

 涌谷町HPによると、この雲海展望エリアは「令和5年秋の公開は、令和5年10月1日(日曜日)から11月5日(日曜日)までの期間で、雲海が出現している早朝に限ります。」とあるのでいつでも行ける場所ではないようです。詳しくは下記リンクから涌谷町HPをご覧くださ~い。
リンク→〈涌谷町・箟岳山からの雲海

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
涌谷でEncke (ich)
2023-10-15 15:00:13
晴れスターさん
 2P/エンケ彗星,尾のある姿はお見事です!アストロアーツの投稿写真を見ても,これほどはっきりと尾が写った写真はありません。もちろん私も。しかも霧の中にぽっかり空いた晴天域に巡り会うとは…。星を見に行ってダメだったことは数多くあるので,そのご褒美でしょう!
 さて,私も石巻桃生で星を見て仮眠後3時ころ撤去して車のヘッドライトを点けたら,霧がモヤモヤ~っと漂ってきてビックリしました。農道を走っていたら濃い霧に突っ込む場所があったりサッと晴れたり。北上川沿いとはいえ,どこでも同じように発生するとは言えないんだなぁと思いました。しかしやっと涼しくなって蚊もいなくなったと思ったら今度は霧,寒くなる前に,もう1回秋晴れが来て欲しいですね。
2P/Encke (晴れスター)
2023-10-16 00:09:02
ichさん
 ありがとうございます。エンケ彗星の尾が写ると分かっていたら薄明開始時刻の前に集中して撮影していたのですがまったく予想していなかったのでのんびり撮影していました。ま~あの霧の中では撮影できただけでラッキーだったと言えますね。
 夜中に発生する濃霧はのっぺりして動きの少ないものだと以前は思っていましたが実はichさんが見たとおりでとても局所的で動きも速いですね。農道を走っているときに目の前が突然真っ白になって視界ゼロになる時はホントに驚きます。
 季節は確実に冬に向かっているようで今週後半は気温が低下する予報が出ていますが、火曜日の夜から水曜日の朝にかけては高気圧の通過で天気がいいみたいですよ。多分これが今年のラスト秋晴れになるのでしょうね。

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