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ミステリアスな青いオーロラ出現~その正体は?

2022年11月27日 | Weblog
  2022年11月3日、G1クラスの地磁気嵐が発生した夜、これまで誰も見たことのない青いリボン状のオーロラが北欧の空に現われました。その正体は何か?そのナゾが明らかになったようです。 

 以下、2022年11月4日付けSpaceweather.comの記事より
11月3日の夜、スウェーデン在住の多くのスカイ・ウオッチャーが地磁気嵐で乱舞するオーロラの下で輝く青いリボン状のオーロラを目撃した。

 そのオーロラはスウェーデンのアビスコ国立公園から世界中にオーロラの映像を配信しているLight Over Laplandのディレクターであるチャド・ブラックリーさんに「私はかつてこのようなオーロラを一度も見たことが無い」と言わせるほどの奇妙なものであった。

 Light Over Laplandでツアーガイドをしているミシェル・サッチさんはこのオーロラをビデオで録画。目撃者によると青いオーロラは現地時間の17時15分に急速に肉眼で見えるようになり、30分後には地平線へと沈んでいったという。青いオーロラは大きく形を変えることはなく、乱舞する緑色のオーロラの手前にあるように見えたと目撃者は話している。(videomovie

 ボストン大学の宇宙物理学者、西村俊さんはこの動画を見て「これがオーロラだとすると、とても奇妙なことだ。オーロラアークが他のオーロラアークを乱すことなく交差することはないので、オーロラ物理学の観点からは説明しがたい現象だ。」と述べている。

では、これがオーロラではないとするとこの現象はどう説明すればよいのだろうか?

The blue ribbon over Lake Tornetrask. Photo credit: Claudio Comi

 その可能性の一つとして考えられているのがミサイル発射だ。10月下旬以降、ロシアはバレンツ海で原子力ミサイル巡洋艦「Peter the Great」でICBM発射演習を実施しており、ロケットの排気がこれと似た現象を発生させることは過去にも何回かあったので、それが原因ではないかと考えられている。

 しかし、不思議なことにそのミサイルを目撃したという人が今のところ一人も現われていない。青いオーロラを目撃した人たちは声をそろえて「オーロラ出現の前に空を横切るものは何も無かった」と述べている。

 今もって青いオーロラは謎のままです。複数の場所から撮影された写真でオーロラの高さが分かるので、青いオーロラの写真を撮った方はぜひご連絡ください。もちろんミサイルを見たという人の報告も待っています。11月4日付けSpaceweather.com

ふ~むふむ、青いオーロラとはこれまたずいぶん神秘的な現象ですが、どーもこれはオーロラではないようですね~。スカイウオッチャーのみなさんはやれエイリアンだとか、やれワームホールだとか盛り上がっているようですが、謎は謎のままでこのまま解決することはないのだろうなぁ~。と思っていたら11月15日付けのSpaceweather.comに続報が載っていました。

 しかもタイトルが「ロシアのロケットはなぜ青いオーロラを発生させるのか」となっていて、記事の内容が「発生原因はロシアのロケットだった!」ではなく、ロシアのロケットが青いオーロラを発生させるメカニズムに関する内容でした~。あれれ?いつの間に解決してたの?

 以下、2022年11月15日付けSpaceweather.comの記事より

 2022年11月3日にスウェーデンとノルウェーで目撃された夜空を横切る奇妙なへび状の青いオーロラは、色も動きもオーロラ物理学の法則に反するものでした、事実、それはオーロラではありませんでした。専門家たちはこの青いオーロラが目撃された時間と北海でロシアの潜水艦がICBMを発射した時間が一致していることにすぐに気づきました。

  ロシアのロケットが青いオーロラを発生させることを世に知らしめたのは2009年12月9日の夜にノルウェーで発生した「巨大な螺旋状の模様が突然空に浮かび上がる現象」です。(関連ブログ→blog


 ブルーオーロラは2017年10月26日にも現われました。このときは、モスクワの北800kmのプレセツク宇宙センターからカムチャツカのクラ試験場に向かって発射されたICBMトポルによるものだと考えられています。

The blue exhaust of a Russian rocket on Oct. 26, 2017. Credit: Alexey Yakovlev of Strezhevoy, Russia

 2016年に発表された論文「ロシアのランチャーの運用中に観察された例外的な光学現象」は、そのようなロケットがどのように青い光を生成するかを説明しています。「固体燃料の主な燃焼生成物は酸化アルミニウムAl2O3です。高温では、一酸化アルミニウムAlOの形成も起こります。AlOは気体状態で存在します。これらの分子による太陽光の共鳴散乱は、ロケットのガスダストトレイルのターコイズ色に対応する波長領域4374〜5424 Ǻの発光を引き起こします。」と論文には記載されています。

 これで謎は解決されたのでしょうか?いや私たちは調査をやめたわけではありません。北欧に住むスカイウオッチャーのみなさんはブルーオーロラを目撃したときはぜひ写真を投稿してください。
11月4日付けSpaceweather.com 

ふ~むふむ、論文によると固体推進剤燃焼生成物に含まれる金属アルミニウムと大気中の酸素との相互作用によって一酸化アルミニウム雲が発生するとありますね~。古くは1977年9月20日のボストーク打ち上げの時も目撃されたとあるので、人知れず昔から発生していた現象のようです。

 ロケットブースター「ボストーク」の打ち上げ1977年9月20日
1977年9月20日の早朝、旧ソ連領土の広大な北西部地域とフィンランドの隣接地域で、膨大な数の目撃者の間で混乱を引き起こした驚くべき光学現象が観察された。ペトロザヴォーツクの住民の多くがこの珍しい現象を目撃した。(ソビエト新聞ニュース記事「未知の現象」より)

「ロケット打ち上げ中に出現する最もカラフルで大規模な現象は、高度100kmを超える上層大気で観察できる。これらの効果は、ロケットエンジンの排気によって生成されたガスダスト雲の分散粒子による太陽光の散乱に関連している。これらの高度では、大気中に自然起源のエアロゾルが存在しないため、これらの現象の自然な類似性は知られていない。」と論文にありますが、

 これは基本的にロケット打上げ時に発生する「夜光雲」と同じメカニズムのように感じますが、どうなのでしょう? ICBMやポラリスは打上げ仰角がロケットより低いことや機動性が高いことでロケットの打上げ時に発生する夜光雲と形状が違うのかもしれませんね。

 それにしてもこの神秘的なブルーオーロラの原因がICBMやポラリスミサイルの発射というのは何とも興ざめな話ですね。


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2 コメント

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青いオーロラ (ich)
2022-11-28 17:59:36
晴れスターさん
 青いオーロラがオーロラではなくミサイルの燃焼ガスとは,なんともがっかりな落ちでした。アメリカボストン大では原因不明で,ロシアではよく分かっているような記述も何というか,ロシアはそんなにぼんぼん発射しているのかという感じです。アメリカはアラスカからは発射実験をしないのですかね。打ち上げロケットの夜光雲は見てみたいですが,ミサイル由来と言われると…。
 さて,今日の新聞に「ファルコン9で日本の企業が協力した月探査機HAKUTO-Rを11/30に打ち上げ」という広告がありビックリしました。HAKUTO-Rが完成していたのは知りませんでした。着陸が2023年春とあってまたビックリ!地球を何周もしてから行くのでしょうか。月面車もあるようで,これは当然協力企業のスズキが力を入れてるところですよね。
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民間初の月着陸 (晴れスター)
2022-11-28 19:32:58
ichさん
 ロケット打上げ時の夜光雲はニュースになりますが、ミサイル由来の夜光雲はミサイル打ち上げを公にしたくないのでどこの国もだんまりなのですかね~。あやしい夜光雲はミサイルが関係していると結びつけることはたぶんは業界ではタブーなんでしょうね。
 月探査機HAKUTOーRのことは正直ノーマークでした。これはたしか月着陸一番乗りレースX-Prizeに参加していたチームですよね。ロケットの調達か何かで断念したという記憶があるのですが、独自に月着陸を目指していたとは素晴らしいですね。成功すれば世界初の民間企業による月着陸になるので頑張ってほしいですね。先ほどispaceのHPでミッション計画をみたところ、リフトオフ後は150万kmまで上昇してそこから地球に戻って月軌道に入るので着陸まで4ヶ月かかるようです。リフトオフが11/30ということですのでまずはロケットが無事リフトオフすることを見届けましょう!今回のローバーはUAEの宇宙機関MBRSCが作った「Rashid」というローバーのようなの日本独自のローバーは2回目の時みたいですね。
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