駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

技術の裏付けがなくては、おもてなしも

2017年02月21日 | 診療

         

 昨日は春の嵐で突風が吹き、午後の患者さんは半減だった。そんな中95kgのM氏が吹き飛ばれそうでしたとやって来た。看護師と二人で怪訝な顔をすると、苦笑しながら私でもと付け加えられた。M氏は三国志や水滸伝に出てきそうな偉丈夫で、韓国中国香港台湾から東南アジアまで飛び回っている企業戦士だ。どうも風貌のせいか、何処に行っても御馳走責めらしく、我々の口うるさい指導で漸く100kgから少し痩せられた。他にも同じような地域を回って居られる企業の患者さんが居られるが、その激務?に耐えるには食事が鍵のようで、どうも脂っこくて困りますという方は長続きしないようである。

 春二番が吹き、日射しがあるとかなり暖かくなっては来たが、日が陰るとまだまだ冷たい。午後、往診に出かけると三寒四温で温かい日と冷たい日がある。「おもてなし」で勝ち取った東京オリンピックであるがこの「おもてなし」には心が肝心といっても、実は技術が伴わないと地に落ちてしまう。往診に行くと大抵のお宅で手洗いの水と手拭きのタオルを用意して下さるのだが、困ったことにハイハイと洗面器に手を突っ込んではいけないのだ。七、八軒に一軒、火傷しそうに熱いお湯だったり、ぞくっとする冷たい真水だったりするお宅があるからだ。そうしたわけで、まず指先をそっと入れてから手を沈めるようにしている。往診に伺う時間は時に十五分位ずれることもあるが、大体数分のずれで到着できる。勘の良いお宅は季節にあった適温になっている。

 例外もあるが一事が万事で、靴が揃えられ適温の手洗いのお湯が用意されているお宅は患者さんの介護もキチンとされていることが多い。心が籠もっているかどうかは無用の詮索だろう。言葉ばかり心が籠もっているようでも、技術と裏付けなければ、帰り道で首を傾げてしまうことになる。

コメント (2)
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