駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

インフルエンザ対策の妙

2017年02月14日 | 医療

         

 三寒四温かと思ったら、まだ四寒三温で今日も空気は冷たい。鳥が街中まで降りてきて餌を捜している。

 未だインフルエンザが流行しており、日に数名インフルエンザの患者さんが受診される。今の所殆どがA型で当院ではB型は僅か二名のみだ。こうしてA型B型が判別できるのも診断検査キットのお陰だ。

 今やインフルエンザの診断には迅速診断キットが欠かせない検査になっている。しかし実は感度を上げてきたキットも万全ではなく検査の時期や検体の取り方によって10-20%の偽陰性があると思われる。それにワクチン接種済であったり免疫能の高い?人の中には鼻風邪と変わらぬ軽い症状で済む人も居て、そもそも医療機関に受診しなかったり受診しても検査しないで風邪薬を投与されている例もあると思われる。

 10-20%の検査が偽陰性だった症例の中には臨床的にインフルエンザと診断できる症例も混じっているのだが、医療機関や患者さんの中には検査を金科玉条にするところもあり、診断を保留して経過を診てしまう症例も少なからずあると思われる。

 鳥インフルエンザの場合は拡大感染を防ぐために、養鶏場で二三羽でも診断が確定すれば何万羽もの未発病の鶏まで殺処分されてしまう。人間の場合は罹患したら自宅安静の処置が取られる。発症五日を過ぎ無熱の日数が二日以上続けば登校あるいは出社可能と便宜的に定められているが、これは概ね他者に感染させない目安であって100%のものではなく、熱が下がり全く元気になっても咳や痰が続く患者さんはそこそこ居て感染源になっている可能性も少しはある。

 そうしてあれやこれやで万全とは行かないが、インフルエンザの流行をある程度押さえ併発症で死亡する患者を減らすことが出来ている。他国の事情に詳しくはないが、ここまでで出来ている国はそう多くないと思う。あれこれ言っても豊かな国情で、理解力が高く従順で右に倣うことの得意な国民性が上手く機能している事例と思われる。

 不思議なことに毎年数百人ものインフルエンザを直に診ている私はインフルエンザにならない。三十年以上インフルエンザに晒され毎年ワクチンを打っている効果だろうか?。本当は非常に軽く感染しているのかも知れない。

コメント
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