駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

長居は無用の椅子

2017年02月02日 | 旨い物

     

 市内に美味しいカレーは少ないのだが、ここのビーフカレーは旨い。最近残念なことに街角の洋食屋は減ってきた。嬉しいことに、この店は五十年の歴史を誇り今も健在だ。三年前に内装を変え、椅子とカウンターを新調したが、十一種類のメニューと値段(税込み700円から1100円)は十六年変わらない。牛丼の吉野家さえ手を変え品を変え値上げしているのに、値上げしないのは凄いことだ。友人のH氏に依れば、家族経営で客の回転が速いから出来ることだそうだ。

 椅子の座り心地は良くないが、コーヒー紅茶はなく要するに食事が済んだらさっさとお引き取り下さいというメッセージと理解している。半数が男性の孤食で、あとは家族ずれとカップルなのだが、それでもに二十人に一人くらい女性の一人客が居るのは伝統を誇る生活に溶け込んだ街中の店ならではだろう。

 見知らぬ客がカレーを頼むと女将がにっこりと言うよりはにやっとして「辛いが良いですか」と確認する。私の場合は顔を見ただけでいつものの一言に頷くとカレーが出て来る。月に一回は食べに行く。もう一軒旨いカレーを出す洋食店があったのだが、十年ばかり前に閉じてしまった。新規の店で贔屓にしていたのだが、五年持たなかった。偏屈親爺で腕は良いのに意固地で客の食べ方を注意するのだ。気が利かぬ女将で上手く取りなすことをしないので、客が離れてしまった。カウンターはやめてテーブルだけにして、奥に引っ込んでいれば良かったのに。今頃何処でどうしているだろうか。

コメント
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